バイデン親子の疑惑「揉み消される」トランプ氏 バー司法長官もクビ!? 選挙人投票バイデン氏勝利
12月14日、選挙人団による投票で、ジョー・バイデン氏の大統領選の勝利が正式に確定した。バイデン氏は25州から306票を、トランプ氏は25州から232票をそれぞれ獲得。全激戦州6州の選挙人はバイデン氏に投票した。
バイデン氏の勝利は不正選挙の結果だと主張してきたトランプ氏は法廷闘争を続ける姿勢を示している。
バイデン氏の正式な勝利確定が報じられる中、トランプ氏は「選挙で不正が行われた証拠は見つからなかった」と明言していたバー司法長官の辞任をツイッターで伝えた。
「ホワイトハウスでビル・バー長官ととても良いミーティングを持ったばかりだ。我々の関係は非常に良好だった。彼は素晴らしい仕事をした! 書簡に書かれているように、ビルは家族と休暇を過ごすクリスマス直前に辞任する」
もっとも、トランプ氏は、12月12日、バー氏をクビにすべきだと訴える投稿をリツイートしてバー氏を攻撃していたので、バー氏の辞任表明はトランプ氏の攻撃に追い込まれた結果と言えるだろう。トランプ氏にクビにされたのと変わりないかもしれない。
息子ハンター氏の疑惑調査
勝利が確定したバイデン氏。しかし、バイデン氏の大統領としての船出は順風満帆には行かないかもしれない。
息子ハンター・バイデン氏の中国ビジネスをめぐる疑惑が調査されているからだ。そのことを発表したのは、ハンター氏自身だった。12月9日、ハンター氏はデラウェア州の連邦地検から税務調査を受けていることを発表したのである。
これに対し、バイデン氏の政権移行チームは「次期大統領バイデン氏はここ数ヶ月の悪意ある個人攻撃を含む大変な問題を戦い抜き、強くなった息子を誇りに感じている」という声明を発表した。
また、12月13日のAP通信の報道によると、ハンター・バイデン氏は、税務調査の一貫として、ウクライナのエネルギー企業ブリスマ社での仕事に関する情報の提供も求められたという。
政権移行が行われている重要な時期に、ハンター・バイデン氏が2つの調査を受けている状況はバイデン次期政権にとっては痛手になるのではないか。
1,100万ドル得ていた?
ハンター・バイデン氏については、米上院の国土安全保障・政府活動委員会のロン・ジョンソン委員長(ウィスコンシン州の上院議員、共和党)が9月、『ハンター・バイデン、ブリスマ社、汚職 -アメリカの政策へのインパクトと懸念』と題する調査報告書を出していた。この報告書によると、中国企業のCEHCは約500万ドルをハンター・バイデン氏が運営している企業に送っていた。
また、この報告書では、ハンター・バイデン氏と親しいビジネスパートナーは、中国企業から600万ドルを受け取った可能性が高いと指摘されている。このビジネスパートナーはバイデン家の代理人になりたがっていたという。
ジョンソン氏はハンター・バイデン氏について、フォックスニュースのインタビューでこう話している。
「中国から1,100万ドル得ていた可能性がある」
もっとも、ハンター・バイデン氏は10月に受けたテレビのインタビューで、「1セントも受け取っていない」と全面的に疑惑を否定していた。
ジョンソン氏はこうも話している。
「ジョー・バイデン氏は息子ハンターとは海外のビジネスについては話していないといっているが嘘だ」
実際、ハンター・バイデン氏の元ビジネスパートナーのトニー・ボブリンスキー氏によると、ハンター・バイデン氏は中国共産党と繋がりがある企業とビジネスをしていたが、ジョー・バイデン氏もそのことを知っていたという。
なぜ選挙の前に明かさなかったのか?
