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奥津軽いまべつ駅に隣接する「道の駅いまべつ」併設駅 津軽線 津軽二股駅(青森県東津軽郡今別町)

清水要鉄道・旅行ライター
津軽二股駅

 令和4(2022)年度の一日平均乗車人員はわずか20人と、日本の新幹線駅の中でもっとも利用者の少ない駅として知られる、北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅。そんな駅に寄り添うようにひっそりと存在しているのが津軽線の津軽二股駅だ。新幹線駅に隣接していながら、別の駅として扱われている珍しい駅でもある。

ホーム
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 津軽二股駅は昭和33(1958)年10月21日、津軽線の蟹田~三厩間延伸に伴い開業した。駅名は駅から700メートルほど南にある二股集落に由来し、函館本線二股駅と区別するべく郡名の「津軽」が冠された。二股の地名は川が二つに分かれることに由来するもので、二股集落の東では今別川と上股川が合流している。

津軽今別駅 左手が津軽二股駅入口
津軽今別駅 左手が津軽二股駅入口

 昭和63(1988)年3月13日、青函トンネルを通る海峡線の開業に合わせ、津軽二股駅に隣接する津軽今別駅が開業した。津軽今別駅は青函トンネルの本州側の保守基地である「新津軽二股信号場」として計画されたもので、地元の請願により正式な駅として開業した。津軽二股駅と同一駅としなかった理由ははっきりしないが、おそらくは運賃計算上の理由ではないだろうか。同一駅とすれば、中小国~津軽二股間で経路が二つに分かれ、計算が煩雑になってしまう。

 もっとも、津軽今別駅は停車する列車も極めて少なく、一日平均乗車人員も平成26(2014)年度はわずか1人と、存在意義の極めて薄い駅だった。仮に同一駅で停車列車が多かったとしても、乗換客は少なかったのではないだろうか。

奥津軽いまべつ駅開業以前 津軽二股駅より中小国方を眺める
奥津軽いまべつ駅開業以前 津軽二股駅より中小国方を眺める

 かつての津軽今別駅は、津軽二股駅に隣接する築堤上にホームがあり、駅舎のない極めて簡素な駅だった。北海道新幹線開業に合わせて奥津軽いまべつ駅に進化し、みどりの窓口もある巨大な有人駅に生まれ変わったが、当時のさびしい姿からは到底今の巨大な駅になるとは想像できなかった。

道の駅いまべつ
道の駅いまべつ

 津軽今別駅の開業後、津軽二股駅も大変化を遂げた。平成9(1997)年4月11日、解体された旧駅舎の跡地に「道の駅いまべつ」がオープンしたのだ。内部には売店、食堂、情報コーナーがあり、玄関部分が津軽二股駅の待合室としての機能を兼ねているが、乗車券は販売していない。食堂では地元の特産のいまべつ牛を使ったメニューも提供されている。

奥津軽いまべつ駅
奥津軽いまべつ駅

 道の駅いまべつから通路を真っすぐ進むと北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅だ。高さ25メートルの巨大な橋上駅で、入口から改札階までは116段の階段を上る。この階段、開業時は115段とされていたため、駅員が頭を下げる「お詫び」の表示が設置されている。

津軽二股駅に停車する津軽線三厩行き 平成25(2013)年12月
津軽二股駅に停車する津軽線三厩行き 平成25(2013)年12月

 津軽線は令和4(2022)年8月豪雨の被害により長期運休中で、復旧することなく令和9(2027)年春には廃止される予定だ。津軽二股駅も廃止されるものの、「道の駅いまべつ」は引き続き残り、奥津軽いまべつ駅前で唯一の売店・食堂としてこれからも重宝されていくことだろう。駅跡地の活用等は未定だが、新幹線駅隣接駅という便利な立地を生かして、津軽線の存在を未来に伝える鉄道公園にでも生まれ変わることを期待したいものだ。

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鉄道・旅行ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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