【4月1日廃止】木造駅舎の残る秘境駅 留萌本線 峠下駅
4月1日で石狩沼田~留萌間が部分廃止される留萌本線。全線単線で、当然列車同士が行違うことができる駅が必要だが、50.1キロメートルにも及ぶ全線のうちそのような駅はたった一駅しかない。雨竜郡沼田町から峠を越えて留萌市に入ってすぐの山間にある峠下駅がその交換可能駅だ。駅名はアイヌ語の「ルチㇱ・ポㇰ(峠・下)」を意訳したとされる。
開業は明治43(1910)年11月23日。駅舎は昭和29(1954)年に一部が建て替えられたという記録があるが、詳細は不明。人家も少ない山間だが、列車の行き違いを行う必要から、平成10(1998)年3月まで駅員が勤務していた。現在も冬季は除雪作業を行う保線作業員が駅舎に詰めているため、無人駅ながら人の気配が感じられてホッとする。
利用者が多かった時代の駅舎だけあって待合室は周辺駅と比べて広い。ただし、ベンチの数は多くなく、現在の利用状況に見合った形だ。令和3(2021)年度の一日平均乗車人員はわずか0.4人と現実では、4人掛けのベンチが埋まることもないだろうが。その0.4人もほとんどは鉄道ファンと思われ、地元の利用は限りなくゼロに近いと思われる。駅周辺にはかつて集落が広がり、小学校もあったのだが、今では建物自体がほとんど見当たらない。
開業以来、122年余りに渡って留萌本線の安全運航を支えてきた峠下駅も3月31日限りで役目を終える。この駅で列車がすれ違うのもあとわずかだ。