海上自衛隊の護衛艦かが、艦首が四角形になった姿で初めて出渠 F35B搭載に向けて軽空母化改修着々と
ステルス戦闘機F35Bの搭載に向け、広島県呉市内の事業所で改修中だった海上自衛隊のいずも型護衛艦2番艦「かが」が4月20日、ほぼ1年ぶりに出渠した。艦首が四角形に改修され、前甲板部分が以前と大きく変わった姿で初めてドックを出た。軽空母化改修が着々と進んできたことがうかがえる。
海自関係者によると、今回の出渠は一時的なもので、「かが」の1回目の軽空母化改修は今年度中は続く。現段階では、艦首右舷の前甲板先端にある高性能20mm機関砲(ファランクスCIWS)が台座だけになっていたり、外舷塗装もまだらになっていたりする。艦番号の「184」も記されていない。足場などの作業用構築物も残ったままになっている。今回出渠した理由は分かっていない。
政府は2023年度予算で、いずも型護衛艦1番艦「いずも」と2番艦「かが」に短距離離陸と垂直着陸が可能なF35Bを搭載できるよう、改修費として52億円を計上した。
「いずも」と「かが」の改修は、5年に一度実施される大規模な定期検査を利用して、それぞれ2回にわたって行われている。
海上幕僚監部広報室によると、海自呉基地を母港にする「かが」は昨年3月にジャパンマリンユナイテッド呉事業所の修理ドックに入渠し、軽空母化に向けての1回目の改修工事が始まった。具体的には「いずも」で既に実施された飛行甲板上の耐熱塗装や標識塗装などに加えて、「いずも」に先駆けて艦首形状を四角形に変更する工事が実施されてきた。
もともとの艦首は台形。海幕によると、細い先端部分での乱気流を抑えてF35Bを安全に運用するために、甲板を横に付け足して四角形にすることが必要となっていた。
この「かが」の1回目の改修は今年度に終わる予定だ。2回目の改修は2026、2027の両年度に実施される。
「かが」の2回目の改修に向け、防衛省は今年度、着艦誘導装置を取得する。また、飛行甲板にある標識灯火灯を改造するほか、温度計測装置の工事を実施する。さらに衛星通信装置も改造する。
なお、防衛省によると、今年度のいずも型軽空母化改修費52億円の中には米軍からの技術支援経費も含まれている。
防衛省は2024年度から宮崎県新富町にある航空自衛隊新田原基地へのF35Bの配備を予定している。
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