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20世紀最後の「ドラフト全体1位」が引退を発表。317本塁打は全体1位の7番目。現役トップは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
エイドリアン・ゴンザレス AUGUST 11, 2014(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 エイドリアン・ゴンザレスが、インスタグラムで引退を発表した。

 2018年のニューヨーク・メッツを最後に、ゴンザレスは、マイナーリーグや独立リーグでもプレーしていなかったが、昨年はメキシカン・リーグでプレーした。そして、メキシコ代表としてオリンピックに出場した。メキシカン・リーグのマリアッチス・デ・グアダラハラと契約した時に語ったとおり、念願を果たし、ユニフォームを脱ぐ。その念願(とWBCにまつわるエピソードなど)については、昨年の春に「通算317本塁打のスラッガーが、メキシカン・リーグで現役復帰。めざすのはメジャーリーグではなく…」で書いた。

 2000年のドラフトで、ゴンザレスは、フロリダ・マーリンズから全体1位指名を受けた。2004年にメジャーデビューしたテキサス・レンジャーズを皮切りに、サンディエゴ・パドレスなど5チームで計1929試合に出場。317本のホームランを含め、2050安打を記録した。15シーズン中、100打点以上は7度を数え、2014年(116打点)は打点王を獲得した。2007~10年は、4シーズン続けて30本以上のホームランを打った。2009年は40本だ。一塁の守備では、ゴールドグラブを4度受賞した。

 ゴンザレスの通算本塁打と通算安打は、歴代のドラフト全体1位のなかで、どちらも7番目に多い。また、300本塁打と2000安打を両方とも達成したドラフト全体1位は、ハロルド・ベインズ(1977年/シカゴ・ホワイトソックス)、ケン・グリフィーJr.(1987年/シアトル・マリナーズ)、チッパー・ジョーンズ(1990年/アトランタ・ブレーブス)、アレックス・ロドリゲス(1993年/マリナーズ)に、ゴンザレスの5人だ。ベインズとグリフィーJr.とチッパーと違い、ゴンザレスは殿堂には入らないだろうが、それでも、素晴らしいキャリアを築いた。

筆者作成
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 ちなみに、現役選手に限ると、全体1位の通算本塁打トップ3は、324本のジャスティン・アップトン(2005年/アリゾナ・ダイヤモンバックスダイヤモンドバックス/現ロサンゼルス・エンジェルス)、267本のブライス・ハーパー(2010年/ワシントン・ナショナルズ/現フィラデルフィア・フィリーズ)、133本のカルロス・コレイア(2012年/ヒューストン・アストロズ/現FA)となる。4番目に多いのは、77本のダンズビー・スワンソン(2015年/ダイヤモンドバックス/現ブレーブス)だ。ここまでの本数は、ドラフトで指名された年の順に並んでいる。

 一方、通算200勝以上を挙げたドラフト全体1位の投手は、まだ一人もいない。161勝のマイク・ムーア(1981年/マリナーズ)が最も多く、ともに155勝のアンディ・ベネス(1988年/パドレス)とデビッド・プライス(2007年/タンパベイ・デビルレイズ/現ロサンゼルス・ドジャース)がそれに次ぐ。

 ドラフト全体1位の現役投手で100勝以上は、プライスの他に2人。ゲリット・コール(2011年/ピッツバーグ・パイレーツ/現ニューヨーク・ヤンキース)が117勝、スティーブン・ストラスバーグ(2009年/ナショナルズ/現ナショナルズ)は113勝を挙げている。

 歴代のドラフト全体1位(1965~2015年)については、こちらで書いた。そのなかには、メジャーデビューできなかった選手や、日本プロ野球でもプレーした選手もいる。

「歴代ドラフト・トップピック(その1)1965~1974/マントルやコーファックスになれなかった者たち」

「歴代ドラフト・トップピック(その2)1976~1984年/バニスターとホーナーは日本でもプレーした」

「歴代ドラフト・トップピック(その3)1985~1994/グリフィーとチッパーは殿堂へ。A-RODは…」

「歴代ドラフト・トップピック(その4)1995~2004/オリックスのバリントンを含め、半数は今も現役」

「歴代ドラフト・トップピック(その5)2005~2015/昨年のトップピックが今年は全体17位」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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