「フェルミ推定」徹底解説 これで詐欺に引っかからない? 物事を決めつける人の主張を暴く!
■「フェルミ推定」ができると詐欺には引っ掛からない?
「毎日たった5分で、誰でも、年収1億円が実現します。その秘伝を、あなたにだけ教えます」
20年前であれば、私はこういうキャッチコピーにすぐ飛びついただろう。あなたはどうだろうか? 「私は絶対に、そんな詐欺には引っ掛からない」と思い込んでいるかもしれない。だが、用心してほしい。巧妙なキャッチコピーに引っ掛かっているビジネスパーソンを私はとてもたくさん知っている。
次のような話を、身近な人から聞いたことはないだろうか?
「2000万円以上もかけて導入した情報システムなのに、ほとんど機能していない」
「集客に役立つと勧められてインスタグラムを始めたんですが、結果が出ないのでやめちゃいました」
これも一種の詐欺に引っかかったようなものだ。なぜなら、ちょっと考えれば、こんな失敗をしなくても済むと分かったはずだからだ。
そこで今回は「フェルミ推定」というスキルを紹介しよう。このスキルを身につければ、巧妙な詐欺にひっかかることはない。さらに新しい商品を扱うとき、経験のない事業をはじめるときにも役立つ。
最後にはフェルミ推定を使ったクリティカルシンキング(批判的思考)についても解説する。ぜひ最後まで読んでもらいたい。
<目次>
■「フェルミ推定」ができると詐欺には引っ掛からない?
■「フェルミ推定」とは何か? 世界一カンタンに解説する
■「フェルミ推定」4つのプロセス徹底解説
(1)結論(全体)から考える
(2)概算する計算式を見つける
(3)計算式に値を入れる
(4)妥当性を検証する
■「フェルミ推定」するうえでの2つの心構え
(1)割り切り
(2)スピード
■ランチ時に「フェルミ推定」に慣れる3つのポイント
(1)一人でやること
(2)紙に書いてやること
(3)難しい例題に挑戦しないこと
■最も役立つのは「クリティカルシンキング」するとき
■「フェルミ推定」とは何か? 世界一カンタンに解説する
それでは、具体的な例を使って解説する。
初めて入ったカフェで、メニューと店内の雰囲気を眺めながら、平均客単価と回転率、営業時間の値を使って、
「月商160万円かな」
「客単価を平均1000円としたら200万円は行くかも」
と仮説を立てるのが「フェルミ推定」である。
このように「フェルミ推定」とは、見当もつかないような数字を論理思考力を用いて概算することだ。GoogleやMicrosoftといった企業が入社試験に採用したことで注目を集め、日本でも大企業やコンサルティングファームの面接でも使われるようになった。
約20年前のことだ。コンサルタントになって1ヵ月もしないうちに、20歳年上のベテランコンサルタントから教えられた。タクシーに乗った際、
「日本の電柱は何本ある?」
「お客様の工場に着くまでに概算して」
と突然問いかけられたのだ。慌ててメモを取り出し考えてみたものの、答えらしい答えを出せなかった。苦い思い出だ。
「学歴も資格も関係がないが、フェルミ推定ができないとコンサルタントは務まらない」
タクシーを降りる際、彼に言われた言葉は今も忘れられない。
■「フェルミ推定」4つのプロセス徹底解説
私が「フェルミ推定」ができるようになってから、新しい事業の成功率は格段と上がった。経営者から相談された際も「フェルミ推定」を使って、1~2分ぐらいで判断できるようになった。
「その条件では、今その事業をはじめないほうがいいですよ」
「期間を1年延ばせば、その目標は達成できると思います」
といった具合にである。
それでは、実際に「フェルミ推定」の手順を紹介する。「フェルミ推定」を自主トレするときは次の4プロセスで試してみよう。
(1)結論(全体)から考える
(2)概算する計算式を見つける
(3)計算式に値を入れる
(4)妥当性を検証する
では、実際にこの4プロセスを使いながら、概算してみたい。わかりやすいので「うどん屋」の月間売上を考えてみよう。
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