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令和5(2023)年廃止になった駅は13駅! 留萌本線、妙見の森ケーブルなど

清水要鉄道・旅行ライター
峠下駅

令和5(2023)年も残すところあと少しだ。今年最後となる本記事では今年廃止になった駅を振り返っていくとしよう。3月18日ダイヤ改正で2駅、4月1日の留萌本線部分廃止で7駅、12月4日の妙見の森ケーブル廃止で2駅が廃止となった。また、12月27日に上野動物園モノレール廃止で2駅が廃止となる。

日高本線 浜田浦駅(北海道勇払郡むかわ町)
日高本線 浜田浦駅(北海道勇払郡むかわ町)

3月18日ダイヤ改正では北海道の浜田浦駅が廃止となった。昭和34(1959)年12月18日開業。勇払原野の中の国道沿いにあった小さな駅で、短いホームの入口脇にブロック造の古びた待合室があるだけで、駅舎は無かった。廃止後、駅設備は撤去されている。

【3月18日廃止】原野の中のポツンと秘境駅 日高本線 浜田浦駅(北海道勇払郡むかわ町)

山田線 平津戸駅(岩手県宮古市)
山田線 平津戸駅(岩手県宮古市)

3月18日ダイヤ改正では岩手県の平津戸駅も廃止となった。人家が数軒の山間の集落にあった駅で、昭和6(1931)年10月31日開業。駅舎は平成17(2005)年1月に建てられたものだった。令和4(2022)年3月12日ダイヤ改正で休止されており、最後の一年間は列車が一本も停車しなかった。廃止後、駅舎は撤去されている。

【3月18日廃止】列車が一本も停まらない!? 山田線 平津戸駅(岩手県宮古市)

留萌本線 真布駅(北海道雨竜郡沼田町)
留萌本線 真布駅(北海道雨竜郡沼田町)

4月1日には留萌本線の石狩沼田~留萌間が部分廃止となった。石狩沼田から一駅目の真布駅は昭和31(1956)年3月1日に真布仮乗降場として開業。昭和62(1987)年4月1日に正式な駅に昇格した。板張りホームと背の高い木造待合室からなる駅で、その佇まいから鉄道ファンに人気があった。廃止後、ホーム入口に柵が立てられて立入禁止となっているが、待合室には夕方になると明りが灯る。

【4月1日廃止】板張りホームと木造待合室の秘境駅 留萌本線 真布駅

留萌本線 恵比島駅(北海道雨竜郡沼田町)
留萌本線 恵比島駅(北海道雨竜郡沼田町)

恵比島駅は明治43(1910)年11月23日開業。昭和46(1971)年4月15日まで留萠鉄道の分岐駅だった。駅舎は昭和60年代に貨車駅舎(右)に改築されたが、平成11(1999)年のNHK連続テレビ小説『すずらん』のロケ地として、明日萌駅ロケセット(左)が建てられた。廃止後、ホームは立入禁止となっているが、駅舎とロケセットはそのまま残っている。

【4月1日廃止】役名「明日萌駅」の方が目立つ!? 留萌本線 恵比島駅

留萌本線 峠下駅(北海道 留萌市)
留萌本線 峠下駅(北海道 留萌市)

峠下駅は明治43(1910)年11月23日開業。駅舎は昭和29(1954)年に一部が建て替えられたという記録がある。留萌本線では唯一の交換可能駅で、人家も稀な山間にあった。古い木造駅舎が残されているが、廃止後は戸や窓に板が打ち付けられている。

【4月1日廃止】木造駅舎の残る秘境駅 留萌本線 峠下駅

留萌本線 幌糠駅(北海道 留萌市)
留萌本線 幌糠駅(北海道 留萌市)

幌糠駅は明治43(1910)年11月23日開業。郵便局もある集落の中心にあるえきだった。駅舎は昭和60年代に貨車駅舎に改築。廃止後も駅舎は残っているが、ホームには立ち入れない。

