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女優の夢破れ、やさぐれるアラサーのヒロインを等身大で。名刺代わりの主演作になった喜びを胸に今後も

水上賢治映画ライター
「幽霊はわがままな夢を見る」で主演を務めた深町友里恵  筆者撮影

 「偶然にも最悪な少年」や「ハードロマンチッカー」などで知られるグ スーヨン監督による本作「幽霊はわがままな夢を見る」は、その成立の仕方が幸せではないかと思える映画だ。

 本企画の発起人といっていいのは俳優の加藤雅也。下関出身のグ スーヨン監督と長い付き合いがありながら、彼は一緒に組むタイミングがなかった。

 常々「なにか一緒にやりたい」と思っていたところ、下関出身の女優・深町友里恵と短編映画「恋文」で共演。

 そこで三人で会ったことをきっかけに話が一気に進み、下関発のオリジナルムービー「幽霊はわがままな夢を見る」は誕生した。

 作品は、女優になる夢破れ、自らの才能にも絶望して故郷・下関に戻ってきたヒロイン・ユリが、父の経営するラジオ局を手伝いながら自身を見つめ直す、ひとつの成長物語。

 ただ、そこはグ スーヨン監督らしく、単にポジティブでは終わらない、人生のほろ苦さとちょっとしたゴーストストーリーも交わったユニークな一作になっている。

 そして、そこで強烈なインパクトを残すのが、ユリを演じた深町友里恵だ。

 夢が断たれ、もはややぶれかぶれで悪態はつくわ態度は悪いわという、ある種のダーク・ヒロインをただならぬやさぐれ感を出して演じ切っている。

 地元・下関での撮影の舞台裏から、加藤雅也とグ スーヨン監督との出会い、この作品に対する思いまで、彼女に訊く。

 地元・下関での撮影の舞台裏から、加藤雅也とグ スーヨン監督との出会い、この作品に対する思いまで、彼女に訊く。

 ここからは彼女自身のキャリアについてメインで訊く番外編に入る。番外編全三回/第三回

「幽霊はわがままな夢を見る」で主演を務めた深町友里恵  筆者撮影
「幽霊はわがままな夢を見る」で主演を務めた深町友里恵  筆者撮影

モデルから俳優の道へ

 前回(番外編第二回はこちら)は、本作で主演を務めるきっかけをつくってくれた加藤雅也との共演について話してくれた深町。

 ここからは今後についての話を。

 その前に、少し話をしたように深町が上京に23歳のこと。そこから少しして本格的に俳優のキャリアを歩むことになる。

 その前まではどのようなキャリアを歩んでいたのだろうか?

「東京に来る前は福岡でイベントコンパニオンの仕事をしていたんですけど、その流れで東京でウェディングモデルをしてみないかというお話をいただいたんです。

 それで『まあ、人生一回だし、せっかくいただいたチャンスだしチャレンジしてみようかな』と状況することを決心しました。

 それまで遊びに行くのは福岡といった感じだったので、東京には一度も訪れたことはなかったですけど……。

 いまから10年前、23歳のときに上京しました。

 新幹線で東京に着いてまず家探しを始めたんですけど、なぜかわたしはそのとき新宿に住む気マンマンで(苦笑)。

 当然、想定していた予算の物件はみつかるわけもなく、流れに流れて東京の中心部からは離れたところで新生活をスタートさせました。

 はじめはウェディングモデルということでしたけど、その中で、俳優業の仕事に興味を持つようになりました。

 それに伴って、お芝居の学校に通うようになり、最初は舞台を経験させていただいて、現在に至っている感じです。

 本格的に俳優の仕事を初めて数年なので、まだまだ勉強中の身です」

自分の名刺代わりの作品ができたので、

これを次につなげるためにも今年と来年は頑張りどころ

 今後、どのような活動をしていきたいだろうか?

「そうですね。最初に通ったお芝居の学校が演劇系だったこともあって、これまで舞台を中心に出演してきたところがありました。

 一方で、今回、このような大きなチャンスをいただいて、ありがたいことに自分の主演映画が1本できました。

 なので、舞台は舞台で大切にしていきたし、映画をはじめとした映像作品にもどんどんトライしていきたいです。

 どんな作品に出たいとか、どんな俳優になりたいとかはあまりないです。

 ただ、いまはとにかくいろいろな作品に携わりたいです。

 演劇でしたらいろいろな演出家さんと、映画ならばいろいろな監督さんと関われるように、精進しないといけないと思っています。

 今回、このように『幽霊はわがままな夢を見る』という自分の名刺代わりの作品ができたので、これを次につなげるためにも今年と来年は頑張りどころと思っています。

 俳優としてのスタートが遅いので、それこそほかの人の何倍も勉強しなくてはいけないし努力しないといけない。

 まだまだ駆け出しなので、日々鍛錬を積み重ねて次のステップに行けたらなと思っています」

(※本インタビュー終了)

【「幽霊はわがままな夢を見る」深町友里恵インタビュー第一回】

【「幽霊はわがままな夢を見る」深町友里恵インタビュー第二回】

【「幽霊はわがままな夢を見る」深町友里恵インタビュー第三回】

【「幽霊はわがままな夢を見る」深町友里恵インタビュー第四回】

【「幽霊はわがままな夢を見る」深町友里恵インタビュー第五回】

【「幽霊はわがままな夢を見る」深町友里恵インタビュー第六回】

【「幽霊はわがままな夢を見る」深町友里恵インタビュー番外編第一回】

【「幽霊はわがままな夢を見る」深町友里恵インタビュー番外編第二回】

「幽霊はわがままな夢を見る」より
「幽霊はわがままな夢を見る」より

「幽霊はわがままな夢を見る」

監督:グ スーヨン

脚本:グ スーヨン、具 光然

出演:深町友里恵、加藤雅也、大後寿々花、西尾聖玄、山崎静代(南海キャンディーズ)、佐野史郎ほか

公式サイト https://www.yureiwagamama.com/

全国順次公開中

筆者撮影以外の写真はすべて(C)株式会社トミーズ芸能社

映画ライター

レコード会社、雑誌編集などを経てフリーのライターに。 現在、テレビ雑誌やウェブ媒体で、監督や俳優などのインタビューおよび作品レビュー記事を執筆中。2010~13年、<PFF(ぴあフィルムフェスティバル)>のセレクション・メンバー、2015、2017年には<山形国際ドキュメンタリー映画祭>コンペティション部門の予備選考委員、2018年、2019年と<SSFF&ASIA>のノンフィクション部門の審査委員を務めた。

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