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大人の日帰りウォーキング 友人の話は健康に関する悩み 明日は我が身と歩きながら頭の中を整理する

わか子ライター

朝早く自宅を出発し、電車に1時間近く乗ってJR鴻巣駅(埼玉県)までやってきた。まだ、9時になっていない休日の朝、駅前は人も少なく静けさを保っていた。

江戸東京日本橋を出発し、五街道の1つである中山道を日帰りで歩きつないで今日が4回目になる。ここまでの歩いた距離は60kmをこえているが、まだまだ先は長い。

空には青空が広がっていた。

旧中山道沿いにある立派なお寺
旧中山道沿いにある立派なお寺

夕食を食べ終わってスマフォを見ると、ライン電話を着信した記録があった。

子育てを卒業したおばさんである私(葉子)は、自宅にいる時はスマフォを充電器につなげたままにしてしまい、着信音に気付かないことが多い。しかし、おばさんの私に来る連絡はめっきり少なくなり、子ども達からの連絡ぐらいになった。子ども達も、私が自宅内ではスマフォを置きっぱなしにしている事を知っているので困ることもなかった。今回も、子どもからの電話かなと思って確認すると、以前一緒に働いていた同僚の晴美さんからだった。

久しぶりだなぁ、元気にしているかな。

そう思いながら折り返しの電話をすると、どう考えても元気とは言えない声が聞こえてきた。元気にしている?と、頭の中であいさつに使おうと用意していた言葉が使えなくなり、急いで他の言葉を探すけれど、とっさの事で見つからない。しかし、久しぶりに元同僚と電話をするのに、誰もが心配するような元気がないオーラを出しているのが晴美さんらしい。

野菜以外は食べちゃダメって言われたのよ。

晴美さんは、私より少し年上の50代半ばで、1年前より糖尿病で通院していると言う。自身の母親の介護をしている事でストレスがたまることや、出かけられない事で運動不足でもあると言う。飲み薬は忘れずに飲んでいるらしいが、検査結果が良くないらしく、主治医に言われてしまったらしい。

いくら主治医でも、野菜以外は食べないというような極端なことは言わないと思うけれど、検査結果が良くなかったことは想像できる。

ポリフェノールは体に良いから、チョコだったら良いでしょ?

そう聞かれても、私には答えようがない。少しだったら大丈夫じゃないかなと、無責任な返事も出来ないでいると、主治医にも同じことを質問したという。主治医の先生も大変だ。

そして、食事に関して言われた内容もショックだったらしいけれど、食事だけでなく運動もするように強く言われたらしい。糖尿病なら運動もした方が良いよねぇ。

糖尿病か。今はまだ大丈夫だけれど、明日は我が身かもしれない。

そう思いながらちょっと待てと。この話の流れって…。一緒に街道歩きをしたいって思ってないよね?思っているかな…。最初から、そういう話の流れだったのか。

氷川八幡神社
氷川八幡神社

JR鴻巣駅を出発した私は順調に旧街道を歩き進む。今日の予定は1日に歩く距離を28kmにした。長めの距離だけれど、私が1人で歩くときは1日30kmを目安に予定を組んでいる。そして、今日の区間には荒川の土手を5km程も歩く場所があり、江戸時代にも難所の1つと言われていた。当時は、途中に間の宿(あいのじゅく:休憩所)が作られていたが、現代では都合よく休憩できる場所はないこともあるので、飲み物と食べ物は多めにリュックに入れてきた。都心から距離が離れると、気持ちよく街道歩きが出来る。しかし、道沿いにコンビニがない事もあるから準備は大切である。

箕田(みた)追分:中山道から館林、日光へ続く道が分かれる分岐点
箕田(みた)追分:中山道から館林、日光へ続く道が分かれる分岐点

中山道から群馬県館林や日光に向かう道が分かれる分岐点である、箕田(みた)追分についた。中山道は江戸時代の主要幹線道路の1つだから、多くの人々が行き交っていたのだろうなと思いながら説明版を見る。

鴻巣宿から熊谷宿までの四里六丁四十間(約16km)の間には立場(休憩所)が三カ所あり、旅人はわらじを買い替えたり、団子を食べたりしたという。それにしても、旅人はわらじを買い替えながら歩いていたのか。当時は、当たり前かもしれないけれど、わらじを履いて歩くイメージをするのは難しい。

そういえば、当時の旅人は一日に二足のわらじを履きつぶしたという。わらじっていくらぐらいだったのだろう。

江戸時代のわらじの値段は宿場によって違いがあったと書かれているが、一足12文として計算してみる。1文は19円と仮定するとわらじ一足は228円となる。江戸日本橋から京都の三条大橋までを15日で歩いたとすると。一足228円×1日二足×15日=6840円。スニーカー一足を買えそうな金額になり、別の意味で納得するけれど、わらじよりスニーカーの方が歩きやすいと思う。

先に進もうとすると、街道の反対側にお社の中で大切にされている大きなお地蔵様があった。お社の前にある庚申塔(こうしんとう)も古そうだ。長い間、この場所で旅人を見守り続けているのだろ

旧中山道脇のお地蔵様と庚申塔(こうしんとう)
旧中山道脇のお地蔵様と庚申塔(こうしんとう)

お地蔵様を眺めながら、どうしようかなと頭の中をよぎる。もちろん、先日、電話がかかってきた晴美さんの事だ。

仕方ないか。あんなに元気がない声で頼まれると断りづらい。

先に進もうか。

※続きの話:健康と運動に悩む友人の誘いを断れず、一緒に行く歩く旅の計画を立ててみる

参考ホームページ<外部リンク>
日本銀行貨幣博物館:江戸時代の一両は今のいくら?

ライター

東京都在住のおばさんです。子育てが落ち着いてきた頃より趣味で登山や街道歩き等を始めました。歩く旅は大変だというイメージがありますが、歩く事で解る楽しみもあります。実際に歩く旅をして、歩く旅の楽しさをお伝えしたいと思っています。

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