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「トランプ氏はプロの嘘つき。感染は同情を得るためのフェイク」マイケル・ムーア監督が“陰謀論”で警告

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
軍医療センターに入院するため、ヘリコプターから降りるトランプ氏。(写真:ロイター/アフロ)

 ドキュメンタリー映画監督のマイケル・ムーア氏が、フェイスブックで、トランプ氏の新型コロナウイルス感染はフェイクである可能性があるとする“陰謀論”を展開している。

 フェイクの可能性があると推測する理由について、ムーア氏はこう主張。

「トランプについては1つの絶対的真実がある。彼がプロの嘘つきだということだ」

 そして、トランプ氏がこの4年間の間に2万5000個もの嘘をついてきたというワシントン・ポストの数を引用している。

 ムーア氏は嘘をついてきたトランプ氏が突然、真実を言い出すはずがないとして、こう問いかける。

「どうして彼の言うことが信じられる?」

 そして、トランプ氏が2016年の選挙戦の際、医師に健康診断書に誤った記載をさせた疑いがあることや2019年11月には心臓発作疑惑が起きたことなどトランプ氏の健康に関して起きた様々な疑惑を例にあげている。

 また、ムッソリーニがインフルエンザになったとして突然良い人に変わることがないように、トランプ氏の感染が事実だとしてもトランプ氏であることに変わりはないとも述べている。つまり、たとえ感染が事実でも、トランプ氏が嘘つきであることは変わらないと言いたいのだ。

病気を武器に同情を得る

 なぜ、トランプ氏の感染がフェイクの可能性があるのか? 

 それについてムーア氏はトランプ氏が選挙戦で負けている現状を指摘。その現状を打破するため、賢く、また“悪の天才”でもあるトランプ氏は感染を装うことで世間の同情を集めようとしているとして、こう言い切る。

「トランプ氏は病気で同情を得られることがわかっている。病気を武器として利用することを恥とは思っていない」

 確かに、トランプ氏のツイッターを見ると、トランプ氏を批判してきたトランプ支持者ではない人々も同情の声を寄せている。

「言うこと為すこと嫌いだが、回復を祈ります」

「あなたのことは全然好きではないけど、元気になって下さい」

 ムーア氏は感染したトランプ氏に同情の声が集まっている状況に危機感を覚えたのかもしれない。

感染により世間の目をそらす

 また、ムーア氏は、トランプ氏は感染を装うことで、メディアが同氏に対して流しているネガティブな情報から、世間の目をそらそうとしているとも考えている。

 実際、トランプ氏を巡っては、大統領選を目前に、ネガティブな情報が次々と流れている。最近では、ニューヨーク・タイムズが、トランプ氏の2016年の納税額がたったの750ドルだったことを報じ、米誌アトランティックは、トランプ氏が米兵を「負け犬」や「まぬけ」呼ばわりし、国のために命を落とす理由が分からないなどと発言していたことを報じた。CNNも、メラニア夫人が、国境の移民収容施設に入れられた不法移民の親子について「彼らが“送還されれば殺される”と訴えるのは、だれかに教えられた方便にすぎない」などとコメントしたと報じた。

 また、ムーア氏は10月1日に報じられたばかりのニュー・ヨーカー誌の記事についても言及。その記事によると、元フォックス・ニュースの司会者で、現在はトランプ陣営の選対ファイナンス・ディレクターを務め、トランプ・ジュニア氏の恋人でもあるキンバリー・ギルフォイル氏がフォックス・ニュースに在籍していた頃アシスタントにセクハラ行為を働いたためにフォックス・ニュースから解雇され、フォックス・ニュースはそのアシスタントに400万ドルの示談金を払ったという。

 確かに、これらのネガティブな報道は、トランプ氏の感染情報が流れれば、それに注目が集まるためかき消されるかもしれない。実際、今、アメリカはトランプ氏の感染関連のニュースで持ちきりだ。

トランプ氏を疑い続けろ

 また、ムーア氏は、トランプ氏が感染を理由に選挙を延期することを危険視している。さらには、トランプ氏は選挙戦からドロップアウトしてペンス氏を大統領にし、それにより、自分が犯した間違いを恩赦してもらおうという算段ではないかとも推測している。

 ムーア氏は今回の選挙も熱狂的支持者を確保しているトランプ氏が勝って2016年の二の舞になると危機感を滲ませていたが、トランプ氏の感染により、さらにその可能性が高まることを懸念しているのだ。そしてこう警告する。

「トランプについては疑いを持ち続けなければならない。感染しているかもしれないが、嘘をついている可能性もある」

「彼の言うことを額面通りに受けとってはならない」

 そして、これまで同様、投票に行こうと呼びかける。ムーア氏としては、結局のところ、トランプ氏の感染いかんにかかわらず、それを訴えたいのだ。

「投票に行こう。すべてに疑問を持とう。トランプ氏の感染を最終的に確信したとしても、黙って座っていてはだめだ。彼は病気を自分の利益のために使おうと企てているからだ」

選挙戦への影響

 トランプ氏の感染は、今後の選挙戦にどんな影響を及ぼすのか?

 昨日は、トランプ陣営の選対本部長の感染も報じられ、選挙に打撃を与えるとの見方がある一方で、すでに多くの有権者はどちらの候補者に投票するか決めているため、トランプ氏の感染は選挙に大きなインパクトは与えないとの見方もある。また、ムーア氏が懸念しているように、トランプ氏は同情票を得るのではないかとの見方もある。しかし、いずれにしても、トランプ氏の今後の病状次第だろう。

 

 現在のトランプ氏の病状については、医師団は「非常に良好」と発表したものの、トランプ氏の側近であるメドウズ大統領首席補佐官は3日、「過去24時間の数値は憂慮すべきものだった。これから48時間が非常に重要だ。完全な回復への道筋はまだ見えていない」と述べ、医師団とは認識を異にしている。

 今後のトランプ氏の病状から目が離せない。

在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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