列車がやってこない河岸段丘上の集落の駅 大井川鐡道本線 崎平駅(静岡県榛原郡川根本町)
大井川鐡道本線の終点・千頭駅の一つ手前、崎平駅はホームが一本あるだけの小さな駅だ。かつては木造駅舎があったものの、平成20(2008)年以前に解体されて、跡地には公衆トイレが建てられている。令和4(2022)年9月24日の台風15号による土砂災害の影響で一年以上列車が来ない状況が続いており、錆びついたレールが雨に濡れていた。
駅があるのは蛇行しながら流れゆく大井川がつくりあげた河岸段丘上の集落だ。駅がある崎平地区は、明治22(1889)年10月1日の榛原郡上川根村の成立まで榛原郡崎平村だったところである。「崎」は「川が湾曲したところ」という意味も持つ漢字なので、地名の由来は「川が湾曲したところにある平地」とでも言ったところだろう。
ホームは片面使用だが、元々は両面使用だった。使われなくなって久しい線路跡はすっかり自然に還っており、元々片面使用のホームだったかのような趣だ。ホームの裏手には茶畑もあるのが茶所・静岡らしい。
ホーム上の待合所の壁には時刻表が貼られている。令和4(2022)年9月24日の台風で運休となるまでは普通列車9往復が停車していた。代行バスは10月1日に大井川鐡道バスから川根本町に移管されており、6往復に減便されているが、筆者の訪問日(10月4日)には減便前の時刻表が貼られたままだった。列車が来なくなってから一年、不通が続く川根温泉笹間渡~千頭間の復旧の目処は未だ立っていない。
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