米が開発する新型核爆弾、「破壊力は広島原爆の24倍」「最強の核兵器の一つになる」と米報道
米国防総省が、10月27日、“B61-13”と呼ばれる新型核爆弾の開発を推進するために、議会の承認を求めていると発表した。
B61-13とは、B61という核重力爆弾の最新型の爆弾で、米外交専門誌「ナショナル・インタレスト」によると、その破壊力は米国が保有している核兵器の中でも最も強力な核兵器の一つになるという。
新型核爆弾を実戦投入する取り組みについて、ジョン・プラム国防次官補(宇宙政策担当)は「安全保障環境の変化と潜在的敵対国からの高まる脅威を反映したものである」 「米国には、戦略的攻撃を確実に抑止し、必要なら対応し、同盟国を安心させるために必要な能力を評価し、配備し続ける責任がある」と述べている。
また、発表文では「B61-13は大統領に、特定のより困難で広範囲にわたる軍事的目標に対する選択肢を追加的に与え、それにより、敵の抑止力と同盟国やパートナー国の安全保障を強化するだろう」とも説明されている。
広島原爆の24倍の破壊力
B61-13は、エネルギー省の国家核安全保障局(NNSA)が製造することになるがどんな威力があるのか?
米Foxニュースによると、B61-13はまもなく廃止されるB61-7に匹敵する出力を持ち、その荷重は、第2次世界大戦中に広島に投下された爆弾(約15キロトンの爆弾)の約24倍、また、長崎に投下された爆弾(約25キロトンの爆弾)の約14倍の大きさの破壊力になるという。
また、B61-13は、B61-12が持つ最新の安全性や精度を備えているが、B61-13の生産数と同量のB61-12が減産されることから、米国の核保有数を増加させることにはならないようだ。
この新型核爆弾の開発推進の背景には、2022年の核態勢の見直し(NPR)で説明されている“急速に進化する安全保障環境”がある。発表文の詳細では、具体的には、「2022年の核態勢の見直し(NPR)は、米国の競合国が核兵器への依存度を高めながら、核戦力の拡大、多様化、近代化を続けていることを指摘した」、「NPRは軍備管理やリスク軽減策を追求するという決意を新たにしながら、抑止力に投資するという、安全保障環境に対するバランスの取れたアプローチを図った」「安全保障環境が進化するにつれ、抑止力やその他の目的を達成する能力を確保するために、我々は核戦力の調整を検討する必要がある」の3点が説明されている。
なぜ新型核爆弾を開発?
また、前述の「ナショナル・インタレスト」誌は、B61-13の開発について、米国の最強、かつ、維持費が高い核爆弾である1.2メガトンのB83-1に代わるものになるのではないかとの見方もしている。
1983年から使用されている可変出力型爆弾B83シリーズについては、これまで、政治的議論の対象となってきたという。2014年、オバマ政権はB61-12を支持してB83シリーズの爆弾を廃止する計画を発表したものの、2018年、トランプ政権はその決定を覆し、2022年には、老朽化したB83の備蓄維持に毎年5,200万ドルがかかっているというコストの問題で再び議論されたという。B61-13はB83-1ほどの出力はないものの、360キロトンの核爆弾の出力は地下施設を危険にさらすのに十分な量であることから、議員たちはコストのかかるB83-1の代替品と考えているのではないかというのだ。
実際、発表文では「B61-13は、国防総省がB83-1やB61-7などのレガシーシステムの退役に取り組んでいる間でも、特定の、より困難で、広範囲の軍事目標に対する追加の選択肢を大統領に提供する」と指摘されている。
米国の核に関する動きとしては、先日、ネバダ州の核実験場で爆発物実験が行われた。ロシア下院で、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を撤回するための法案が全会一致で可決された数時間後に行われたことから、実験は「ロシアに核実験を促す可能性がある」との見方もされた。
発表文では、最後に、「B61-13の守備は現在の特定の出来事に対応したものではない」と明記されているものの、世界ではウクライナ戦争やイスラエル - ハマス紛争が勃発し、第3次世界大戦への拡大を懸念する声もあがっている。中国も核兵器数を増加させており、今後の増加も見込まれている。北朝鮮による核の脅威も拡大している。新型核爆弾は世界で高まっている安全保障のリスクに対応したものと思われるが、同時に、核開発競争が誘発されることも懸念されるのではないか。
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