居酒屋が「40分でドリンク4杯と料理3品」の4人客を退店させる “せこい生き方”と酷評して波紋!
40分で追加オーダーなし
飲食店で食事する際には、どのようなペースで注文しますか。
ある飲食店によるThreadsへの投稿が波紋を呼んでいます。その投稿とは次の通り。
18時から入店した大人4人の客に対する意見を述べています。40分を過ぎたあたりで注文が、それぞれアルコール1杯ずつと全員で料理3品。アルコールの追加を尋ねますが、オーダーはありません。食事を終えたなら退店して席を空けてくれと伝え、もう来てもらわなくていいと思ったといいます。
これには大きな反響があり、「せこい生き方しか出来ない様な人」「お店の事を考えていただけないお客様はうちではお客様ではありません」と辛辣な表現もあることから、ポストに対して批判的なコメントが多いです。
通常の注文数
同店と思われる居酒屋の公式グルメサイトを確認してみると、客単価が4,000円から5,000円。お酒は生ビールの中サイズが495円、日本酒の品揃えが豊富で一合500円前後です。料理は和風ポテトサラダが528円、焼鳥盛合せが5本で825円、刺身盛合せは5種で1,280円、サイコロステーキが1,890円となっています。
客単価とメニューの値段を鑑みると、通常は1人あたり3杯から4杯くらい飲んで、料理は2品から3品くらい注文する感じではないでしょうか。居酒屋の経営目標として、客1人あたり、料理3.5品とドリンク2.5杯といわれることもあるので、これにも合致しています。
平均との比較
居酒屋での平均的な滞在時間は2時間から3時間といわれており、繁忙期には滞在時間を90分や120分に制限している店もあります。
件の事案では、入店してから40分で客を退店させました。平均的な滞在時間に当てはめると、あと1時間くらいは滞在することになるので、もしかすると、何かを食べたくなったり飲みたくなったりして、追加で注文したかもしれません。
オーダーした料理3品によっても、印象は変わります。もしも注文した料理3品が、焼鳥3本ということなら単価が低いので店としてはとても困るでしょう。しかし、大皿の刺し身、尾頭付きの魚料理、ボリュームたっぷりの肉料理を注文していたら、ある程度は単価が高くなり、客もそれなりにお腹が満たされます。
ただ、いずれにせよ、40分経過時点で考えてみると、客4人で料理3品とドリンク4杯というのは、平均と比べるとかなり少ない注文数であることは明らかです。
ドリンクオーダーについて
カフェや喫茶店、バーなどと同様に、居酒屋はドリンクが重要の飲食店なので、ドリンクのオーダーが必須となっていることが多いです。
カフェや喫茶店、バーであれば料理やスイーツを注文しなくてもよいケースがあります。しかし、居酒屋はお酒に合う酒肴を用意しているので、料理も注文しなければならないことがほとんどです。
売上に占めるドリンクの割合はだいたい、レストランが20%、居酒屋が40%、カフェが80%、バーが85%。カフェや喫茶店、バーといった業態では、ドリンクが売上の多くを占めているだけに、ドリンクを注文してもらわなければ経営が成り立ちません。
食べられる分量には限界があるので、注文できる料理の品数は限られます。しかし、ノンアルコールを含めたドリンクであれば、何杯も飲めるので、売上を伸ばすことができるのです。
ドリンクは平均的にフードよりも利益率が高い上にすぐ提供できるという、秀逸な商品。飲食店にとってかなり重要な商品=収益源であるといえます。
居酒屋はお酒を飲むことを想定した業態であるだけに、4人全員がドリンク1杯だけというのは、物足りなく感じられても仕方ありません。
オーダーのルールを決める
飲食店と客は契約関係にあります。
飲食店がどのような料理やドリンク、サービスを、どういった条件で、いくらで提供するかを提示し、客が選ぶことで契約が成立します。
1ドリンク制や1品オーダー制、滞在時間や追加オーダーの条件も、飲食店が決められます。予約して席を確保したり、無料の個室や窓際席を確約したりする場合には、コースのオーダーが必須ということも少なくありません。さらには、1人最低3,000円以上のオーダーと記しているところもあります。
件の居酒屋も、客にイライラするくらいであれば、ルールを定めて明示した方がよいです。今事案を鑑みれば、最低でも1人1ドリンクと1品はオーダー必須とし、繁忙期には1時間過ぎたら追加注文を必須とするのがよいのではないでしょうか。
飲食店は開業してから1年後に2割、3年後に5割、5年後に8割が廃業するともいわれている業態。小規模な飲食店は経営が厳しいだけに、オーダールールをしっかりと定め、売上を伸ばしていただけたらと思います。