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令和7(2025)年は昭和100年! 今年乗っておきたい昭和の鉄道車両<JR編>

清水要鉄道・旅行ライター
山口線で活躍するキハ40

 今年、令和7(2025)年は昭和の暦で記すと「昭和100年」となる節目の年である。昭和が終わり、平成になってからですら36年。昭和はますます遠い時代になりつつある。かく言う筆者も平成生まれで、昭和という時代を知らない世代である。

 鉄道においても昭和生まれの車両は年々数を減らしつつあるが、地域によってはまだまだ昭和生まれの車両が現役だ。とは言え、鉄道車両の寿命は一般的にだいたい30~50年。昭和の鉄道車両に乗るのであれば、今が最後のチャンスである。そこで、今回はJR編と私鉄・三セク編の2回に分けて、昭和100年の節目の年に乗りたい鉄道車両を紹介していこう。

播但線の103系3500番台
播但線の103系3500番台

 まず紹介するのは、昭和38(1963)年に登場した103系だ。国鉄の通勤型電車を代表する形式で、昭和59(1984)年までの21年間に3,447両が製造された。北は仙台の仙石線から、南は福岡の筑肥線まで、首都圏・中京圏・京阪神圏といった大都市圏を中心に活躍を見せたが、現役で活躍するのはわずか49両しかない。内訳は加古川線に2両編成7本14両、播但線に2両編成9本18両、筑肥線に3両編成5本15両だ。このうち加古川線と播但線は中間車からの改造車、筑肥線は地下鉄直通用の1500番台で、いずれもオリジナルの103系とは外観も大きく異なる。加古川線の3550番台と筑肥線の1500番台は貫通デザインなので、改造車ながら播但線の3500番台が、一番オリジナルに近いと言えよう。パンタグラフを2基上げてローカル線を走る姿は、長編成で大都会を走った往年の103系とはまったく別物だが、これはこれで魅力に溢れている。今のところ、置き換え計画はないが、車齢を考えればいつ消えてもおかしくないだろう。

加古川線への転用から20年 7編成14両が活躍を続ける国鉄通勤型電車 103系3550番台

福知山地区で活躍する113系5300番台
福知山地区で活躍する113系5300番台

 103系が通勤型の代名詞なら、近郊型の代名詞は113系と115系だろう。このうち113系は昭和38(1963)年から昭和57(1982)年までの19年間に2,943両が製造された。113系は前年に登場した111系のモーター出力を強化した改良版で、房総・東海道・近畿・山陽を中心に活躍し、のちに改造車両の転用で活躍範囲を北近畿や四国にも広げた。現在は、福知山地区と岡山地区で最後の活躍を続けている。福知山には2両編成5本が在籍しており、舞鶴線と山陰本線(綾部~城崎温泉間)と京都丹後鉄道宮福線で運用されるが、いずれも中間車から改造された5300番台だ。岡山には4両編成4本が在籍しており、山陽本線(姫路~三原間)と赤穂線播州赤穂以西と伯備線備中高梁以南で運用される。岡山の113系は227系への置き換えが進められており、風前の灯火といった感がある。福知山の113系は今のところ置き換え計画はないが、少数派ゆえに消えるときは一瞬だろう。5本のうちS9編成は昨年6月より初代福知山色に復刻されている。

岡山地区で活躍する115系
岡山地区で活躍する115系

 115系は昭和38(1963)年から昭和58(1983)年までの20年間に1,921両が製造された。113系とは見た目がよく似ているが、モーターやブレーキなどの性能面に違いがある。見た目もよく見るとタイフォンなどに違いがあるものの、両形式間での改造による編入や、同一形式間でのバリエーションもあってややこしい。113系は温暖で勾配の緩い線区、115系は慣例で勾配のきつい線区に投入される傾向があったが、その後の転用による混在もあって、こちらも現在はあまり差がなくなっている。

