立山の絶景を望む、トロリーバスとロープウェイの乗換駅 立山黒部貫光 大観峰駅(富山県中新川郡立山町)
室堂駅から立山トンネルトロリーバスに乗ること約10分、大観峰(だいかんぼう)駅に到着する。ここは、立山トンネルトロリーバスと立山ロープウェイの乗換駅で、立山の東側斜面の険しい地形に駅が建てられている。標高は2,316メートル、室堂駅に次いで日本で二番目に高い鉄道駅(ロープウェイは除く)だ。立山トンネルトロリーバスの廃止により、鉄道駅としては11月30日で営業を終了し、12月1日に廃止となる。
駅舎内ではトロリーバスの改札口とロープウェイの改札口が向かい合っており、実質的には乗換専用駅といった印象だ。改札口前には売店があるものの、筆者が訪問した11月20日時点では営業を終了していた。改札口の上の階には待合室と展望台への出入口があるが、展望台より外に出ることはできない。
その立地ゆえに駅舎の全景を外から眺めることはできないが、設計はル・コルビュジエの弟子で、旧:江津市役所や大学セミナーハウスなどの作品で知られる建築家・吉阪隆正によるものだ。吉阪は同じく立山ロープウェイの黒部平駅の設計にも携わっている。
トロリーバスのホームは半地下で、明り取りの窓が設けられているため、室堂駅よりは明るい印象を受ける。カーブしている上に柱が立っているので、トロリーバスの車両を撮るなら室堂駅でのほうがいいだろう。
大観峰駅は昭和45(1970)年4月25日、トロリーバスの前身である立山トンネルバスの終点として開業。7月25日、黒部平駅とを結ぶ立山ロープウェイが開業し、これによって立山黒部アルペンルートが全通している。立山ロープウェイは、昭和63(1988)年と平成24(2012)年に搬器を更新しており、現在のものは3代目にあたる。
ロープウェイのホームから、進行方向を見下ろしてみると、目のくらむような高さだ。下りのロープウェイは発車時、一旦ガクンと下がるので初めての方は驚くことだろう。景色の美しさとともに、アトラクション的な面白さも感じられる。
立山ロープウェイの大観峰~黒部平間1,638メートルは、間に支柱が一本もない「ワンスパン方式」で、日本ではこことガーラ湯沢スキー場の二ヵ所しかない。このような方式を採用したのは、景観保護だけでなく、雪崩多発地帯のため支柱を建てられないためだ。
標高1,828メートルの黒部平駅との標高差は488メートル。黒部平駅の駅前に出て振り返ってみれば、立山の急斜面に四角い建物がポツンと建っているのが見えるが、ほれが大観峰駅で、どれだけ険しい地形に建てられているのがわかるというものだ。
まもなくトロリーバスの駅としては廃止となる大観峰駅だが、これからも電気バスとロープウェイの駅として存続し続ける。立山黒部アルペンルートへ行かれる際は、乗り換えの合間にでも大自然を克服して建てられた駅に着目してみてはいかがだろうか。
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