【Yahoo!ニュース 個人】7月の月間MVAとMVCが決定
■Yahoo!ニュース 個人、7月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました
社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、すぐれたオーサーコメント「月間MVC」も選出しました。厳選5本の記事と1本のオーサーコメント、筆者の受賞コメントをあわせて紹介します。
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7月の月間MVA
■睡眠導入剤混入事件で浮かび上がる日本の「解剖率」の低さ 法医学者も警鐘(柳原三佳)
筆者による受賞コメント:「この人の死因は、本当に正しいのだろうか……」多くの事故や事件を取材し、遺族の声を聞く中で、この疑問に何度も突き当たりました。そして、法医学者や捜査関係者と出会い、解剖や薬毒物検査にかける我が国の予算や設備が先進国最低レベルであることを知りました。死因の科学的な解明は、保険請求や損害賠償に不可欠です。また、事故や犯罪の再発防止、伝染病の予防など、今を生きる私たちの安全を守るためにも極めて重要です。この大問題に着目していただいたことに感謝し、引き続き発信していきたいと思います。
(柳原三佳)
選出理由:毎年、約4千人が交通事故死する中、事故での死因究明のズサンさを、睡眠剤混入事件を通じて浮き彫りにしました。なぜこうした現状なのかを法医学教授や諸外国への取材を通じて解説。今後の解決策も提示しました。この問題を10年以上取材している筆者ならではの記事です。
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■JAL現役社員はなぜ顔出しで会社を訴えたのか?マタハラ裁判で勝利的和解を収めた彼女に聞いた(小酒部さやか)
筆者による受賞コメント:私がマタハラという言葉を広めるために顔出し名前出ししたとき、ものすごいバッシングが飛んできました。そこから課題に思い続けて来たことは、「バッシングされる様子をみて、みんな余計に顔出し名前出しをしなくなる。声を上げなくなる」という問題です。声を上げるということがどのようなことなのか、まずは知ってもらいたいと思いました。労働問題は解決されれば多くの労働者がその恩恵を受けられます。もっと応援する空気が出来て欲しいと願います。
(小酒部さやか)
選出理由:JALに勤務する現役社員でありながら、マタハラで会社を訴えた女性を、裁判後いち早くインタビュー。会社の制度を変える和解を勝ち取った彼女の言葉からは、批判を恐れずに声を上げる勇気を持つことがいかに大切か伝わってきます。彼女と同じようにマタハラ問題を世に問い続けてきた筆者ならではの記事です。
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■1年ぶり復帰の目処が立った三浦皇成騎手。苦悩の日々と今後を語る!!(平松さとし)
筆者による受賞コメント:栄えある賞をいただき、誠にありがとうございます。競馬に於ける騎手という仕事は、比喩的表現でなく、文字通り命がけの職種です。昨年8月、落馬で大怪我を負った三浦皇成騎手は、再び競馬場に戻るまでに丸一年の月日を要しました。そんな彼の苦悩を少しでもファンの皆様にお伝えしたく、ペンをとりました。今回の受賞は全面的に取材協力をしてくださった三浦騎手なくてはありえません。彼を含めた全騎手が、怪我なく素晴らしい騎乗をみせてくださることを祈っております。
(平松さとし)
選出理由:レース中の落馬で重傷を負った三浦騎手。リハビリの様子を丹念に取材し、復帰への意気込み、支えになった妻からの言葉などを交えて報じました。病院のベッドで横たわる三浦騎手の写真は、事故の大きさを物語るとともに、騎手が筆者に全幅の信頼を置いている表れでもありました。
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■特別警報が解除されても安全ではない(饒村曜)
筆者による受賞コメント:MVAに選出していただき、ありがとうございます。平成25年に始まった特別警報は、精度や運用の問題が残っている反面、過度の期待もあると思います。防災情報を正しく理解し、防災に結びつく行動をとりたいと思える記事をめざしますので、今後共、よろしくお願いいたします。
(饒村曜)
選出理由:7月5日に島根県、福岡県、大分県に発表された大雨特別警報が解除されたタイミングで素早く発信。解除後も危険な状態が続いていることや大雨が降った時の災害リスクを丁寧に解説しています。「解除」と聞いて安心してしまわないよう注意を促してくれた貴重な1本です。
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■好調AbemaTV「ネット上も含めて、世間で大きな話題になる仕掛けができる音楽番組を作る」(田中久勝)
筆者による受賞コメント:月間MVAに選出していただき、ありがとうございます。この記事のスタートは、斬新な企画を連発し、話題を集めているAbemaTVは、10代、20代の若い視聴層を取り込むことに成功し、それはフェスの中継を始め、音楽コンテンツの影響も大きいという話を、広報担当者との何気ない会話の中で聞いた事です。さらに、音楽番組の担当者の音楽愛が凄いという事を聞き、取材を申し込みました。ユーザーファーストで、アーティストと共にオリジナルにこだわって番組を作るその姿勢は、アーティストを始め音楽業界全体に認知が広がってきています。業界の末端で仕事をさせていただいている身としましては、音楽シーンも盛り上げようと、熱い想いを持って番組作りにたずさわっている“同志”を取材するような気持ちで、インタビューさせていただき、双方の想いが文章に出ているのではないかと思っています。これからも良質なエンタメ関連の記事を発信し、多くの人に興味を持ってもらえるよう、頑張っていきます。ありがとうございました。
(田中久勝)
選出理由:話題を呼ぶ企画で注目を集めているAbemaTVについて、音楽シーンに対してどう関わっていくのか、AbemaTV担当者へのインタビュー記事です。筆者の高い知見を活かした取材で、コンテンツ作りやメディアのあり方に深く迫ります。
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7月の月間MVC
■『休日104日以上義務へ「残業代ゼロ」制度』の記事へのオーサーコメント(今野晴貴)
筆者による受賞コメント:労働時間改革をめぐっては、報道内容に大きな偏りがあることを以前から危惧してきました。労働時間改革の内容は労働基準法の適用を除外したり、裁量労働制(同趣旨)を拡大するだけですが、「早く家に帰れる」「成果で評価される」など、誤解を招く報道があふれています。その上、「高度プロフェッショナル」制度ばかりが注目され、もっと広範に適用される裁量労働制の規制緩和はほとんど報道されていません。今回のコメントは、裁量労働制の拡大の問題を含め、労働時間改革について正確に法案の内容を知ってほしいと思い書きました。
(今野晴貴)
選出理由:その行方が注目される「残業代ゼロ」制度について、記事だけでは伝わりづらかった本質を明らかにしながら、さらにその課題をわかりやすく指摘しています。記事と併せて読むことでよりニュースに対する理解が深まります。