HB-E220系により置き換えか 釜石線・東北本線で16両が活躍するキハ100形0番台
11月21日、JR東日本は高崎・盛岡エリアへの新型車両「HB-E220系」の導入を発表した。新造車両数は32両で、令和7(2025)年度下記より2両編成8本を高崎エリア(八高線)、2両編成6本と1両編成4本を盛岡エリア(釜石線・東北本線)に導入する。八高線での置き換え対象と思われるキハ110系については以前の記事で紹介しているので、今回は釜石線での置き換え対象と思われるキハ100系について紹介していこう。
キハ100系はキハ110系(20m級)よりも短い16m級の車体を持つ車両で、その車体長を除けばデザインはキハ110系と共通している。両運転台トイレ付きのキハ100、両運転台トイレなしのキハ101、観光列車に改造されたキハ103の3形式があり、キハ101は左沢線、キハ103は小海線で運用される。キハ100にはプラグドアの0番台と引き戸の200番台があり、200番台は大湊線と乗り入れ先の青い森鉄道線で運用されている。
今回、HB-E220系が導入される釜石線で運用されているのはキハ100形0番台だ。その数はちょうど16両で、導入が予定されるHB-E220系とぴったり符合する。釜石線と直通する東北本線の花巻~盛岡間にも用いられるが、指定席もある釜石線の快速「はまゆり」には使用されない。釜石線では車体長の長いキハ110系も使用されるが、こちらは専ら快速「はまゆり」用で、形式によって運用が分かれていることから考えれば、HB-E220系はキハ100形16両による普通列車の運用を置き換える可能性が高いだろう。2両編成と1両編成の導入が予定されている辺り、キハ100形2両編成の運用と1両編成の運用とで置き換え先の車両が分かれることになりそうだ。すべて1両にして運用を共通化した方が合理的だが、1両編成にすると、運転台やトイレによって乗車定員が減ってしまうという欠点があり、そうした事情から1両編成の数を最低限に抑えたものと思われる。
釜石線で用いられる盛岡車両センター所属のキハ100形0番台は16両。車番は10・11・13~19・22~28で、いずれも平成3(1991)年に富士重工で製造された量産2次車である。東日本大震災以前は山田線でも運用されており、9と12の2両は津軽石駅構内で津波により脱線し廃車となった。
いずれも製造から33年が経過しており、車齢を考えればいつ置き換えられてもおかしくない。一方で、地方私鉄にはキハ100よりもまだまだ古い車両が現役であることを考えれば、それらを置き換えるために譲渡というのも考えられない話ではない。事実、同じキハ100形0番台のうち盛岡車両センター一ノ関派出所(大船渡線・北上線用)所属の39・40・41の3両はひたちなか海浜鉄道への譲渡が発表されており、39と41は既にひたちなか入りしている。
移籍先としてまず考えられるのは、中古車両5両の導入を計画している山形鉄道だが、小湊鉄道をはじめ、老朽化した気動車を抱えている会社は多いため、車齢33年のベテランと言えど、意外と引く手あまたかもしれない。海外譲渡の可能性も捨てきれないところだ。
引退後のキハ100形がどうなるにせよ、HB-E220系の導入により置き換えが始まるまではあと一年ほどしかない。東北の風景によく馴染むキハ100形で旅をしたいなら、早めに行っておいた方がよいだろう。今回は八高線・釜石線への導入だが、今後、大船渡線や花輪線など他の路線にも新型車両が導入される可能性もある。国鉄型車両と違って注目されてこなかったキハ100系・キハ110系を記録するなら、数を減らす前の今が旬といっても過言ではない。
関連記事