日本領空を初めて侵犯した中国軍機の正体は新型の特殊任務機Y-9Z
8月26日に長崎県五島市の男女群島沖を領空侵犯した中国軍機の正体は、電子戦機で新型の特殊任務機であるY-9Zであることが分かった。イギリスの防衛情報企業、ジェーンズが27日、その分析結果を報じた。
航空自衛隊が撮影した写真をジェーンズが分析したところ、この中国軍機は「空中心理作戦」(airborne psychological operations)を実施できるY-9Z通信妨害機であることが明らかになった。中国航空工業集団公司(AVIC)傘下の陝西飛機工業公司が開発した輸送機Y-9の派生型だ。2022年当初はY-9DZと命名され、中国人民解放軍のY-9「高新」シリーズの「特殊任務」航空機の中の新しいプラットフォームとなっているという。ジェーンズはY-9Zが「特殊派生型」と説明している。
以下のツイートの中で述べられた「GX」は中国語でハイテクを意味する「高新」の略語。また、「SAR」とは電波を使うことで夜間や悪天候でも観測可能な「合成開口レーダー」のこと。
以下のツイートの中で述べられているELINTとは、electronic intelligenceの略で「電子情報」を意味する。Y-9Zは中国軍の新型電子戦情報収集機だ。
中国軍機の行動の意図と目的について、木原稔防衛大臣は27日の記者会見で「事柄の性質上、確たることをお答えすることは困難」と説明。その上で「防衛省としては、中国の軍事動向に対し、引き続き強い関心をもって注視するとともに、警戒監視及び対領空侵犯措置に万全を期していく」と述べた。
防衛省によると、中国軍機による領空侵犯を確認したのは、自衛隊が1958年に対領空侵犯措置を開始してから初めて。
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