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【大作】社会人に最適な練習のやり方とは? 超効率的にスキルアップする「分解統合練習」徹底解説

横山信弘経営コラムニスト
(筆者作成)

■練習の目的は:「分かる」 → 「できる」

私がコンサルタントとしても、経営者としても成果を出せるようになったのも、効果的に「勉強」できたからだと考えている。ただ「勉強」だけではない。「練習」のやり方もかなり効果的であったと自負している。

勉強の成果は「分かる」ではなく「できる」である。本を読んだだけでも「分かる」は得られる。しかし「できる」は手に入らない。分かりやすいのが語学だ。頭で理解できても、ペーパーテストで100点をとったとしても、練習をしなければペラペラ喋ることは難しい。

そこで今回は効率的な「練習のやり方」について解説する。その名も「分解統合練習」である。練習のやり方を知らないと、どんなに練習を重ねてもスキルは磨かれない。子育てにも有益なので、部下育成や子どもの教育に悩んでいる方は、ぜひ最後まで読んでもらいたい。

<目次>
■練習の目的は:「分かる」 → 「できる」
■超効率的な練習法――「分解統合練習」とは?
■「分解統合練習」6つの手順
 (1)練習の範囲を決める(全体動作)
 (2)苦手な部分を切り取りコンポーネント化する
 (3)さらに最小単位のモジュールに分解する
 (4)モジュールごとに単体練習する
 (5)モジュールを結合してコンポーネントごとに結合練習する
 (6)すべてのコンポーネントを統合して統合練習する
■仕事の「隙間時間」を使って練習するクセをつけよう!

■超効率的な練習法――「分解統合練習」とは?

「研修を受けても、全然身にならない。研修には意味がないような気がする」

ある社長にそう言われて、驚いた。「どんな研修を受けたのか?」と聞けば、

「営業4人を、2日間のプレゼン研修に参加させた」

と言うではないか。社長は研修や研修講師に問題があると主張しているが、果たして本当にそうなのだろうか? 練習が足りないだけではないのか? まだスキルが十分に開発されていない人にとっては練習が不可欠だ。どんなに素晴らしい研修を受けたとしても「分かる」が「できる」に変化しない。

とはいえ忙しいビジネスパーソンはなかなか時間を確保することが難しい。今回紹介する「分解統合練習」は、そんな忙しいビジネスパーソンにぴったりな練習方法だ。

元システムエンジニアの私は、いろいろなことにシステム開発の考え方を役立てている。練習のやり方もそうだ。この「分解統合練習」はとても効率的なので、ぜひ試してもらいたい。

手順は簡単だ。

練習が必要な動作だけを切り取ってモジュール化し、その部分だけの練習を繰り返す。無意識のうちにできるようになったら、そのモジュールを結合して、また練習する。この繰り返しをするだけだ。

練習の対象が広ければ、次のように3階層に分けてみる。

(1)全体動作
(2)コンポーネント
(3)モジュール

たとえば、走る練習で考えてみよう。

コンポーネントは、足の動きと手の動き。この2つだ。さらに、このコンポーネントをいくつかのモジュールに分解する。足の上げ方、着地の仕方、蹴り出し方の3つに分けたとしよう。

最も練習が必要なモジュールが「蹴り出し方」であるなら、まずはその動作だけを集中して練習するのだ。納得がいくまで練習したら、3つの足の動きを結合して練習を重ね、最終的には手の動きも統合して練習する。

まとめると練習は次の3通りだ。

(1)単体練習(モジュールごと)
(2)結合練習(コンポーネントごと)
(3)統合練習(全体動作)

走る練習をいくら繰り返しても、いっこうに上達しない人がいる。それは動作のどの部分に問題があるのかを特定できていないか、特定できていたとしても、全体を通して練習してしまうかのどちらかだ。だから、なかなか上達しない。頭で分かっていても、できないのである。

問題のある箇所だけを意識して何度も繰り返す。そうすることで全体の動作が無意識のうちにできるようになる。これが「分解統合練習」の基本的な考え方である。

■「分解統合練習」6つの手順

それでは、この「分解統合練習」を使って実際に、プレゼンテーション(2~3分)の練習を解説していこう。手順は次の6つ。

(1)練習の範囲を決める(全体動作)
(2)苦手な部分を切り取りコンポーネント化する
(3)さらに最小単位のモジュールに分解する
(4)モジュールごとに単体練習する
(5)モジュールを結合してコンポーネントごとに結合練習する
(6)すべてのコンポーネントを統合して統合練習する

(1)練習の範囲を決める(全体動作)

お客様の前でプレゼンテーションをしなければならない、としよう。時間は30分。しかし30分のプレゼン全体を練習するのは、本番に備えた実践練習と呼ぶ。野球でたとえると「練習試合」である。よほどスキルが高くない限り、まだこの練習は早い。

ろくに細かい練習をせず、いきなりお客様のところへ行かせても、営業は上達しないだろう。理由は実践練習ばかりさせられているからだ。「俺の若いころは、こうだった」と上司が言っても説得力はない。正しい練習を重ねないとスキルアップせず、心が折れていくばかりだ。

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経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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