囮無人機「パロディ」を長距離攻撃時に大量投入しているロシア軍
11月10日にウクライナの隣国モルドバ共和国に侵入し墜落したロシア軍の囮無人機について(関連記事)、ウクライナ国防省情報総局(GUR)は公式に同囮機を「パロディ(Пародія、パロディヤ)」と呼称しました。これはロシア側の正式名称ではなく、ウクライナ側のコードネームになります。意味は英語の「Parody」と同じです。
急激に増大した無人機飛来数のうち、半分は囮無人機であるとしています。なお10月の無人機飛来数2000機以上はウクライナ空軍司令部報告の1900機以上より多いのですが、これはおそらく空軍以外の陸軍や国境警備隊などからの細かい報告も集計されたものと見られます。
GURの説明通り2000機の半分が囮機となると1000機が自爆機ということになります。なお無人機飛来数が急増する以前の過去1年間(2023年9月~2024年8月)のシャヘド136自爆無人機の飛来数は合計5233機で、1カ月あたり約436機が平均値です。つまり2024年10月は囮機を除外しても自爆機は過去の平均の2倍以上の数が飛んで来ていることになります。
ただしGURの「約半分は囮機」という説明が実は間違いで、もっと囮機の比率が多い可能性もあります。しかし自爆機と囮機は飛行中の見分けがレーダーでは付き難く、数が多過ぎるので撃墜後の残骸の調査を全て行うのは非現実的で、正確な調査は困難でしょう。
ルネベルグレンズ(レーダー反射用)は2個搭載
ロシア囮無人機「パロディ」の構成部品には中国製、アメリカ製、スイス製、台湾製の部品が発見されています。木製合板が主体の構造は大型ラジコン飛行機と大差が無く、市販の部品がそのまま使えてしまいます。翼の動翼を制御するサーボ機構や小型ガソリンエンジンやプロペラなどはもちろん、制御用の電子部品も市販品が使われています。なおレーダー反射用のルネベルグレンズ(球体の部品)は3Dプリンターで制作されています。