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令和7(2025)年は昭和100年! 今年乗っておきたい昭和の鉄道車両<私鉄・三セク編>

清水要鉄道・旅行ライター
阪堺電気軌道モ161形

 今年、令和7(2025)年は昭和の暦で記すと「昭和100年」となる節目の年である。前の記事では、そんな昭和100年に乗りたいJRの車両を紹介したが、この記事では私鉄・三セクの車両を紹介していこう。

令和7(2025)年は昭和100年! 今年乗っておきたい昭和の鉄道車両<JR編>

 私鉄においては、JR以上に昭和生まれの車両がまだまだ現役で活躍しているが、その中でも最も古いのが阪堺電気軌道モ161形だ。昭和3(1928)年登場で、今年で97年目となるが、2両が現役、2両が休車ながらも車籍が残っている。冷房がないため、基本的には冬季のみの運用だ。

能勢電鉄1700系
能勢電鉄1700系

 関西では路面電車以外でも古い車両がまだまだ現役で走っている。能勢電鉄1700系は、昭和35(1960)年に登場した阪急電鉄2000系を平成2(1990)年に譲り受けたもので、今なお4両編成2本が活躍している。現役の8両の中で特に古いのは1757編成の中間車の1737で、昭和35(1960)年11月製造。全車が還暦越えの古豪だが、寄る年波には勝てず、令和8(2026)年春の引退が予定されている。

南海電鉄6000系
南海電鉄6000系

 南海電鉄6000系は昭和37(1962)年登場。東急車輛がアメリカのバッド社からライセンス供与を受けて開発したオールステンレス車体を採用した電車で、全長20mの大型車としては国内初のオールステンレス車だ。同世代の東急7000系と京王3000系が地方に転じる中、南海高野線で60年以上に渡って活躍を続けてきたが、今年度内の引退が予定されている。一方、大井川鐡道に譲渡された車両もあり、昨年12月30日より運転を開始した。

小湊鉄道キハ200形
小湊鉄道キハ200形

 一方、関東を代表する古い車両はと言うと、まず小湊鉄道キハ200形が挙げられる。昭和36(1961)年に登場し、昭和52(1977)年までの長きに渡って製造された。国鉄キハ20系を元に改良を加えた気動車で、おでこに並んだ2つのライトが特徴。JRから譲り受けたキハ40系によって一部が置き換えられたものの、まだまだ現役で、これからも昭和の雰囲気たっぷりの姿を見せてくれることだろう。

東武鉄道8000系
東武鉄道8000系

 東武鉄道8000系は昭和38(1963)年に登場し、昭和58(1983)年までの20年間で712両が製造された。国鉄・JRを除く私鉄では最多両数で、同時期に製造された国鉄通勤型になぞらえて「私鉄の103系」とも呼ばれる。近年は数を減らしているものの、野田線や支線区で活躍を続けており、最古参の8111編成は動態保存から現役に復帰した珍しいケースである。

三陸鉄道36‐100形
三陸鉄道36‐100形

 昭和の終わりに登場した車両にも注目しておきたい。三陸鉄道36‐100形・36‐200形は昭和59(1984)年の三陸鉄道開業に合わせて登場した。その後の三セク転換路線の主力となったNDC(新潟鉄工所の軽快気動車)の基礎をつくった車両であるが、規格や設備は国鉄の気動車に近い。200形は基本的に同型だが、自動販売機が設置されているという違いがある。イベント用などに改造された車両もあるが、老朽化や震災による被災などで廃車が進み、現在は8両が現役で活躍している。

野岩鉄道6050系
野岩鉄道6050系

 野岩鉄道6050系は、昭和61(1986)年の会津鬼怒川線の開業に合わせて東武鉄道から譲渡された車両で、東武鉄道と会津鉄道の同型車と共に、浅草からの日光・鬼怒川・会津への快速運用に用いられた。快速の廃止後はローカル運用に転じたものの、ワンマン化に伴って活躍範囲を狭め、野岩鉄道所属の2両編成2本を除いて廃車となった。残る2本のうち61103編成はお座敷列車「やがぴぃカー」に改造されている。現在は鬼怒川温泉~会津高原尾瀬口間で活躍しているが、3月ダイヤ改正では会津田島乗り入れが3年ぶりに復活する予定だ。

 赤モケットのボックスシートが並ぶ車内は往年の急行列車を彷彿とさせる。昭和も終わりに登場した電車だが、昭和100年に乗るにはぴったりの車両と言えよう。

阿武隈急行8100系
阿武隈急行8100系

 阿武隈急行8100系は、昭和63(1988)年の阿武隈急行線全通に合わせて導入された車両で、国鉄713系をベースに改良を加えているため、国鉄の電車ではないのに国鉄型のような雰囲気が漂う。近年は置き換えが進み、2両編成2本が残るのみだ。こちらも昭和の終わりの電車ながら、懐かしい雰囲気の車内で旅情をかき立てる、昭和100年に乗るにふさわしい電車だ。

 以上、私鉄・三セクから7つの車両を紹介してきたが、昭和生まれの車両はこれ以外にもまだまだ現役で活躍している。昭和100年の節目の年、昭和を知る世代も知らない世代も、昭和生まれの車両で旅をしてみるのはいかがだろう。

鉄道・旅行ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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