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2024年紅白歌合戦 歌唱時間4分以上の8組のうちNHKがもっとも推しているのは誰か

堀井憲一郎コラムニスト
(写真:2017 TIFF/アフロ)

2分の歌手と4分の歌手

紅白歌合戦は歌手によって、与えられている歌唱時間に差がある。

2分ちょっとでおしまいの歌手と、4分超えて歌っている歌手分けられている。

短く歌う歌手は、だいたい前半に集められる。

長く歌ってもらう歌手はうしろのほうに出る。

前半に2分の歌手で後半に4分の歌手

2024年の紅白歌合戦は、7時20分から8時55分までの前半(1時間35分)と、ニュースをはさんで9時から11時45分までの後半(2時間45分)に分かれていた。(例年だいたい同じである)

前半は95分、後半は165分と、時間が1.7倍くらいちがっている。

でも前半で出る歌手は21組、後半も21組である。
(企画ものは除く)

前半に出てくる歌手は短く2分台で、後半の歌手は3分以上は歌う。

そうなっている。

それが紅白歌合戦の基本構成である。

一番長かったのはB’z

2024年長く歌ったのは誰か。

5分以上は4組だった。

7分54秒 B'z(移動の50秒余を含む)【特別企画】
5分44秒 MISIA(最終歌唱者)

5分27秒 福山雅治(白組最終歌唱者)

5分20秒 藤井風

※歌唱時間については前奏・後奏を含み、音が止み終わったあともダンスの動きが続いていれば入れる、意図した無音だとおもわれる場合は(星野源、藤井風など)それも入れる、というのを原則としている。開始と終了タイミングが人によって判断は違うとおもわれるので、あくまで個人計測として数字を見てもらいたい。計測しようによっては1秒ほどのズレが出る。

B’zでもMISIAでも福山雅治でもなく

B’zはサプライズ移動が入っていたため、8分近かった。

ただそれを差し引いても7分超えの歌唱なので断然長かったのはたしかだ。

MISIAと福山雅治はそれぞれ紅組と白組の最終歌唱の人である。毎年、長い。

だから、藤井風は一般枠では一番長かったことになる。

NHKが(紅白歌合戦が)いま一番推していそうにおもえる。

4分超えていたのはMrs. GREEN APPLEら4組

それ以下、歌唱が4分を超えたたっぷりの人は以下の4人。

4分31秒 玉置浩二【特別企画】

4分29秒 星野源

4分13秒 高橋真梨子 

4分04秒 Mrs. GREEN APPLE

星野源は、歌い出し前にためがあり、歌い終わる前にもためがあって、そのぶん長くなっている。

あのためは、歌唱時間に入るだろう。

ちょっとどきどきした。

3分15秒以上にVaundyに米津玄師

以下、3分15秒以上だった歌手の長い順。

3分47秒 Vaundy 

3分28秒 米津玄師 

3分27秒 イルカ 

3分25秒 西野カナ 

3分22秒 竹下景子+武田鉄矢+田中健+松崎しげる  

3分16秒 あいみょん 

3分16秒 石川さゆり 

3分以上の南こうせつら6組

3分以上まで広げるとこうなる。

3分14秒 南こうせつ 

3分09秒 坂本冬美 

3分08秒 Superfly 

3分08秒 氷川きよし 

3分07秒 椎名林檎ともも 

3分06秒 TWICE

すべて後半にでている歌手である。

歌唱の短かったテンポのいい11組

短かった歌手を短い順に並べておく。2分15秒以内。

(キッズソングとディズニーソングのメドレーはのぞく)

1分57秒 こっちのけんと 

1分59秒 櫻坂46 

2分01秒 ME:I  

2分05秒 ILLIT  

2分06秒 Omoinotake  

2分07秒 Da-iCE  

2分07秒 JO1 

2分09秒 TOMORROW X TOGETHER  

2分11秒 新浜レオン 

2分12秒 純烈 

2分12秒 BE:FIRST 

後半では三山ひろしの歌唱がとびぬけて短い

短いのは、みんな前半に歌った人たちだ。

2分30秒以内の短めの歌唱はほぼ前半なのだが、ひとつだけ後半のものが入っている。

それはけん玉の三山ひろし。2分20秒。

彼の歌が2分20秒で終わっちゃうものだから、けん玉はまだ112人めあたりで、それから20秒以上無音でけん玉が続いて、最後に三山ひろしが決めたときに2分42秒だった。どきどきする。

もう少し長い演歌を歌ったほうがいいんじゃないかとおもうが、でも、あの「無音でけん玉」というのがなかなかたまらないから、これぐらいのがいいのかもしれない。

三山ひろしの歌がどういう内容か、頭に入ってきたことは一度もない。

だからこそ、けん玉は続いて欲しい。

前半でもっとも長かったのは「366日」HY

ちなみに前半で、歌唱がもっとも長かったのはHYの「366日」である。

長いといっても2分43秒。

次が郷ひろみの2分40秒だった。

前半の7時台8時台は、3分以上は歌わせてもらえないのが、日本の決まりである。

NHKが注目しているのは藤井風

歌唱時間5分以上は4組、さらに4分以上が4組だった。

B’zは、司会の橋本環奈の朝ドラ「おむすび」の主題歌を歌ったうえに、サプライズでさらに2曲を歌って長かった。

これはB’zというより、NHKが橋本環奈をすごく推しているということではないか、とおもわれる。(B'zが橋本環奈推しに協力したから、に見えた)

MISIAと福山雅治は2020年代はもうずっとこの2人で番組を締めている。長く歌ってもらうことになっている。

なので、これから注目しているというか、NHKがもっとも自由にやらせてあげているという印象を持つのが、藤井風。


期待である。

コラムニスト

1958年生まれ。京都市出身。1984年早稲田大学卒業後より文筆業に入る。落語、ディズニーランド、テレビ番組などのポップカルチャーから社会現象の分析を行う。著書に、1970年代の世相と現代のつながりを解く『1971年の悪霊』(2019年)、日本のクリスマスの詳細な歴史『愛と狂瀾のメリークリスマス』(2017年)、落語や江戸風俗について『落語の国からのぞいてみれば』(2009年)、『落語論』(2009年)、いろんな疑問を徹底的に調べた『ホリイのずんずん調査 誰も調べなかった100の謎』(2013年)、ディズニーランドカルチャーに関して『恋するディズニー、別れるディズニー』(2017年)など。

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