絶対に食べておかねばならない 千葉の家系ラーメン「基本」3軒
千葉には横浜に負けない家系ラーメンがある
1974(昭和49)年に横浜で創業した『吉村家』が発祥で、今や全国的に人気を集めている「家系(いえけい)ラーメン」。豚骨醤油スープに鶏油を浮かべ、短めの太麺を合わせ、具はチャーシュー、ホウレンソウ、海苔3枚というのが基本的な家系ラーメンのスタイル。麺の茹で加減やタレの濃さ、油の量などが自分好みに調整が出来、老若男女幅広い客層の支持を集めているラーメンだ。
「竹岡式ラーメン」や「勝浦タンタンメン」など、数多くのご当地ラーメンを擁する千葉県でも家系ラーメンは人気。本場横浜に勝るとも劣らないほどの家系実力店がひしめき合っているエリアとして、家系ラーメン好きの注目を集めている千葉県で、まず食べておかねばならない家系ラーメン店を厳選した。家系好きのみならずラーメン好きは必ず足を運んで欲しい店ばかりだ。
千葉家系ラーメンの草分け的存在『末広家』(1999年創業)
家系御三家の一つである『本牧家』の味に衝撃を受けたトラックドライバー二人が、1999年に千葉市で共に創業したのが『中野家』。その翌年に移転した時に屋号を『末広家』(千葉県千葉市中央区末広1-15-7)と改めた。『林家』(木更津市)『千葉家』(千葉市)と並び、千葉でいち早く家系ラーメンを出した店の一つで、2001年には家系ラーメン店としては全国初となるカップラーメンの監修も「千葉拉麺四天王」の一軒として手掛けている。千葉に家系ラーメンの存在を広めた立役者と言って良いだろう。
店主が愛する『本牧家』の製法と味を忠実に再現した末広家のラーメンは、昨今の濃厚でパンチが効いたものとは異なる、しつこさのないバランス重視形の一杯。スープと醤油ダレ、鶏油の3要素がいずれも突出することなく支え合う。麺はもちろん家系御用達の酒井製麺を平ざるで上げる。味もスタイルも四半世紀変わることなく。厨房での若き二代目との阿吽の呼吸も心地良い。
進化し続ける正統派家系ラーメン『王道家』(2003年創業)
千葉で初めて家系総本山『吉村家』出身者として、2003年に創業した人気店が『王道家』(千葉県柏市明原1-7-26)。2017年に店舗老朽化で取手に移転するも、2019年に柏へ帰還。2021年には『IEKEI TOKYO』をオープンし都内にも進出。多くの後進を育て上げ、全国に家系の人気店を多数輩出。2011年に吉村家直系から離脱しているが、今も家系嫡流としての矜持を持ち続ける実力店だ。
他の家系よりもはるかに大量の材料を炊き込んだスープが圧巻。パンチとキレを持った醤油ダレとがっぷり四つで組み合い、食べ進めるごとに味わいが深くなっていく。直系離脱後から着手した自家製麺もスープと絶妙に絡み合い一体感がある。その自家製麺の美味しさを活かしたつけ麺をメニューに据えたり、家系ラーメンの原点とも言える『ラーメンショップ』を再構築した別業態も展開。今年創業20周年を迎えるベテランだが、いまだ進化し続けている家系ラーメンだ。
家系総本山直系一番弟子『杉田家』(2011年開業)
『吉村家』が創業した新杉田の地で、1999(平成11)年に創業したのが『杉田家』。総本山直系一番弟子として独立した店主は、以前千葉県船橋市でラーメン店を営んでいたこともあり、2011年には千葉市に初の支店となる『杉田家 千葉祐光店』(千葉県千葉市中央区祐光4-17-7)を出店。さらに2022年には千葉に3店舗目も出店している。
修業先の『吉村家』よりもベースのスープが濃厚なのが『杉田家』の特徴。その分、カエシや鶏油も強めで、全体的にインパクトが強いラーメンを提供している。さらに鰹節や梅を合わせたオリジナルの和風ラーメンを考案したり、早朝5時から営業するなど、家系の伝統はしっかりと守りながらも、家系ラーメンの可能性を広げるチャレンジを続けている。
今回ご紹介した3軒は、いずれも千葉家系ラーメンを語る上で欠かすことの出来ない店ばかり。他にも千葉には人気と実力を兼ね備えた家系ラーメン店が数多く存在するが、まずは基本とも言うべきこの3軒の家系ラーメンを食べ歩いて、千葉の家系ラーメン食べ歩きを始めて欲しい。
※写真は筆者によるものです。
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