 115系は北関東や甲信越、山陽を中心に活躍していたが、JRでは岡山地区と下関地区、三セクではしなの鉄道に残るのみとなっており、下関以外では置き換えが進められている。岡山には4両編成11本と3両編成22本と2両編成8本が在籍し、山陽本線(姫路~三原間)と赤穂線播州赤穂以西、宇野線、伯備線、山陰本線(伯耆大山~西出雲間)、福塩線府中以南で運用される。原型に近い車両や湘南色の復刻編成、食パンスタイルの中間車からの改造車も在籍し、バリエーションも豊富だが、227系への置き換えが進む。下関には4両編成18本と2両編成4本が在籍し、山陽本線(岩国~下関間)で運用される。2扉の優美な3000番台と、食パンスタイルの中間車からの改造車があり、今のところ置き換え計画はない。しなの鉄道には3両編成8本が在籍し、復刻塗装編成もあるが、SR1系への置き換えが進められており、令和10(2028)年までに引退する予定だ。

長野地区で活躍する211系
長野地区で活躍する211系

 211系は前述の113系・115系の後継車両として、昭和60(1985)年に登場した。国鉄再末期の登場で、JRに移行してからも平成3(1991)年まで製造が続けられた。JR東日本では高崎地区と長野地区、JR東海では静岡地区で活躍しているが、JR東海の車両は3月ダイヤ改正で引退予定だ。平成まで製造が続いていただけあってあまり「昭和の電車」という印象は強くないが、平成後期や令和の電車と比べるとやはり昔の電車という印象は拭えない。引退寸前の東海の車両と違い、東日本の車両は延命工事も実施されているので、あと数年は元気に活躍することだろう。当たり前のように乗れるうちに乗っておきたいものだ。東海から三岐鉄道に第二の職場を見出した車両たちの今後にも注目したい。

鹿児島・宮崎地区で活躍するキハ47
鹿児島・宮崎地区で活躍するキハ47

 電車だけでなく気動車でも昭和の車両は現役だ。昭和52(1977)年に登場したキハ40系は、JR東日本ではジョイフルトレインを除き引退、JR東海では完全引退したが、JR北海道・JR西日本・JR四国・JR九州の4社では未だ現役だ。北海道では置き換えが進み風前の灯火で、四国では活躍範囲を狭めている上に置き換え計画があるが、西日本と九州では引退の兆しも見えない。道南いさりび鉄道・会津鉄道・小湊鉄道・北条鉄道・錦川鉄道といった私鉄・3セク、そして海外のミャンマー・タイでも活躍しているので、消える日はまだまだ先だろうが、数があるうちに乗っておきたいものである。

松山地区で活躍するキハ54
松山地区で活躍するキハ54

 キハ54形は分割民営化直前の昭和61(1986)年に登場し、経営困難が予想される北海道と四国に導入された。北海道で活躍する寒冷地仕様の500番台と四国で活躍する温暖地仕様の0番台は同じ形式ながら、窓や扉など見た目も大きく違っている。北海道では今のところ置き換え計画はないものの、過酷な環境で酷使されているゆえに近い将来の置き換えが予想される。四国ではキハ40やキハ32などとともに来年度から令和12(2030)年度にかけて置き換えられる予定で、全12両が現役の今のうちにキハ32ともども乗っておいた方が良いだろう。

キハ185 特急「剣山」
キハ185 特急「剣山」

 分割民営化直前の昭和61(1986)年に登場したキハ185系は、定期運用が残る最後の国鉄型特急車だ。JR四国への移行後に開発された2000系に主役の座を奪われたため、「四国特急の顔」だった期間は短かったが、ローカル特急などで細々と生き延びてきた。普通車に改造されたものや、JR九州に譲渡されたものもあるが、後継の2000系の廃車が進む中、誕生から39年経った今なお52両すべてが現役だ。とはいえ、来たる3月ダイヤ改正では特急「むろと」廃止や特急「剣山」減便、特急「うずしお」からの撤退が予定され、活躍の場を一気に狭めることとなる。完全引退はまだ先だが、国鉄型特急の生き残りに乗るなら今だろう。

 続く私鉄・三セク編では、私鉄・三セクで活躍する昭和の鉄道車両のうち、今年乗っておきたい車両たちを紹介する。

令和7(2025)年は昭和100年! 今年乗っておきたい昭和の鉄道車両<私鉄・三セク編>

鉄道・旅行ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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