絶対に食べておかねばならない 福岡の家系ラーメン「実力派」3軒
豚骨ラーメンの聖地に家系ラーメンが急増中
博多ラーメンや長浜ラーメン、久留米ラーメンなど、福岡は豚骨ラーメンの街として全国にその名が知られている。しかしながら、ここ数年は「非豚骨」「脱豚骨」の流れが加速化しており、白濁した豚骨ラーメン以外のラーメンを出す店が急増している。
中でも横浜発祥の豚骨醤油ラーメンである「家系(いえけい)ラーメン」を出す店が福岡で次々とオープン。豚骨醤油スープに鶏油を浮かべて短めの太麺を合わせた家系ラーメンは、白濁スープに細麺という博多ラーメンとはまったく異なるスタイルながらも、多くの人の支持を集めて行列を作っている。
横浜で生まれた豚骨醤油ラーメンが、豚骨ラーメンの聖地福岡へ。今回は博多ラーメン店が数多く集結する福岡市で、人気や注目を集める家系ラーメン店を実食して厳選。横浜をはじめ関東の家系ラーメンに勝るとも劣らない実力店をご紹介しよう。
家系総本山の味を守る直球派家系『ラーメン内田家』(2020年創業)
家系の生みの親である横浜家系総本山『ラーメン吉村家』(神奈川県横浜市)直系店として、2020年に創業したのが『ラーメン内田家』(福岡県福岡市博多区博多駅前3-9-12)。直系を名乗れるのは吉村家で修行して味作りを学び、店主の吉村実氏から許しを得た者の店のみで、内田家は九州初。現在は直系とは異なり、九州産の醤油や麺を使った「九州発の家系」をコンセプトにした店舗も別に構えている。
豚骨と鶏ガラのフレッシュな旨味だけを抽出したスープに、無添加醤油を使ったキレのある醤油ダレ。甘みと香りをスープに加える黄金色の鶏油。幅広の太麺は吉村家と同じ東京の『酒井製麺』の直系専用麺。具には燻製したしっとり柔らかなチャーシューにほうれん草、吉村家でも使われている大判の海苔が3枚。家系ラーメンが福岡に定着する契機を作った店だ。
油で味を変える個性派家系『らーめん 三刀流』(2021年創業)
2021年創業の『らーめん 三刀流』(福岡県福岡市東区香住ヶ丘2-11-28)は、京都を中心に多数店舗を展開する『麺家 あくた川』(京都府京都市)が手掛ける店。九州産業大学の至近に店を構えて、学生客を中心に地元の家族連れなどに愛されてきたが、創業以来店を任されていた店長が独立するため、2023年4月22日をもって閉店することが決まっている。
関東の家系ラーメンよりも豚骨や鶏ガラの髄の旨味を凝縮させた濃厚なスープが特徴。豚骨ラーメンに慣れ親しんでいる福岡の人の味覚に合わせた味わいで、さらには焦がしニンニク油を浮かべた「黒流」や、辛い味わいの「赤流」など、他の家系にはないバリエーションも用意して、家系ラーメンの可能性を広げている。このラーメンが食べられるのもあと1ヶ月足らずだ。
替え玉も楽しめる革新派家系『王道家直系 ふじい』(2023年創業)
2023年3月に創業したばかりの新店ながら、早くも人気を集めているのが『王道家直系 ふじい』(福岡県福岡市中央区春吉1-6-13)。こちらは千葉を中心に店舗を展開する『王道家』(千葉県柏市)の九州初となる直系店。その出店は開業前から福岡のラーメン好きの間で話題を集め、早々に行列店の仲間入りを果たしている。
しっかりと乳化した濃厚でクリーミーなスープに、キレと香りが立つ醤油ダレを合わせた独自のバランスは、豚骨ラーメンに慣れ親しんだ福岡の人たちを意識したもの。さらにトッピングに博多ラーメンなどでお馴染みのキクラゲや、自家製細麺の替え玉も用意するなど、福岡にローカライズされた新しい家系ラーメンのスタイルを表現している。
かつて福岡は他県のラーメン店経営者にとっては難しい場所と言われてきた。それはソウルフードとしての豚骨ラーメン文化が根強くあり、他の地域のラーメンが受け入れられにくい環境であったからだ。しかし「非豚骨」の潮流の中で、実力のある家系ラーメンが続々と登場することによって、今後さらに福岡にも多くの家系ラーメン店が増えていくことだろう。
※写真は筆者によるものです。
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