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中国軍機による初の日本領空侵犯は衝撃大 日本の抑止力ははたして効いているのか #専門家のまとめ

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
領空侵犯した中国軍機のY9情報収集機(防衛省のホームページから)

防衛省は8月26日、中国軍のY9情報収集機1機が同日午前、長崎県五島市の男女群島沖で日本領空を侵犯したと発表した。中国軍機による侵犯を確認したのは、自衛隊が1958年に対領空侵犯措置を開始してから初めて。防衛省が南西諸島など離島の防衛態勢強化を着々と進めている中、中国軍機による初の領空侵犯の衝撃は大きい。海洋進出を強引に進める中国に対し、日本の抑止力ははたして効いているのだろうか。考えさせられる歴史的な事案だ。

ココがポイント

▼中国軍機による初の領空侵犯に対し、航空自衛隊は西部航空方面隊のF2、F15戦闘機の各編隊を緊急発進させた

中国軍機が長崎県沖で初の領空侵犯 防衛省発表、中国側に厳重抗議(朝日新聞)

▼前代未聞の事態に、外務省の岡野正敬事務次官は中国の施泳駐日臨時代理大使を呼び、厳重に抗議するとともに再発防止を強く求めた

中国軍機、領空侵犯を初確認 長崎沖、政府が厳重抗議 空自戦闘機が緊急発進(産経新聞)

▼中国軍機による領空侵犯は初めてだが、中国機による領空侵犯は過去2回、公表されている。いずれも尖閣諸島周辺で確認された

中国軍機の領空侵犯を初確認 長崎・男女群島沖 防衛省が発表(毎日新聞)

▼過去には中国機による領空侵犯はあったが、今回は中国軍機による初の領空侵犯のため防衛省・自衛隊内でも衝撃が広がっている

「中国軍機による日本領空侵犯は初めて」だが、「中国機による日本領空侵犯は初めて」ではない(Yahoo!ニュース エキスパート 高橋浩祐)

エキスパートの補足・見解

かつてヘンリー・キッシンジャー元米国務長官は「国が豊かになれば、エネルギーとたんぱく質を求めなくてならなくなる」と述べた。この言葉通り、中国は航空戦力と海上戦力を高めて強引とも言える海洋進出を図り、資源(=エネルギー)と漁場(=たんぱく質)の確保を目指している。今回の中国軍機による初の領空侵犯も、歴史的に見れば、中国が大陸国家から海洋国家に軸足をぐっと移し、日本など周辺国を脅かしていることを示している。日本は米豪比韓英仏などとの連携や警戒活動がますます必要だ。そして、中比の対立が激しい南シナ海の二の舞いを演じないよう、中国による尖閣諸島を含めた東シナ海の内海化に、さらに毅然と対峙していけなくてはいけないだろう。

米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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