バイデン氏、3月にも「日本は外国人嫌い」と発言していた 米CNN報道
波紋が広がっているバイデン氏の「日本は外国人嫌い」発言に対し、日本政府が「必ずしも正確な理解に基づかない発言があった。残念だ」と米政府に対し、抗議の姿勢を示した。もっとも、どんな点で正確な理解に基づいていないのか、どこがおかしいのか、日本政府には具体的に説明してほしいところではある。
バイデン発言のおかしな点
有力紙ワシントン・ポストは、エキスパートの見方を通じて、バイデン発言のおかしな点を示唆している。
例えば、日本の移民政策について、ドレイク大学政治学国際関係学教授のマリー・マッカーシー氏の「経済を成功させ成長させるため、日本の少子化と高齢化は外国人労働者の必要性を高めている。日本政府はこの3月に技能労働者ビザプログラムを拡大したことを含め、近年、外国人労働者を増やすための措置を講じている」という発言を紹介し、日本政府が厳格だった移民政策を緩和し始めていると見方を伝えている。
また、日本の経済成長については、「1人当たりの数字で見ると、日本経済の成長軌道は実はそれほど悪くない。 実際、米国を含む他の先進国の経済状況とそれほど変わらない」とする、ロンドン大学東洋アフリカ学院・経済学教授ウルリッヒ・ヴォルツ氏の見解を紹介している。
つまり、同紙は、移民政策の緩和へと向かっている日本は、バイデン氏が言及したような「外国人嫌い」とは言えず、また、日本には移民が他の先進国のようにはいなくても経済成長はそれほど悪くはないと、バイデン氏の主張に反論しているのだ。
中国とインドの識者の反応は?
英BBCは、バイデン氏の「外国人嫌い」発言に対する、中国とインドの識者の反応も紹介している。
国営紙チャイナ・デイリーの著名コラムニスト陳維華氏はXで「米大統領は中国を中傷することに執着している。これは深刻な精神疾患だ」と述べ、インドの経済学者でジャーナリストのマダバン・ナラヤナン氏は、インドが移民を望んでいないという指摘について「間違っている。インドは、富裕層の外国人にとっても、バングラデシュや貧しい国から来た超低賃金で働く移民にとっても魅力的と考えられてきた」と述べている。
親移民的政策と反移民的政策の狭間で
「外国人嫌い」発言は、バイデン氏が、非常に難しい立場に置かれていることを示していると思う。2020年の大統領就任時、より多くの人々に労働許可を与えるための移民制度改革法案を真っ先に打ち出して移民に寛容な姿勢を示してきたバイデン氏だが、今はアメリカ南部国境から流入する不法移民が激増しているため、厳格な移民制限を行わなければならない状況に置かれている。そんな状況にもかかわらず、大統領選でトランプ氏と闘う上では、人種差別的発言をしたり反移民的政策を訴えたりするトランプ氏に対抗すべく、移民の重要性や移民の権利拡大を訴える必要もある。アメリカ経済を支えてきた移民を守らなければならないと同時に、排斥もしなければならない状況だ。大統領選を前に、親移民的政策と反移民的政策のバランスをどのように取るかはバイデン氏にとって大きな課題になるだろう。
3月にも「外国人嫌い発言」をしていた
ところで、筆者は、ホワイトハウスが「外国人嫌い」発言について謝罪には応じず、バイデン氏が今後も同様の発言をする可能性は「大統領次第だ」との姿勢を示したことにも問題を感じている。
というのは、米CNNによると、バイデン氏が「日本は外国人嫌い」発言をしたのは、今回が初めてではないからだ。3月に、スペイン語のラジオ局にインタビューされた際にも同じ発言をしていたという。それは、「日本人、中国人、彼らは外国人嫌いで、誰も望んでいない。ロシア人も、ロシア人、中国人、日本人以外の人々を望んでいない」という発言。メキシコからの移民が多数のアメリカでは、ヒスパニック系アメリカ人はバイデン氏にとって大票田となることから、移民受け入れの重要性を訴えるべく出た発言と推測される。今回の発言も、アジア系アメリカ人の聴衆を前に放たれたものだった。
バイデン氏は今後も移民たちを前に同じ発言を繰り返すのだろうか?
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