2025年「年越し大回り」参加者は200人超え? 駅ナカ消費や現地への交通費でJRの売上にも貢献!
筆者は大晦日から元旦にかけて、乗り鉄の恒例行事となっている年越し大回り乗車に挑戦した。年越し大回り乗車とは、「大都市近郊区間」の乗車特例制度を活用し、150円の近距離きっぷで北小金―馬橋間の1035.4kmを一筆書きルートで約33時間かけて乗り通すことをいい、筆者の記事(「年越し大回り」150円で首都圏JR線の1035.4kmを33時間で制覇! 今年も挑戦者は現れるか?)で詳しく解説している。
すし詰めの房総半島からは14時過ぎに解放
2日目となる1月1日は、成田駅を5時21分発の銚子行でスタートしたものの、途中の東金駅でトラブルに遭遇したことは、記事(2025年「年越し大回り」 外房線で「竹が線路を塞ぐトラブル」発生で運転抑止、狂い始めた行程…)で紹介した。
その先の上総一ノ宮駅からの房総半島半周ルートでは、2両編成の電車に200名以上の挑戦者が乗車し、身動きも取れないほどの状態となったことも、記事(房総半島は、10両から2両へ乗り換えで「すし詰めの3時間耐久」となった! 2025年「年越し大回り」)で詳しく触れたが、このすし詰めの電車から解放されたのは13時46分の君津駅だった。
君津駅からは、4分の接続でこの駅が始発となる15両編成の久里浜行の快速が13時50分に発車し、3時間以上ぶりに座席のありがたさを噛み締めることができた。ここまで来ればゴールの馬橋に向けては運転本数の多い区間となるので、経路通りに乗り続けでさえいれば確実にゴールにたどり着ける。次の蘇我駅では14時35分発の京葉線の快速に乗り換え東京駅には15時16分に到着した。
当初の計画では東京駅には14時16分着の予定であったが、この日の朝の外房線での線路内倒竹の影響で東金線の東金駅から予定が狂い始めていたが、最終的には1時間の遅れで済むことになった。こうした一連のトラブルと混乱で、朝の出発前に成田駅で自動販売機のコーヒーを飲んで以降、ほぼ飲まず食わずの状態で大回り乗車を続けてきたが、東京駅の立ち食いそば屋でのそばカレーセットがこの日初めての食事となった。
挑戦者は200名超え?福岡などからの遠征組も
筆者は、この年越し大回り乗車で数名の方とお話をさせてもらったが、挑戦者は首都圏にとどまらず、福岡県や山梨県など遠方から千葉県柏市周辺に前泊して参加したという方もおられた。また、お話をさせていただいたら方はいずれも筆者の記事(2024-2025年も首都圏でJRの終夜運転 150円で1000km超の「年越し大回り」はどうなる?)や(「年越し大回り」150円で首都圏JR線の1035.4kmを33時間で制覇! 今年も挑戦者は現れるか?)を読んで挑戦を決めたという。
さらに驚いたのは、今回の年越し大回り乗車には親子連れでの参加者もおられたことで、母親に話を聞いたところ「鉄道ファンの小学5年生の息子が1年生のときに鉄道系YouTuberの動画で年越し大回り乗車のことを知りこの時からいつか挑戦してみたいと言われ続け、ちょうどこの年末にYahoo!ニュースで具体的なプランが記事になったので親子で挑戦を決めた」と話してくれた。なお、挑戦にあたってはスタートとなる北小金駅の近くに前泊したという。
スタートの駅となる北小金駅まで行くのに、JRの在来線だけではなく新幹線を利用しているケースも多く、まる2日間改札内に滞在することから駅ナカで必ず食事を取る必要があり、150円の近距離乗車券以上にJRに対して売上の貢献をしていることになる。普段は北海道を拠点にしている筆者も北海道新幹線などを利用して北小金駅まで行くのに2万6千円ほどかかったほか、2日間の改札内滞在で駅ナカで7千円近くは使っている。なお、宿泊費などを含めてトータルでは7万円ほど支出した。
筆者がゴールの馬橋駅に到着したのは17時57分ころとなり、馬橋駅の有人改札口で駅員さんに話を聞いたところ「今年の年越し大回り乗車の方は今の時間までで150〜200人くらいは戻ってきています。去年よりは人数は増えていると思います」と答えてくれた。終電までは6時間ほどが残っている時間だったので、完走者はまだまだ増えそうな雰囲気だった。
150円年越し大回り乗車でも経済効果は大きい
こうしたイベントなどでのおおまかな経済効果を測定する簡便な手法に、公的な統計データを活用する方法がある。観光庁が発表した2023年度の旅行・観光消費動向調査によると、日本人国内旅行の1人1回当たりの旅行支出額は44,034円とされており、仮に200人が参加したとすれば、その経済効果は880万円を超える金額と見積もることができる。
中には「運賃計算の特例を悪用して150円の運賃で1000km以上を乗り倒すのはJRに損をさせている」といった趣旨の主張をされる方がいるが、この150円が呼び水となり1人当たり44,034円の経済効果を生み出す国内旅行需要を創出しているのは紛れもない事実である。スタート駅まで行くための交通費や駅ナカでの消費という方で、JRにとっても売上面でプラスの効果をもたらしているのが年越し大回り乗車と言えよう。
【2025年1月5日10時追記】
経済効果の測定について説明を補足しました。
(了)