2024年に反響のあった食の炎上事件トップ5 あの3億回表示された「港区女子の高級鮨店騒動」は何位?
反響のあった食の炎上事件の記事
2025年が幕を開けました。飲食業界は2024年、コロナ禍を経て、通常運転となってきました。ただ、食に関する炎上事件は変わらずに起きており、さまざまな事案を記事で取り上げてきました。
昨年一年間を振り返って、ページビューやSNSの反応から、反響のあった食の炎上事件トップ5を紹介しましょう。
5位/ドタキャンさせない
・娘が手術で、全額支払うとドタキャンの連絡 飲食店オーナーが「キャンセルできない!」と激怒して物議(東龍) - エキスパート - Yahoo!ニュース
飲食店の話題では、たびたびドタキャン(直前キャンセル)やノーショー(無断キャンセル)が物議を醸します。
Threadsで、飲食店の予約をドタキャンした客による、次のような投稿がありました。
ある母親が娘と利用するために飲食店のディナーを予約しました。この店に何度も通っており、他の客も紹介し、これまでキャンセルしたこともない、いわゆる良客です。予約時間直前になって、娘が緊急で入院手術することになり、全額支払うとキャンセルの電話を入れました。しかし、キャンセルできないとオーナーが激怒したので、母親が一人で訪れることになりますが、来店するとオーナーの妻から、急遽2人分予約が入ったから病院に行ってと促されます。この態度や対応に、母親はもうこの店には2度と行かないと言及。
現在は投稿が削除されてしまっていますが、賛否両論を呼びました。
件の客は良客であり、仕方ない事由によるキャンセルなので、キャンセル料を課されなくても驚きはありません。しかも、きちんとキャンセル料を支払うといっているのです。それなのに、キャンセル自体を認めずに激怒する態度は、明らかに度を越えています。
ドタキャンやノーショーは起きないに越したことはありません。しかし、不幸にも起きてしまった場合には、飲食店にも冷静な対応を期待したいところです。
4位/高級鮨店で大将に殴られかけた港区女子
・3億回表示の港区女子「高級鮨店で大将に殴られかけた」事案 投稿削除で幕引きも、考察するべき7つの点(東龍) - エキスパート - Yahoo!ニュース
コースだけで4万円、客単価が5万円を超える広尾の鮨店に訪れた、ある女性客によるXへの投稿が著しい反響を呼びました。
Xの投稿によると、女性客の前に、大将が他の客から差し入れられた白ワインを置いたことに端を発しています。女性客が「二日酔いで気分が悪いので、目の前に置かないでくれ」と伝えたところ「お客様からもらったものだ」と大将が言い返したことで、言い争いが勃発。
女性客が「こんなお鮨屋さん初めて」と会計して帰ろうとしたところ、大将が怒り心頭に発し、弟子に羽交い締めにされます。この様子を女性客に同伴した男性客が撮影。退店後に女性客が写真と「大将に殴られかけた」と騒動の様子をXに投稿したところ、約3億ものインプレッション(表示回数)があり、多くの物議を醸したのです。
女性客の一方的な発言に対して、SNSや記事、動画などで、同席していたと思われる他の客が「大将を挑発していた」と証言したり、大将が「何度注意しても動画撮影を止めようとしなかった」「他の客に迷惑をかけていたので怒った」「弁護士に相談して法的措置を検討中」とコメントを寄せたりしています。
後になって、女性客がYouTubeの動画配信で、同伴していた男性客が250枚の写真を撮影していたと述べていました。
現在は関連するポストが全て削除されています。
この事案に関連して、私は東洋経済オンラインで高級鮨店に関する記事を書きました。Yahoo!ニュースに転載されて、トピックスになるなど、多くの関心がもたれたようです。
鮨をはじめとして、日本の食は非常に素晴らしいだけに、世界で評価される鮨店で今事案のような問題が起きないことを切望しています。
3位/子どもが触った全商品を買取
・元アイドルが、子どもが触った1330円の全商品を買取で「厳しい世の中」と吐露 賛否両論も違和感のワケ(東龍) - エキスパート - Yahoo!ニュース
女性アイドルグループSDN48の元メンバー、光上せあら氏によるブログが物議を醸しました。
「子供達が触ったもの全買取。」(原題ママ)と題された記事で、子どもと病院へ訪れた際に利用した、院内のカフェの出来事について言及。商品に触らないように“かなり怒って注意”したにもかかわらず、注文や会計で目を離している隙に、子どもが店のサンドイッチに触れます。
サンドイッチの形が崩れていることに気付かず、商品を元の位置に戻したところ、店員から指摘されて、全商品1330円分を買い取ることになりました。
その後、光上氏は「子供を産めないな、って思ったけど希望は捨てない」というタイトルの記事で、全商品を買い取らざるを得なかったことについて「今はまだ、子供に厳しい世の中」「子育てへの援助が足りてない」と真情を吐露します。
