モルドバにロシア囮無人機が墜落。ロシア軍が過去最大145機の無人機でウクライナを攻撃
11月10日、ロシア軍は1日あたりとして過去最大となる145機の長距離無人機でウクライナを攻撃しました。ただし飛来した無人機はシャヘド136自爆無人機だけでなく複数種類の囮無人機が大量に混じっていることが確実視されています。
2024年11月10日迎撃戦闘:ウクライナ空軍司令部
- 145飛来(全て無人機、ただし自爆機だけでなく囮機を含む)
- 62撃墜
- 67未到達(ウクライナ領内で燃料が切れて墜落、多くが囮機)
- 10迷走(モルドバ、ベラルーシ、ロシアに飛び去って行った)
※迎撃率96%。6機の自爆機が突破、オデーサなどで被害が発生。
※未到達は多くが囮機であり、更に撃墜にも囮機は含まれている。
そして同日にモルドバ警察が同国のフルラデニ村(Fîrlădeni)に侵入し墜落したロシア軍の囮無人機を報告しています。近隣のカウシェニ町(Căușeni)の警察が確認しています。
2024年11月10日発見ロシア囮無人機:モルドバ共和国警察
モルドバで発見されたロシア囮無人機は2024年7月ごろからウクライナで報告され始めたロシア囮無人機「ガーベラ(Гербера、ゲルベラ)」とはまた違う別の機種です。発泡スチロールと木製合板で作られた大型ラジコン飛行機と同様の簡易な構造で安価な機体である点は同じですが、推進プロペラ式のガーベラと異なりこれは牽引プロペラ式です。またこの発見機は木製合板が主体の構造のようです。
この囮無人機は2024年10月ごろからウクライナで相次いで発見されて回収され始めたロシア囮無人機と全く同じ形状であり、これらの回収機体からは機体内部から球体のレーダー反射板として使われている「ルネベルグレンズ(Luneburg lens)」が発見されていました。おそらくモルドバで発見された囮無人機にも内蔵されている筈です。発泡スチロールと木製合板の機体ではあまりレーダー波を反射しないので、ルネベルグレンズを搭載して囮機としてわざと目立たせる目的です。
ウクライナ側では暫定的にこのタイプのロシア囮無人機を「Parody(パロディ)」という名称で呼び始めましたが、非公式の通称なのでまだ広まっている呼び名というわけではありません。
※追記:ウクライナ国防省情報総局がこのタイプのロシア囮無人機を「Пародії(パロディ)」と公式に呼び始めました。出典:Головне управління розвідки (ГУР)
2024年10月20日発見ロシア囮無人機:リウネ警察、ウクライナ
※2024年10月17日報告「偽りのシャヘド」
※ロシア囮無人機の内部から発見されたルネベルグレンズ
※3Dプリンターで制作されたルネベルグレンズ
※「ルネベルグレンズ(Luneburg lens)」をレーダー反射板として用いている。