Yahoo!ニュース

豪雨被害で不通の津軽線(蟹田~三厩間)、令和9(2027)年春廃止へ

清水要鉄道・旅行ライター
三厩駅で発車を待つ津軽線キハ40

 11月5日、JR東日本は青森県を走る津軽線の蟹田~三厩(みんまや)間について、令和9(2027)年春を目途に廃止する方針を示した。同区間は令和4(2022)年8月豪雨による被害で2年以上不通となっており、復旧費用と利用者減少を理由にJRと地元自治体の間で廃止に向けた話し合いが行われていた。今年5月には廃止とバス・タクシー転換について、JRと地元自治体の間で合意がなされており、年内にも合意方針が書面で取り決められる予定だ。

 これにより、同区間にある中小国、大平、津軽二股、大川平、今別、津軽浜名、三厩の7駅も廃止となるものと思われるが、津軽海峡線が分岐する新中小国信号場(中小国~大平)間については線路自体は残るであろう。定期旅客列車こそないものの、JR東日本とJR北海道の営業上の境界となっている中小国駅の扱いがどうなるかが気になるところだ。

列車が来なくなった三厩駅構内
列車が来なくなった三厩駅構内

 列車が不通となっている現在、代行バスおよび乗り合いタクシー「わんタク」によって代行輸送が行われているが、廃止後の代替手段がどうなるのかも気になるところだ。わんタクは、津軽線の駅から離れたところにある三厩市街地や観光名所の龍飛岬までカバーしており、地域輸送や観光客輸送の観点から見れば、わんタクが代替交通の基礎となるのが望ましい。

 令和8(2026)年度にはJRと地元自治体で運営法人をつくり、代替交通および町営バスを一体で運営することも予定されているとのことだ。

 予定された廃止まで2年と数か月、その期間で代替交通や地域のあり方についての議論を深め、地元にとってよりよい代替交通がつくられることに期待したい。

関連記事

津軽線末端区間 豪雨被害からの復旧を断念し廃線 バス・タクシー転換へ

一部廃止でまもなく終着駅に 本州の北の玄関口の栄枯盛衰 津軽線 蟹田駅(青森県東津軽郡外ヶ浜町)

停車列車がなく、貨物列車だけが通過する会社境界駅 津軽線・海峡線 中小国駅(青森県東津軽郡外ヶ浜町)

北海道新幹線の高架を望む、列車が来ない廃止予定駅 津軽線 大平駅(青森県東津軽郡外ヶ浜町)

奥津軽いまべつ駅に隣接する「道の駅いまべつ」併設駅 津軽線 津軽二股駅(青森県東津軽郡今別町)

津軽半島の山並みを望む集落の無人駅 津軽線 大川平駅(青森県東津軽郡今別町)

新海誠監督の映画にも登場! 港町として栄えた今別町の玄関口 津軽線 今別駅(青森県東津軽郡今別町)

最寄り駅だった高校は廃校に 御年64の線内で最も新しい駅 津軽線 津軽浜名駅(青森県東津軽郡今別町)

青函トンネル建設工事を支えた津軽半島最北端の終着駅 津軽線 三厩駅(青森県東津軽郡外ヶ浜町)

鉄道・旅行ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

清水要の最近の記事