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護衛艦かが、F35B搭載の「軽空母化」改修開始

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
ジャパンマリンユナイテッド呉事業所で改修工事が始まった護衛艦「かが」(読者提供)

海上自衛隊の護衛艦「かが」に、短距離離陸と垂直着陸が可能なステルス戦闘機F35Bを搭載するための改修工事が広島県呉市のジャパンマリンユナイテッド(JMU)呉事業所で始まった。海上幕僚監部広報室が筆者の取材に確認した。

いずも型ヘリコプター搭載護衛艦2番艦である「かが」は2021年度末から1回目の改修が実施されることになっていたが、予定通りのスケジュールでの改修開始となった。具体的には1番艦「いずも」で既に実施された飛行甲板上の耐熱塗装や標識塗装などに加えて、F35Bを安全に運用するため、艦首形状を四角形に変更する工事が「いずも」に先駆けて実施される。これらの改修費用として2021年度防衛予算では203億円が確保された。

戦闘機搭載を可能にする「いずも」と「かが」の軽空母化は、太平洋への進出がめざましい中国軍を念頭に抑止力を強化する狙いがある。

広島県呉市のジャパンマリンユナイテッド呉事業所の修理ドックで改修工事が始まった護衛艦「かが」(2022年3月27日撮影、読者提供)
広島県呉市のジャパンマリンユナイテッド呉事業所の修理ドックで改修工事が始まった護衛艦「かが」(2022年3月27日撮影、読者提供)

海自呉基地を母港にする「かが」は3月24日にジャパンマリンユナイテッド呉事業所の修理ドックに入渠し、軽空母化に向けての改修工事が始まった。

防衛省によると、海上自衛隊史上最大の艦艇であるいずも型護衛艦の「いずも」と「かが」の改修は、5年に一度実施される大規模な定期検査を利用して、それぞれ2回にわたって行われている。

「かが」は当初、2021年度末からの5年に一度の大規模な定期検査に合わせて、1回こっきりで大規模な改修を行う予定だった。しかし、艦内の区画や搭乗員の待機区画の整備については、米軍の協力による検証実験や試験を実施し、実運用する際の人やモノの動き、動線を詳細に検討したうえで、改修内容を確定することが妥当であることがわかった。このため、艦内区画の整備などについては、今年度末からの定期検査に合わせてではなく、5年後の2回目の定期検査に合わせて実施することにしている。

防衛省は「かが」の1回目の改修が2021、2022、2023の各年度にわたって行われ、2回目の改修が2026、2027の両年度に実施されるとの見通しを示している。

●「かが」の航空管制室の工事経費に13億円

防衛省は2022年度予算でのいずも型護衛艦改修費用61億円のうち、「かが」の航空管制室の視認性を高めるための工事経費13億円を確保した。具体的にどのような工事を実施するのかは明らかになっていないが、将来のF35Bの発着を踏まえ、管制室の窓部分を広くしたり、見やすい窓ガラスにしたりすることなど様々な工事が考えられる。

●「いずも」の1回目改修は昨年6月末に終了

一方、「いずも」は2019年度末から、横浜市磯子区のジャパンマリンユナイテッド横浜事業所磯子工場で1回目の改修工事が実施され、昨年6月末に既に終了した。具体的には、特殊な塗装などによる飛行甲板の耐熱処理工事や誘導灯の設置などが行われた。2024年度末から実施される2回目の改修で、艦首形状の四角形への変更や艦内区画の整備が実施される予定だ。防衛省は「いずも」改修が2026年度中に終了すると見込んでいる。

横浜市磯子区のジャパンマリンユナイテッド横浜事業所磯子工場で改修工事中の護衛艦「いずも」(2020年7月26日、高橋浩祐撮影)
横浜市磯子区のジャパンマリンユナイテッド横浜事業所磯子工場で改修工事中の護衛艦「いずも」(2020年7月26日、高橋浩祐撮影)

●4機のF35B取得費に510億円

防衛省は2022年度予算で「いずも」と「かが」に搭載するF35Bの4機の取得費として510億円を確保した。2021年度予算では2機の取得費として259億円を計上した。一方、2020年度予算で793億円を計上し、取得する6機のF35Bは、2024年度に調達されて同年度末までに配備される予定だ。航空自衛隊は計42機のF35Bを導入する計画だ。

防衛省は、F35Bの国内配備先として宮崎県新富町にある航空自衛隊新田原基地を計画している。

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米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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