【3月18日廃止】列車が一本も停まらない!? 山田線 平津戸駅(岩手県宮古市)
いよいよ明日3月18日に控えたJRグループのダイヤ改正。岩手県を走るJR東日本 山田線では平津戸駅が廃止となる。実はこの駅、列車が一日に一本も停車しない「休止駅」である。休止されたのは昨年3月12日のダイヤ改正。したがって列車が最後に停車したのは令和4(2022)年3月11日。営業休止前の停車列車は下りは19:09発、21:17発の2本、上りは6:13発、17:29発、19:38発の3本のみで、下りの始発列車は全国の駅の中で最も遅かった。
駅待合室は施錠して入ることができないが、外から見やすいところに時刻表が貼られていた。停車する列車がないので当然、5時台から22時台まで上り下りともに空欄が並んでいる。
平津戸駅は昭和6(1931)年10月31日開業。かつては相対式ホーム2面2線の交換可能駅であった。箱型の駅舎(待合室)は平成17(2005)年1月に建てられたもので、休止に際して施錠され、立ち入れなくなっている。かつては木造駅舎があり、無人化後に改装されて細田酒店が入居していたが、後に撤退し、駅舎も建て替えられた。駅舎に商店が併設されていたことなど、今の淋しい駅の様子からは想像もつかない。
平津戸駅があるのは岩手県宮古市平津戸という山間の小集落で、明治21(1888)年4月1日の町村制で門馬村が成立するまでは中閉伊郡平津戸村であった。人家は数軒あるのみで、廃止の理由については「利用者減少のため」と説明されている。昨年ダイヤ改正で廃止とならずに休止とされたのは、駅を正式に廃止するには地元自体および住民との協議や手続きが必要で、そのための時間が必要だったからではないだろうか。休止期間を経て廃止というパターンは、只見線 田子倉駅(平成24年10月1日休止、平成25年3月16日廃止)や柿ノ木駅(平成25年3月16日臨時駅化、平成27年3月14日廃止)、奥羽本線 赤岩駅(平成29年3月4日休止、令和3年3月12日廃止)でも見られた。また、冬季休止を経て廃止というパターンも山田線 大志田駅・浅岸駅(平成25年1月1日以降冬季休止、平成28年3月26日廃止)、北上線 平石駅・矢美津駅(平成28年12月1日以降冬季休止、令和4年3月12日廃止)で見られ、休止や冬季休止は廃止の前段階ということができそうだ。JR東日本の冬季休止駅は奥羽本線 板谷駅・大沢駅(いずれも山形県米沢市)・津軽湯の沢駅(青森県平川市)の3駅で、今後の去就が注目される。