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長浜とも久留米とも違う豚骨ラーメン! 結局「博多ラーメン」とはどんなラーメン?

山路力也フードジャーナリスト
店の数だけ「博多ラーメン」がある現状。

進化と変化を続けている博多ラーメン

時代によっても博多ラーメンの姿は異なる。
時代によっても博多ラーメンの姿は異なる。

 豚骨ラーメンの街、福岡市には「博多ラーメン」と「長浜ラーメン」が存在する。さらに久留米には「久留米ラーメン」があり、北九州にも独特なラーメン文化が存在する。いずれも豚骨ラーメンであることは変わりがないが、その違いはかなり曖昧になっている現状がある。

 長浜の特徴であった「替え玉」も、今では博多ラーメンでも当たり前になっているし、久留米独特の製法であった「呼び戻し」によりスープを作る博多ラーメン店も増えている。多くの人や店が集まる博多だからこそ、博多ラーメンは他の地域のラーメンの特色を吸収して変化し続けているラーメンなのだ。

白いスープの博多ラーメンに黒いマー油が浮いた

赤い丼に黒い油、ビジュアルが印象的な『博多新風』のラーメン。
赤い丼に黒い油、ビジュアルが印象的な『博多新風』のラーメン。

 2005年に創業した人気店『博多新風』(福岡県福岡市南区高宮1-4-13)店主の高田直樹さんは、いち早く博多ラーメンの新しい形にチャレンジした人物。老舗豚骨ラーメン店の二代目として父親の店に入っていたが、「博多に新しいラーメンの風を吹かせたい」と店は弟に託し、自らの店を開くに至った。

 「博多って右をみても左をみても同じスタイルのラーメンばかりじゃないですか。他と同じでは面白くないですし、自分だけのラーメンでないと勝つことは出来ないと思ったんです。そこで熊本で出会ったニンニクの焦がし油、マー油を浮かべようと考えました」(『博多新風』店主 高田直樹さん)

 食文化は時代と共に変化していく。それはラーメンも同じことだ。元々「博多ラーメン」のスープは白濁しているものは少なく、半濁した醤油味のラーメンが多かったが、その後豚骨ラーメンとなり、さらに長浜の屋台で出されていたラーメンと融合するような形で現在の博多ラーメンのイメージが出来上がった歴史がある。

今の博多ラーメンは様々な要素がある

豚骨ラーメンも負けてはいられないと語る『博多新風』店主の高田直樹さん。
豚骨ラーメンも負けてはいられないと語る『博多新風』店主の高田直樹さん。

 「今の博多ラーメンは定義が決めづらく、様々なラーメンがあるように感じますね。僕らの頃の博多ラーメンはクリーミーな豚骨スープというイメージでしたが、今は長浜っぽい軽めのスープもあれば久留米のような重めのスープもあるし、僕のラーメンも元は熊本ラーメンですしね。博多ラーメンの中に多彩なジャンルが入っていて、それらを総称して博多ラーメンと言っているような気がします」(高田さん)

 博多ラーメンは福岡のラーメンの総称、という指摘はある意味正しい。現代の博多ラーメンには以前ほど決まったスタイルがない。スープの取り方や麺の太さ、具材にもそれぞれの店の特徴があるが、どの店も博多ラーメンを看板に掲げている。店の数だけ博多ラーメンの形があり、共通しているのは「豚骨ラーメン」である、という一点のみと言っても良いかもしれない。

福岡の「非豚骨ラーメンブーム」の中で

今福岡では「非豚骨」のラーメン店が増えている。
今福岡では「非豚骨」のラーメン店が増えている。

 これまで福岡でラーメンと言えば豚骨ラーメンのことだった。しかしながらここ数年、福岡では醤油ラーメンや豚骨醤油ラーメン、そして創作ラーメンを出す店が激増している。既存の豚骨ラーメンにあらず、これまでの豚骨ラーメン文化からの脱却、という意味合いで「非豚骨」「脱豚骨」と名付けられた新たなトレンドが生まれている現状がある。

 「豚骨以外のラーメンが増えていることは、ラーメン業界にとっては良いことだと思います。しかし豚骨ラーメン界にとっては、拍手してノホホンとしている場合ではないですよね。今の非豚骨ブームが一過性で終わるのか定着するのかは分かりませんが、やっぱり『博多の人には豚骨ラーメンが合っとうね』と思われるように頑張っていかなければと思っています」(高田さん)

※写真は筆者によるものです。

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フードジャーナリスト

フードジャーナリスト/ラーメン評論家/かき氷評論家 著書『トーキョーノスタルジックラーメン』『ラーメンマップ千葉』他/連載『シティ情報Fukuoka』/テレビ『郷愁の街角ラーメン』(BS-TBS)『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日)『ABEMA Prime』(ABEMA TV)他/オンラインサロン『山路力也の飲食店戦略ゼミ』(DMM.com)/音声メディア『美味しいラジオ』(Voicy)/ウェブ『トーキョーラーメン会議』『千葉拉麺通信』『福岡ラーメン通信』他/飲食店プロデュース・コンサルティング/「作り手の顔が見える料理」を愛し「その料理が美味しい理由」を考えながら様々な媒体で活動中。

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