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『フードテック革命』の歩き方

松浦達也編集者、ライター、フードアクティビスト
筆者撮影

27日に『フードテック革命』のレビュー(「全職業人が『フードテック革命』を読むべき理由 」)をアップした。そちらは少し広めに読んでいただくことを考えたが、今回はさらなるネタバレを含みつつ、読みどころに補助線を補記して、さらに深堀りしていきたい。人様の新刊の尻馬にのって有料記事を書くというのは、なかなか図々しくて気がひけるが、オープンの場で書くのは少々はばかられるところまで踏み込んでいるので、どうかご容赦されたい。

本書は、主に3本の柱から成り立っている。

1.(主に海外を中心とした)フードテックの現状と今後の展望

2.日本企業にとってヒントとなりうる事業創造のありかた

3.日本のフードテックを推進可能にするキーマンインタビュー

著者はP008で「本書の目的は大きく2つある」と書いている。ざっくり上記1.と2.の理解と啓蒙の促進だ。3.のキーマンインタビューは、章末に付随していて、1.と2.を理解するための補助線という位置づけになっているが、実はこのインタビューが素晴らしい。特に3章末の石川善樹さんはすべての働く人々必読。4章末の清水洋史さんへのインタビューは、ものづくりに多少なりとも関わりがある人ならば読み逃してはならない、珠玉のテキストだ。

全400ページある本書で「フードテック」の全体像をつかむため、本当は全体を読み通してそこにある熱量に当てられることをおすすめするが、つまみ読みでも十分に意義深い。象徴的な箇所を少しだけピックアップしておきたい。

1.(主に海外を中心とした)フードテックのトレンドと今後の展望

・フードテックの現状(P020~039、P068~071、P136~159、P196~231)

2014年以降、ベンチャーキャピタル(VC)による投資が急増。2019年には150億ドル(約1兆6030億円)に達し、14年からの5年間で5倍近くに。植物性代替肉のような新食材や食料品デリバリーサービス、ロボットレストランなど多様なジャンルで活発化している。またコロナ禍における食の価値観が激変するなか、Amazon.comによるWhole Foodsの買収、Googleによるハンバーガーロボットへの投資など投資も活況を呈している。アメリカではフードテック分野を扱うVCは200以上に上るが、あらゆる専門性とビジネスの特性が入り交じるため、投資の難度は高い。

・読みどころ

フードテック市場において、日本と世界の環境がいかに違うか。5年で5倍の内訳をつぶさに見ると、米PitchBookの調査では、2015、2016、2017とほぼ横ばいだった投資額が、2018、2019年の2年間で投資が約2.5倍と急激に伸びていることがわかる。

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編集者、ライター、フードアクティビスト

東京都武蔵野市生まれ。食専門誌から新聞、雑誌、Webなどで「調理の仕組みと科学」「大衆食文化」「食から見た地方論/メディア論」などをテーマに広く執筆・編集業務に携わる。テレビ、ラジオで食トレンドやニュースの解説なども。新刊は『教養としての「焼肉」大全』(扶桑社)。他『大人の肉ドリル』『新しい卵ドリル』(マガジンハウス)ほか。共著のレストラン年鑑『東京最高のレストラン』(ぴあ)審査員、『マンガ大賞』の選考員もつとめる。経営者や政治家、アーティストなど多様な分野のコンテンツを手がけ、近年は「生産者と消費者の分断」、「高齢者の食事情」などにも関心を向ける。日本BBQ協会公認BBQ上級インストラクター

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