大名で絶対に外せない豚骨ラーメンとは

　福岡市中央区大名。天神の西側に広がる街は、江戸時代に福岡城の重臣たちが居を構えた歴史を持ち、今は住居のほかに飲食店や物販店などが軒を連ねるエリア。近年では若者たちが集うブティックやセレクトショップ、居酒屋なども増えており、昼夜を問わず賑わいを見せる街だ。

　福岡のラーメンと言えば博多ラーメンをはじめとする豚骨ラーメンだが、大名にもたくさんの豚骨ラーメン店が存在する。そんな大名エリアでまず食べておかねばならない豚骨ラーメンはどこなのか。ラーメン評論家が実食して厳選した大名で必食の３軒をご紹介しよう。

福岡豚骨ラーメンの源流『元祖赤のれん 節ちゃんラーメン』（1946年創業）

　1946（昭和21）年に東区箱崎で創業した『赤のれん』は、現在の博多の豚骨ラーメンの源流と呼ぶべき店。その赤のれん創業者を祖父に持つ三代目が、暖簾と味を受け継いでいる店が『元祖赤のれん 節ちゃんラーメン』（福岡県福岡市中央区大名2-6-4）だ。

　創業者が奉天（現在の中国瀋陽市）で出逢った豚骨スープをもとに改良を重ねて生み出したスープは、豚骨の甘みあるスープに醤油がしっかりと効いて、老舗とは思えないほど濃厚な味わい。そこに合わせるのはオリジナルの平打ち細ストレート麺。数ある福岡の豚骨ラーメンの中でも、個性が際立っている一杯だ。

世界にラーメンを広げたパイオニア『博多一風堂』（1985年創業）

　今や世界各国に展開するグローバル企業となった『博多一風堂』（本店：福岡県福岡市中央区大名1-13-14）。福岡大名の路地裏にある小さな店が本店だ。かつてラーメン店はどこか薄汚くて、女性一人では入れないような雰囲気の場所だった。しかし、清潔感がありジャズも流れるお洒落な雰囲気の中、丁寧な接客で臭みの無い豚骨ラーメンを提供して、ラーメン店のイメージを変えたのが一風堂だ。

　2023年にレギュラーメニューをリニューアル。博多ラーメンを進化させた「赤丸新味」は、ガーリックを効かせた香油と特製辛味噌で味の変化が楽しめる一杯。古き良き博多ラーメンを彷彿とさせる「シンプル」から、具だくさんの「バリ盛り」まで、乗せる具材のバリエーションも豊富で、自分好みのラーメンを選ぶことが出来る。

ラーメンも焼酎も楽しめる隠れ家『土竜が俺を呼んでいる』（2009年創業）

　大名の路地裏を入ったところにある古いアパートの１階に、夜になると吸い込まれるように人が入っていく。『土竜が俺を呼んでいる』（福岡県福岡市中央区大名1-9-18）は、白金にある焼酎バー『土竜』の姉妹店。ちゃぶ台が置かれたレトロな雰囲気の中で焼酎とラーメンを楽しむことが出来る人気店だ。

　福岡の人気ラーメン店出身の店主が作るラーメンは、あっさりとした味わいの豚骨スープに、和出汁がしっかりと染み込んだ大根が乗った和風豚骨ラーメン。鶏そぼろがスープや麺とも馴染んで、他にはない個性を生み出している。油分などのしつこさが一切ないので、飲んだ締めにピッタリの優しいラーメンだ。

　今回ご紹介した３軒は、同じ豚骨ラーメンという括りではあるが、その味わいには三者三様の個性がある。福岡にはまだまだ美味しい豚骨ラーメン店があるので、まずはこの３軒から食べ歩きを始めて、福岡の豚骨ラーメンの奥深さや幅の広さを楽しんで欲しい。

※写真は筆者によるものです。

【記事寄稿：絶対に食べておかねばならない　福岡天神の豚骨ラーメン「基本」３軒】
【記事寄稿：新しいのにどこか懐かしい　今食べるべき博多豚骨ラーメン「ネオクラシカル」３軒】
【記事寄稿：長浜とも久留米とも違う豚骨ラーメン！　結局「博多ラーメン」とはどんなラーメン？】
【記事寄稿：絶対に食べておかねばならない　福岡の豚骨ラーメン「基本」３軒】
【記事寄稿：絶対に食べておかねばならない　福岡の長浜ラーメン「基本」３軒】