「世の中、金である」という意識が高いほどモテている現実「オーディションされる男」
お金は大事だよ
「世の中、所詮金であると思うか?」という質問をされたらどう答えるだろうか?
2020年一都三県20-50代の未既婚男女15000人を対象に調査したところ、世知辛い話であるが、「そう思う」「ややそう思う」の合計割合は7割に達する。
なんだかんだきれいごとを並べたとしても「世の中所詮金である」という意識を持っている人が大多数なのである。もちろん、これは「金さえあればなんでもいい」ということではなく、現実の生活において「金がなければ始まらない」と多くの人が思っているということだ。
さて、その上で、お金と恋愛について、身も蓋もない話をしたいと思う。
私が常々言っている「恋愛強者3割の法則」を思い出していただきたい。男女ともに恋愛強者は3割、恋愛中間層が4割、そして、恋愛弱者層が3割というのが、時代を問わずと若不変のバランスである。
これは「パレートの法則」や「働きアリの法則」同様、常に相対的に変動する。上位3割の恋愛強者が結婚して恋愛市場から脱すれば、順繰りに中間層の中から上位3割へ移動していく。
昭和までは、お見合いや職場結婚などの結婚のお膳立てシステムがあったが、それ以外にも、自由恋愛市場においても、この各層の移動の原理がうまく機能していた。当時は、恋愛強者は20代で早々に結婚していき、しかも、離婚率も低かったために、中間層や弱者層でもお鉢が回ってくる可能性があった。だからこその皆婚の実現だった。
離婚の増加で弱者が割を食う
しかし、1970年代まで10%台だった離婚率は、1980年代で20%を超え、2000年代以降は35%と急増した。「3組に1組が離婚する多離時代」の到来である。この離婚の増大は、特に未婚の恋愛弱者が割を食う羽目になった。
なぜなら、離婚の大部分は結婚後5年以内であり、そうして増えたバツあり離婚男が、すぐにまた再婚するようになったからだ。これを「時間差一夫多妻制」という。しかも、再婚男は初婚女と再婚するパターンが多い。つまり、恋愛強者が離婚するようになると、この「恋愛強者3割の法則」の順次繰り上げ方式が崩壊するのである。
ちなみに、「3組に1組が離婚するというのは嘘だ」などという言説をまき散らしている者がいるが、そっちの方が間違っている。それについては、以下の過去記事で丁寧に説明しているので参照いただきたい。
離婚男の再婚だけではない。最近は、マッチングアプリなるものが婚活のツールとして重宝されているが、あれに至っては、離婚しなくても未婚の相手とマッチングすることも可能だ。そうして3割の恋愛強者のうちの特に男性は、強者の永遠無双ループが完成し、中間層はともかく、恋愛弱者層にはほとんどチャンスがなくなったというわけだ。
強者の条件
さて、問題はここからである。
恋愛強者というと、「容姿にすぐれている」「コミュ力がある」というイメージを持つだろう。確かに、その要素は重要である。しかし、それだけでは強者になりえない。
特に、男性の場合は「経済力」というものが重要なファクターになる。
2021年の出生動向基本調査によれば、女性が結婚相手に求める条件として「重視・考慮する」を合わせた指標で、男性の「容姿」は1992年の調査以降の過去最高の81.3%となったが、男性の「経済力」は相変わらず高く、91.6%である。
「世の中も金」なら所詮「結婚相手も金」なのである。そして何より、恋愛強者が強者たる所以もまた「金」なのだ。
冒頭に紹介した一都三県の調査から、未婚者だけを抽出して、いわゆる上位3割の「恋愛強者」と下位3割の「恋愛弱者」において、「世の中は金である」意識の違いを示したのが以下のグラフである。
20-30代においては、「世の中、金だ」という意識が高いほど恋愛強者なのである。一方、恋愛弱者ほど「世の中は金だけじゃない。他にも大事なことはたくさんある」などと夢見ている。
男性ほど大きな格差はないものの、これは女性にも同様で、特に恋愛や結婚において重要な年齢帯である20代では男女ともに「世の中金なんだよ」と現実を見て、割り切れる方が、結果として恋愛や結婚ができているということになるのだ。
実際、高年収ほど、または企業規模の大きい会社に就職するほど男の未婚率は低い。
人間の男もオーディションされている
そのあたり、人間も動物の世界と何ら変わらない。
以前こちらの記事(参照→「男は男らしくあるべき」という意識の有無で恋愛できる割合は3倍も差がある)で、ダチョウの雄が雌によってオーディションされるという話を書いた。人間も同様である。選択されるのは男の性の方である。ダチョウにおける体力の代わりに、人間では経済力が試されるだけだ。
7割側にいる恋愛中間層や弱者層にいる男性は、何よりもまず「世の中は金なんだ」という規範を見て見ぬフリをせず、真正面から向き合うことが必要かもしれない。まず、金を稼いでこそ、耕せる畑を手に入れることができるのだ。畑がなければ、「愛」という作物は育たない。
念押しするが「金があれば誰でもいい」のではない。「金がある(収入が多い)ことが大前提で、それをクリアしなければそもそも選択のテーブルにすら乗らない」ということである。
「世の中金なんだよ」ということをもっとも理解しているのは政治家だろうと思うが、自分らの通帳の残高ばかりをあげる「ウェーイ」パーティーばかりしていないで、2024年こそは、20代の若者にまず小さくてもいいから耕せる畑を提供するという視点に転換してもらいたいものだ。今の政府は、畑の提供どころかクワなどの農工具さえ没収しているだけなのである。
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