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歴代ドラフト・トップピック(その5)2005~2015/昨年のトップピックが今年は全体17位

宇根夏樹ベースボール・ライター

6月8~10日に行われたドラフトにより、これまでにトップピック(全体1位指名)を受けた選手は50人(延べ51人)となった。1965~74年1976~84年1985~94年1995~2004年に続き、今回は2005年以降のトップピックを紹介する。彼らのキャリアはまだこれから。今年のドラフト初日には、2012年のトップピックがメジャーデビューした。

2005年 ジャスティン・アップトン/遊撃手/アリゾナ・ダイヤモンドバックス

兄のメルビン(元B.J.)は2002年のドラフトで全体2位指名を受けた。ただ、兄弟がアトランタ・ブレーブスでチームメイトとして過ごした2013~14年は明と暗。弟が2年続けて25本塁打&OPS.815以上を記録した一方、兄は2年連続OPS.620以下に終わり、本塁打は計21本だった。通算100本目の本塁打を放ったのは、兄弟ともに2012年8月3日。当時は別々のチームでプレーしていて、達成した試合も違ったが、ブレーブスでは6度のアベック・アーチを演じた。これは兄弟では最多。現在はどちらもサンディエゴ・パドレスにいる。

2006年 ルーク・ホッチバー/右投手/カンザスシティ・ロイヤルズ

2005年のドラフトでロサンゼルス・ドジャースから全体40位指名を受けたが、契約金が折り合わず。独立リーグを経て、翌年のドラフトでトップピックとなってプロ入りした。ドジャースは2002年のドラフトでも39巡目・全体1171位で指名しているが、この時、ホッチバーは大学へ進学した。2012年までは主にスターターとして投げ、メジャーリーグ132登板で防御率5.39、奪三振率6.20。2013年にリリーバーへ転向し、カッターを増やすと、58登板で防御率1.92、奪三振率10.49を記録した。昨年はトミー・ジョン手術によって全休。今年5月にリリーバーとして復帰した。ホッチバーに続き、2006年にドラフト全体2位で指名されたグレッグ・レイノルズは、2014年に埼玉西武ライオンズで投げた。

2007年 デビッド・プライス/左投手/タンパベイ・デビルレイズ

2012年にタンパベイ・レイズでサイ・ヤング賞に輝いただけでなく、2010年のサイ・ヤング賞投票では2位、2014年はシーズン途中にデトロイト・タイガースへ移りながら6位に入った。今シーズンも好投しており、オフにはFAになる予定だ。その前にタイガースと契約を延長するにしても、大型契約を手にすることは間違いない。

2008年 ティム・ベッカム/遊撃手/タンパベイ・レイズ

現在はタンパベイ・レイズの控え内野手。まだ25歳だが、ここから開花できるかには疑問が残る。2008年のドラフトではゴードン・ベッカム(シカゴ・ホワイトソックス)が全体8位で指名されていて、こちらもティムと同じくジョージア州出身の内野手だが、2人の間に血縁関係はない。

2009年 スティーブン・ストラスバーグ/右投手/ワシントン・ナショナルズ

高校時代は無名の存在だったが、トニー・グウィンSr.がヘッド・コーチを務めていたサンディエゴ州立大で頭角を現した。2014年にナ・リーグ最多タイの242奪三振を記録。今シーズンは5月29日の登板中に首の痛みを訴え、現在はDL(故障者リスト)に入っている。

2010年 ブライス・ハーパー/外野手/ワシントン・ナショナルズ

高校にいたままなら2011年のドラフト対象だったが、GED(高卒認定試験)を受けて飛び級で短大へ進み、1年早くドラフトにかかった。ESPNマガジンが開幕前に掲載した選手アンケートでは、2014年も2015年も「最も過大評価されている選手」の最多得票だったが、3年連続はないだろう。今シーズンはその才能を存分に発揮している。兄のブライアンは左投手。2011年にドラフト30巡目・全体907位指名でワシントン・ナショナルズに入団し、現在は傘下のAAで投げている。

2011年 ゲリット・コール/右投手/ピッツバーグ・パイレーツ

入団時の契約金800万ドルは、現在もドラフト史上最高額。契約には、2013年にメジャーデビューすれば900万ドルにアップするという項目も入っていた。デビューは2013年6月11日。メジャーリーグ3年目の今シーズンは、開幕投手こそフランシスコ・リリアーノに譲ったものの、エースとなりつつある。

2012年 カルロス・コレイア/遊撃手/ヒューストン・アストロズ

プエルトリコ出身では初のトップピック。今シーズンは5月12日にAAからAAAへ上がり、6月8日にメジャーデビュー。2打席目に初安打(内野安打)と初打点を記録し、翌日は初盗塁を決め、初本塁打も放った。

2013年 マーク・アッペル/右投手/ヒューストン・アストロズ

現在はヒューストン・アストロズ傘下のAAで投げている。今年6月にヒューストン・クロニクルのエバン・ドレリッチが発表した記事によれば、アストロズのジェフ・ルーノーGMは、やり直せるならアッペルでなくクリス・ブライアント(シカゴ・カブス/2013年ドラフト全体2位)を指名するかと問われ、「それを言うのはまだ早すぎる」と答えたという。

2014年 ブレイディ・エイケン/左投手/ヒューストン・アストロズ

ヒューストン・アストロズとは契約金が折り合わず、IMGアカデミーへ。今年3月にトミー・ジョン手術を受け、6月にドラフト全体17位でクリーブランド・インディアンスから指名された。

2015年 ダンズビー・スワンソン/遊撃手/アリゾナ・ダイヤモンドバックス

バンダービルト大からのトップピックは、2007年のデビッド・プライス(現デトロイト・タイガース)に続き2人目となった。今年のドラフトで全体2位指名を受けたアレックス・ブレッグマンも、大学生の遊撃手。この指名権は、ブレイディ・エイケン(2014年ドラフト全体1位)と契約できなかったヒューストン・アストロズが、その補填として得た。全体3位でコロラド・ロッキーズから指名されたブレンダン・ロジャースは高校生だが、こちらもスワンソン、ブレッグマンと同じ遊撃手だ。

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ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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