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「第3次世界大戦のリスクが急速に高まっている」イーロン・マスク氏が“X”で警告 アクセス数2千万回超

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
罪のない多数の子供たちが犠牲になったガザで、キャンドルに火を灯し、追悼する女性。(写真:ロイター/アフロ)

 イスラエル軍のガザへの地上侵攻を前に、テスラ・モーターズCEOで、ビリオネアのイーロン・マスク氏が、10月23日(米国時間)、起業家デイビッド・サックス氏主催の「イスラエル・ハマス紛争はどこに向かっているのか? 第3次世界大戦に繋がる可能性があるのか?」というテーマのディスカッションに参加し、イスラエル・ハマス紛争とウクライナ戦争は、第3次世界大戦に発展する可能性を高めていると警告した。ちなみに、このディスカッションを聞くことができるポッドキャストの投稿には2,000万回超のアクセスが来て、ディスカッションは110万回超リスニングされている。

「最も重要なのは、第3次世界大戦を避けることだ。なぜなら、私たちは第3次世界大戦から立ち直ることができない可能性があるからだ。 そして今、第3次世界大戦のリスクが急速に高まっていると思う。地域紛争は急速に世界規模の紛争になる」

 そして、ロシアとの関係を正常化させる必要性を訴えた。

「ロシアとの関係が再び正常化すれば、第3次世界大戦が起こる可能性は劇的に低くなると思う」

戦争の基盤は工業生産高

 マスク氏は現在起きている紛争が第3次世界大戦に発展するリスクがある理由として、ロシアや中国が、西側諸国に匹敵する経済力や工業生産力を有している点を指摘している。

「雑魚戦にはならない。雑魚戦ではなく、工業力が西側の同盟国に匹敵している国との大規模な戦いが起きる可能性がある」

 そして、中国の製造能力について、ほぼ米国と同等であるという見方を示し、「我々は産業力で圧倒的な優位性を持っていない。戦争の基盤は経済だ。誰でもわかっていると思うが、戦争の基礎は経済力だ。特に工業生産高だ。相手側と比べて、戦車や銃、ドローンを何台多く作ることができるかにかかっている。今はそうではないにしても、将来的には、ロシア、中国、イランの同盟が西側の同盟を上回る可能性がある」と懸念を示した。

超大国からなる2つの同盟

 また、マスク氏は、西側諸国からなる同盟とロシア、中国、イランからなる同盟という2つの超大国からなる同盟が対峙している状況が、歴史の波に押し流されることも憂慮している。

「第3次世界大戦は、一方が他方を簡単には破ることができないような2つの超大国からなる同盟があると起きる。大戦を避けたいと思っても、好むと好まざるとにかかわらず、歴史の波が私たちをその方向に押し流すという主張もある。しかし、そうならないよう願っており、我々はそうならないよう努めるべきだ」

ロシアと中国は完璧な組み合わせ

 さらには、「米国の政策が、ロシアとイランに中国と同盟する状況を強いてきた」と米国がとってきた政策を批判、「ロシアには原材料があり、中国には工業能力がある。戦争という点からすると、(両国は)完璧な組み合わせだ」と反西側の同盟国が文明に計り知れないリスクを与える可能性があると訴えている。

「文明に対するリスクがある。個人レベルでの悲劇、コミュニティーレベルでの悲劇、そして、文明に対するリスクがある。我々は文明を第3次世界大戦というリスクに晒さないようにする必要がある。私たちは、次から次へと愚かな決断を下しながら、気づかぬうちに第3次世界大戦へと向かっているのだと思う。 人々は深く内省する必要がある」

 ガザの人々の人道危機が叫ばれ、停戦を求める世論が世界的に高まり、国連では「人道休戦」決議が採択され、中東紛争への拡大や第3次世界大戦への発展も懸念される中、イスラエルは自衛を訴え、ガザへの地上侵攻を決行するのか?

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在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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