SNSではたくさんの反響が寄せられており、擁護する声もあれば、批判する意見もあって賛否両論。
今事案では、どの病院なのか、どのカフェなのか、明示されていないのでわかりません。ただ、病院の料飲施設はほとんどが委託であり、委託を受けられるくらいであれば、ある程度の規模を誇る企業であるのは確かです。
しかし、どれだけ大きな企業であったとしても、飲食店が容易に利益を上げられるような業種でないことは間違いありません。
少子化によって国力が弱くなっていく日本において、食は日本が世界に誇れる極めて重要なコンテンツです。
子育てがしやすい社会を目指し、構築していくことは必要だと思います。しかし、そうだからといって、日本の未来を担う飲食店の損害を是とするような主張は、将来的に日本人の首を絞めることになるのではないかと危惧せざるを得ません。
2位/「40分でドリンク4杯と料理3品」の4人客を退店
・居酒屋が「40分でドリンク4杯と料理3品」の4人客を退店させる “せこい生き方”と酷評して波紋!(東龍) - エキスパート - Yahoo!ニュース
ある飲食店によるThreadsへの投稿が波紋を呼びました。
その投稿とは、18時から入店した大人4人の客に対するもの。40分を過ぎたあたりで注文が、それぞれアルコール1杯ずつと全員で料理3品。アルコールの追加を尋ねますが、オーダーはありません。食事を終えたなら退店して席を空けてくれと伝え、もう来てもらわなくていいと思ったといいます。
「せこい生き方しか出来ない様な人」「お店の事を考えていただけないお客様はうちではお客様ではありません」と辛辣な表現もあることから、ポストに対して批判的なコメントが多いです。
飲食店と客は契約関係にあります。飲食店がどのような料理やドリンク、サービスを、どういった条件で、いくらで提供するかを提示し、客が選ぶことで契約が成立します。
件の居酒屋も、客にイライラするくらいであれば、ルールを定めて明示した方がよいです。今事案を鑑みれば、最低でも1人1ドリンクと1品はオーダー必須とし、繁忙期には1時間過ぎたら追加注文を必須とするのがよいのではないでしょうか。
飲食店は開業してから1年後に2割、3年後に5割、5年後に8割が廃業するともいわれている業態。小規模な飲食店は経営が厳しいだけに、オーダールールをしっかりと定め、売上を伸ばしていただけたらと思います。
1位/男女が定食1品を注文し、おかわり自由のご飯をシェア
・中年の男女が定食1品を注文し、おかわり自由のご飯を2人でシェア 従業員が「お里が知れる」と嘆いて物議(東龍) - エキスパート - Yahoo!ニュース
Threadsで、ある飲食店勤務の女性による投稿が話題となりました。
ランチタイムに男女2人が来店し、定食1つとビール1杯だけを注文。その時点で不安を感じましたが、嫌な予感は的中します。ランチタイムには定食のご飯とスープがおかわり自由になっていますが、男性がオーダーした定食のご飯とおかずを女性に取り分けた後に、ご飯を大盛りでおかわり。投稿者は、子連れなら理解できて実際に多いと述べた後に、今回の事案について「こんなセコイ人間にはなりたくない」「お店に失礼」「お里が知れる」と嘆いていました。
この投稿への返信という形で、客は40代くらいの男女であること、投稿者の勤務先は居酒屋のチェーン店であること、これらはあくまでも自身の意見であり、会社の見解ではないことが述べられています。
投稿への返信を見てみると、同情を寄せる意見が大半です。同じく飲食店関係者からは、自身が遭遇した事案を紹介する人もいました。
飲食店におけるコスパ至上主義が、シェアするなどして何も注文しない人を生み出しているのではないかと危惧しています。
明確なルールを設けることによって、損害を低減させることができます。少なくとも、カフェであれば1人1ドリンク、ラーメン店やファミリーレストランであれば1人1品、ファインダイニングであれば1人1コースのオーダーを必須とするべきです。居酒屋であれば、夜は1人1品もしくは1ドリンク、ランチであれば1人1品が妥当。おかわりにしても、オーダーした本人だけが利用できるとしておくべきでしょう。
モラルのない客はスタッフの士気を下げるため、飲食店はルールやポリシーをしっかりと定めて明示し、毅然とした態度で客に対応することが重要です。
国内の課題を解決
2024年を振り返ってみると、ドタキャン、高級鮨店での振る舞い、子どもが触った商品の買い取り、料理やドリンクのオーダー、おかわり自由のシェアが話題となりました。それぞれが課題を内包していることは確かです。
訪日外国人の数は2024年の1月から11月までで3337万人となり、過去最多だった2019年1年間の3188万人を超えました。農林水産物・食品の輸出額は2023年に過去最高の1兆4547億円となり、2024年はこれを超えそうな勢いです。日本の食は外国に誇れるものですが、日本国内の問題を解決していけたらと思います。