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オタク趣味別未婚男性の年収中央値から読み解く「お金があっても結婚しないオタクの道」

荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
(提供:イメージマート)

オタク別年収中央値の違い

以前、こちらの記事(男女で違うオタク種類別の未婚率~結婚しやすいオタクと結婚しにくいオタク)で、20~50代の男女のオタク別未婚率を一覧にしてご紹介した。

詳細は過去記事を参照いただきたいが、男性に関して言えば、未婚率が高いのは1位「同人誌」、2位「アイドル」、3位「アニメ」、4位「マンガ」と続く。対して、未婚率が低いのは「車・バイク」「コスプレ」「チームスポーツ(野球やフットサルなど集団スポーツをする人たち)」オタクの人達であった。

では、そんなオタク趣味ごとに、年収の違いはあるのだろうか。

オタク属性ごとに、年代別で未婚男性の個人年収を算出してみた。

最初にお断りしておくが、中央値が全体的に高いように思うかもしれないが、これは調査対象が首都圏限定なので、年収の中央値は全国値よりも高くなっている。全国値は首都圏より約80~100万円ほど低くなると考えていただければよいだろう。

全国の未婚男性の年収中央値はほぼ300万円である(20~30代の場合)。こちらの記事を参照

20代後半で年収300万円にも満たない若者が半分もいる経済環境では結婚できない

スポーツ系オタクは年収も高い

各年代別にオタク趣味別にランキング化したものが以下のグラフである。

(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久
(C)ソロ経済・文化研究所 荒川和久

まず、目につくのが、各年代を通して、全体的に年収の高いオタク趣味は「筋トレ」や「チームスポーツ(野球・サッカーなどのチームスポーツ)」オタクの男たちである。共通しているのは、どちらも身体を動かす趣味であることだ。

写真:イメージマート

「車・バイク」「写真・カメラ」など機材や移動のための交通費がかかる趣味より、これらスポーツ系オタクの方が年収が高いというのも興味深いものがある。

一方で、全年代を通して年収がずっと低いのが「同人誌」オタクである。

男性の「同人誌」オタクは未婚率でも1位である。「同人誌」オタクだから年収が低くなるという因果は当然ないが、年収が低いから未婚率が高くなるというのは全体的な統計が示す通り相関はある。

「コスプレ」「仕事」オタクの中年の悲哀

もうひとつ未婚率との関係でおもしろいのが「コスプレ」オタクである。

男性の「コスプレ」オタクは、圧倒的に未婚率が低い1位(=有配偶率が高い)なのである。にもかかわらず、20代と30代では年収が上位に位置するのに、40代以降では最下位に落ちる。

これは、若くして年収の高い男性「コスプレ」オタクは、20~30代のうちに早々と既婚者になり、40代以降も「コスプレ」オタクを続けている未婚男性は、年収の低い者が残されたということだろうか。

同様のことは「仕事」オタクにも言える。「仕事」が趣味だとする未婚男性は、30代では年収2位にランクインするが、40代では二番目に低い位置に急降下する。

写真:アフロ

仕事に没頭して、なおかつ、稼いでいる未婚男性は30代のうちに一斉に年貢を納めていき、残ったのは「とりたてて趣味もなく仕事だけに邁進してきたものの、思うように出世もせず稼げない男」が残されるという図なのだろうか。

「アイドル」オタク道

「アイドル」オタクも興味深い。20代から40代までの「アイドル」オタクは決して高年収とはいえない位置にある。が、なぜか、50代になると4位に急上昇している。

「アイドル」オタクの未婚率は「同人誌」につぐ2位である。男性の場合は、一般的に年収が低いほど未婚率が高まる傾向だが、40代までの「アイドル」オタクはその法則に則っているものの、50代の「アイドル」オタクだけは「高収入未婚男」なのだ。

20~40代までの未婚「アイドル」オタク男性が、「金が続かなくてオタクをやめた」からなのか、真相は不明だが、少なくとも50代で「アイドル」オタクを継続している層は、お金があってもそれを自分のオタク道に惜しみなく使い、結果2000億を超えるアイドル市場を牽引しているのだろう。

決して「金があっても結婚できない」のではない(と思う)。

写真:イメージマート

50代をみていただければ一目瞭然だが、何かしらのオタク趣味を持つ未婚男性の方が、何もない全体に比べて年収は高い。たとえ未婚でも、既婚者が配偶者や家族を支えているということで得られる「自己の社会的役割」をオタク趣味に感じているのであれば、それはそれでしあわせなことだと思う。

女性のデータもあるが、もしご興味があるという方がいれば後日公開したい。要望は私のツイッターの方へどうぞ。

追記 女性版及び総括はこちらに公開しました。

恋愛や結婚で惹かれ合う「共通の趣味」や「価値観の一致」の裏にある「見えざるチカラ」とは?

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※記事内図表の無断転載は固くお断りします。

独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。

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