中国3隻目の空母「福建」がほぼ完成、初の試験航海をまもなく開始予定 中国メディアが報道
中国空母3隻目の「福建」がほぼ完成し、まもなく初の試験航海を実施する予定であると中国共産党系国際ニュース「グローバルタイムズ」(環球時報)が1月3日、報じた。同紙が中国の軍事専門家の見方として紹介した。福建の試験航海は当初、2023年中に実施されるとの期待が中国国内でも高まっていたが、それが実現できなかったため、改めて福建建造の進捗ぶりを内外にアピールしたとみられる。
同紙によると、中国中央テレビ(CCTV)のゴールデンタイムのニュース番組は1月2日、2023年末から2024年初めにかけて上海で係留試験を実施中の福建の様子を報じた。
「計画通りに係留試験を着実に推進する」。福建の尹洪新艦長は同艦の飛行甲板でこう述べた。
映像には艦載機発進用の3本の電磁式カタパルト(射出機)が写っていた。昨年11月にはその射出実験を開始した。福建には離着艦装置としてカタパルトを使用する方式のCATOBARシステムが3つ装備されている。これによって、一度により多くの戦闘機を最大離陸重量で発進できる。
CCTVの報道中に流された短い映像では、空母が岸壁からそれほど遠くないところでタグボートに曳航され、2022年6月の上海での進水以来係留されていた場所から出ていく様子が映っていた。甲板後方には主翼を折りたたんだ状態の実物大の戦闘機のモックアップ(模型)もうっすらと映り込んでいる。グローバルタイムズは遠い位置からカメラ撮影され、戦闘機の機種は定かではないが、J15戦闘機のモックアップの可能性もあると指摘した。そして、係留試験では艦載機の移動や位置決めだけでなく積み降ろしも含め、飛行甲板上でのスケジュール設定を試験したとの専門家の見方を示した。
福建は2023年中に最初の試験航海が実施される可能性が取り沙汰されてきたが、結局、先送りとなった。その理由について、中国の軍事専門家の傅千紹氏はグローバルタイムズの取材に対し、「福建には多くの新技術、特に電磁式カタパルトシステムが装備されているため、人民解放軍海軍のこれまでの2隻の空母の遼寧と山東よりもテストに時間がかかるのは当然のことだ」と解説した。
中国1隻目の空母「遼寧」(満載排水量5万8500トン)と2隻目の「山東」(同7万トン)に対し、福建の満載排水量は8万トンを超えて中国最大の軍艦となる。海上自衛隊最大のいずも型護衛艦の満載排水量は2万6000トンであり、福建の大きさがうかがえる。
中国政府系の英字紙チャイナ・デイリーによると、就役前に遼寧は10回、山東は9回の海上試験をそれぞれ実施したという。
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