絶対に食べておかねばならない 千葉の家系ラーメン「実力派」3軒
千葉には横浜に負けない家系ラーメンがある
1974(昭和49)年に横浜で創業した『吉村家』が発祥で、今や全国的に人気を集めている「家系(いえけい)ラーメン」。豚骨醤油スープに鶏油を浮かべ、短めの太麺を合わせ、具はチャーシュー、ホウレンソウ、海苔3枚というのが基本的な家系ラーメンのスタイル。麺の茹で加減やタレの濃さ、油の量などが自分好みに調整が出来、老若男女幅広い客層の支持を集めているラーメンだ。
「竹岡式ラーメン」や「勝浦タンタンメン」など、数多くのご当地ラーメンを擁する千葉県でも家系ラーメンは人気。しかも、本場横浜に勝るとも劣らないほどの家系実力店がひしめき合っているエリアとして、家系ラーメン好きの注目を集めているのが千葉県だ。前回は基本とも言うべき3軒をご紹介したが、今回はここ数年オープンした中から実力派の家系ラーメン店を厳選した。いずれも家系好きのみならずラーメン好きは必ず足を運んで欲しい店ばかりだ。
新たな家系スタイルに挑む『裏武蔵家』(2019年創業)
2007年に開業した『武蔵家 西千葉店』を買取り、2019年にグループから独立を果たして新たに創業したのが『裏武蔵家』(千葉県千葉市中央区春日2-19-9)だ。以前より裏メニューとして出していたオリジナルの「裏むさ」を看板メニューに据えて、地元千葉大学の学生をはじめ幅広い層から熱狂的な支持を集めている人気店だ。
スープは濃厚ながらもそこまで粘度は高くないバランス型。そこに老舗醤油蔵の醤油本来の味わいと香りを生かしたオリジナルの醤油ダレが合わせられる。さらに数種類の鶏油と背脂を合わせた黄金鶏油が香りとコクを与える。裏武蔵家の真骨頂は家系を磨き上げたこのスープだ。これまでの家系ラーメンを否定することなく、さらに高みを目指そうとする一杯。新たな家系の可能性にチャレンジしている佳店と言って良いだろう。
ベテラン店主の経験と技が光る『勝星家』(2020年創業)
2020年にオープンした『勝星家』(千葉県袖ケ浦市蔵波台6-5-14)は、千葉の人気ラーメン店『らーめん福たけ』が手掛ける家系ラーメン店。創業者の福田竹明さんは元々家系ラーメンが好きで、いつかは家系ラーメン店をやるのが夢だったとのこと。家系での修業経験はないが、大好きな家系ラーメン店をリスペクトしつつ、自分が理想とする家系を目指している。
やや軽めのボディのスープに醤油のパンチとキレ、鶏油の甘みのベストバランス。しっとりとした柔らかな食感のチャーシューは大判で、ほのかに燻製がかかっているもの。家系で修業した店に勝るとも劣らないクオリティなのは、さすが技術と経験を持った福田さんだからこそ。家系を敢えて名乗る覚悟が感じられる一杯になっている。
名店の遺伝子を継ぐハイブリッド『濱野家』(2020年創業)
2020年暮れのオープン以来、県内外の家系ラーメンファンから熱い注目を集めているのが『濱野家』(千葉県市原市五井2442-1)である。店主は『武蔵家 西千葉店』でキャリアをスタートさせ、千葉の家系嫡流である『杉田家』でも修業を重ねて独立。つまり家系の名店のハイブリッドであり、家系総本山吉村家の孫弟子にもあたることとなる。
スープは豚と鶏の絶妙なバランスにキレのある醤油ダレに甘い香りの鶏油を合わせ、フレッシュな骨の旨味と香りと共にパンチの効いた味わいに仕上がっている。麺は昔ながらの流儀で平ザルを使いしっかりと茹できった酒井製麺の逆切り麺。程良い燻香をまとったチャーシューはしっとり柔らか。油に負けないピシッと揃った大判の海苔。家系ラーメンの理想形とも言える一杯を味わうことが出来るだろう。
今回ご紹介した3軒は、いずれも千葉の家系ラーメンを語る上で欠かすことの出来ない実力店ばかり。他にも千葉には人気と実力を兼ね備えた家系ラーメン店が数多く存在するので、是非とも千葉で家系ラーメン巡りを楽しんで頂きたい。
※写真は筆者によるものです。
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