選挙で劣勢に立っていたトランプ氏は、10月、特別検察官を任命して“バイデン親子の疑惑”の捜査を始めるよう、腹心であるウィリアム・バー司法長官に呼びかけた。特別検察官のロバート・ムラー氏がトランプ氏の“ロシア疑惑”を調査したように、バイデン親子の周辺を調査する特別検察官が必要だと考えたのだ。
そのバー氏について、12月10日付のウォール・ストリート・ジャーナルが「バー氏はハンター・バイデン氏のビジネスと金融取引に関わる調査が行われている事実について、遅くとも春から知っており、選挙運動中、それが明るみに出ないようにしていた」と報じている。
この報道を受け、トランプ氏はツイッターで怒りを露わにした。
「なぜバーは選挙の前に、国民にハンター・バイデンについての事実を明かさなかったのか? ジョーは討論会の場で何も不正はないと嘘をつき、記者もそれを認めた。投票の際、共和党にとって大きく不利になった」
「なぜフェイクニュースやFBI、司法省は、選挙の前にバイデンのことを報じなかったんだ」
司法省はガイドラインで、調査は選挙結果に影響を与える恐れがあることから、選挙運動期間中は明らかにしないよう規定しているという。バー氏はそのガイドラインに従い、ハンター・バイデン氏が調査されていることを表沙汰にしなかったと思われる。
トランプ氏は、選挙人投票が行われている最中、冒頭に書いたようにツイートでバー氏が辞任したことを告げた。バー氏が選挙で不正は見つからなかったと明言したことはもちろん、ハンター・バイデン氏が調査されている事実を知っていたにもかかわらず表沙汰にしなかったことにもよほど腹が立ったのだろう。
4.6%がバイデン氏に投票しなかったかも
伏せられていたハンター・バイデン氏に対する調査。
トランプ氏や共和党サイドはハンター・バイデン氏を巡る疑惑が国民に広く知らされなかったことが、今回の大統領選の結果に繋がったという見方をしている。
トランプ氏はツイッターで、「有権者の10%がハンター・バイデンの話を知っていたら、投票する候補者を変えていただろう」というニューヨーク・ポストの記者のコメントを引用ツイートしていた。
前述のジョンソン氏も、主要メディアがハンター・バイデン氏の疑惑を報じなかったために、多くの国民が疑惑について知らされなかった点を問題視して、こう話している。
「バイデン氏に投票した人の36%は、ハンター・バイデン氏のストーリーを知らなかったという調査結果がある。また、そのうち13%がハンター氏のストーリーを知っていたら、バイデン氏には投票しなかったと答えている。つまり、バイデン氏に投票した人の4.6%が、ハンター・バイデン氏のストーリーを知っていたならバイデン氏には投票しなかったということになる。その場合、トランプ氏が選挙に勝っていただろう」
トランプ氏もジョンソン氏も、バイデン氏が勝利したのは、ハンター・バイデン氏の疑惑がメディアにより大きく報じられなかったことが一因としてあると訴えているのだ。
バイデン親子の疑惑は民主党に揉み消される
そして、ジョンソン氏はこう予測している。
「バイデン氏の地位を利用してビジネスが行われてきたことは、バイデン氏が大統領になった暁には大きな混乱を引き起こすだろう」
実際、共和党議員たちはすでに、バイデン次期政権は特別検察官を任命してハンター・バイデン氏に対する調査を監督するよう圧力をかけているという。来年初めに行われるジョージア州の上院選で共和党議員が勝ち、共和党が上院の多数派になれば、その圧力はさらに強まるかもしれない。
しかし、トランプ氏は、逆に、バイデン親子の疑惑は民主党に握り潰されると見ているのか、こうツイートしている。
「バイデンが大統領に就任したら、ハンターやジョーには何も起きないだろう。バーは何もせず、政権入りする民主党議員たちがすぐに全てを揉み消すぞ」
政権移行中に入ったハンター・バイデン氏に対する調査で、どんな新事実が明らかになるのか注目されるところだ。
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