中国、最新の攻撃型原子力潜水艦093Bの2隻目を進水か
中国は1月中旬に同国東北部の遼寧省葫芦島造船所で8隻目の093型シャン(商)級攻撃型原子力潜水艦(SSN)を進水させた。英軍事週刊誌ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリーが米衛星画像企業プラネット・ラブズから入手した画像を分析したところ、この原潜は葫芦島港の東側にある組立場から進水した最新の攻撃型原潜093B型の2隻目である可能性が高い。
ジェーンズの画像分析では、この原潜の船体にミサイル垂直発射システム (VLS) が搭載されているかどうかは判定できなかった。しかし、米国防総省が昨年11月に公表した2022年の中国の軍事動向に関する年次報告書によると、巡航ミサイル搭載原潜(SSGN)である093型商級原潜改良型の093B型は2020年代半ばまでに建造を終える見込みだ。
同報告書は「この新しい商級の派生型原潜は、中国人民解放軍海軍の対地攻撃力を強化し、対地巡航ミサイル(LACM)を装備すれば秘密裏の対地攻撃オプションを付与することになり得る」と指摘している。
衛星画像によると、新しい原潜の全長は110メートル、全幅は約10メートルで、昨年5月に進水した7隻目の093型原潜の船体と同じとなっている。
葫芦島造船所は2017年から2021年にかけて094型弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)2隻を製造した後、093型の製造に戻った。衛星画像分析によると、093型は2000年から2002年に2隻、2013年から2017年に4隻それぞれ建造された。
新たに追加される093型SSNの2隻は、浮桟橋が増設された海南島の亜龍湾海軍基地に配備される可能性がある。亜龍湾は中国の既存のSSBNとSSNを維持している。
前述の米国防総省の年次報告書によると、中国海軍は過去15年間に12隻の原潜を建造してきた。内訳は093型商級SSN2隻、093A型商級SSN4隻、094型晋級SSBN6隻となっている。同報告書は、射程7200キロの潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)のJL-2を搭載する晋級SSBN6隻が、中国に最初の信頼できる海上核抑止力をもたらしたと指摘している。
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