【4月1日廃止】今や貴重な貨車駅舎 留萌本線 幌糠駅

留萌本線 藤山駅(北海道 留萌市)
留萌本線 藤山駅(北海道 留萌市)

藤山駅は明治43(1910)年11月23日開業。駅名は駅開業にあたって用地を提供した農場主・藤山要吉に由来する。駅舎は戦前に建てられた古いもので、無人化後に事務室部分が減築されていた。廃止後も駅舎は残るが、戸や窓に板が打ち付けられている。

【4月1日廃止】半分化された木造駅舎! 留萌本線 藤山駅

留萌本線 大和田駅(北海道 留萌市)
留萌本線 大和田駅(北海道 留萌市)

大和田駅は明治43(1910)年11月23日開業。国道に背を向けたような立地の駅だった。駅開業にあたって寄付をした大和田炭鉱の経営者・大和田荘七が駅名の由来とされる。昭和61(1986)年に貨車駅舎に改築された。廃止後も駅舎はそのまま残るが、ホームには立ち入れない。

【4月1日廃止】大和田獏・伸也兄弟の親族が駅名の由来!? 留萌本線 大和田駅

留萌本線 留萌駅(北海道 留萌市)
留萌本線 留萌駅(北海道 留萌市)

留萌本線の終着駅だった留萌駅は明治43(1910)年11月23日開業。かつては増毛まで線路が伸びていたほか、羽幌線なども乗り入れていた。昭和42(1967)年11月15日使用開始の駅舎は鉄筋コンクリート造二階建ての立派なもので、待合室には駅そば店もあった。駅舎は封鎖されつつも残っているが、近い将来解体されて再開発される方針である。

【4月1日廃止】鰊と炭鉱で栄えた街のターミナル 留萌本線 留萌駅

能勢電鉄鋼索線 黒川駅(兵庫県川西市)
能勢電鉄鋼索線 黒川駅(兵庫県川西市)

12月4日には兵庫県の妙見の森ケーブルが廃止となった。妙見の森ケーブルは大正14(1925)年8月1日開業、戦時中に休止されるが、昭和35(1960)年4月22日に運転を再開した。山麓側の黒川駅は戦前には「滝谷」を名乗っており、開業時以来の木造駅舎を廃止まで使用していた。

築98年の木造駅舎が残る妙見の森ケーブルの始発駅 能勢電鉄鋼索線 黒川駅(兵庫県川西市)

廃止から10日、能勢電鉄妙見の森ケーブル黒川駅(兵庫県川西市)を見てきた

能勢電鉄鋼索線 ケーブル山上駅(兵庫県川西市)
能勢電鉄鋼索線 ケーブル山上駅(兵庫県川西市)

妙見の森ケーブルの山上側の駅はその名もケーブル山上駅。戦前は「中間」駅で、上部線への乗換駅だった。上部線は戦後も復活することなく廃止され、跡地にはリフトが建設された。二階建ての駅舎は昭和35(1960)年4月22日の再開業時に建てられたと思われるもので、平成25(2013)年3月16日の改装でログハウス風のデザインになっていた。駅舎に隣接して足湯があったが、こちらもケーブルカーと同時に営業を終了している。

かつては中間駅だった妙見の森ケーブルの終着駅 能勢電鉄鋼索線 ケーブル山上駅(兵庫県川西市)

12月27日には東京都交通局上野懸垂線の上野動物園東園駅と上野動物園西園駅が廃止となる。昭和32(1957)年12月17日に開業した、上野動物園内を走るモノレールで、車両および設備の老朽化により令和元(2019)年11月1日より休止が続いていた。当初の計画では令和6(2024)年7月21日を廃止予定日としていたが、繰り上げにより12月27日で廃止となる。

以上、今年廃止になった13駅を振り返ってみた。駅単体での廃止は少なく、留萌本線と妙見の森ケーブルの路線廃止によるものが目立つ。来年は根室本線の部分廃止やJR北海道の5駅廃止、名古屋港線やスカイレールサービス、立山トロリーバスの廃止が予定されているため、少なくとも18駅が廃止となる予定だ。

鉄道・旅行ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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