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2024-2025年も首都圏でJRの終夜運転 150円で1000km超の「年越し大回り」はどうなる?

鉄道乗蔵鉄道ライター
年越し大回り乗車の経路(画像:筆者加工)

 2024年も残すところあと1カ月余りとなった。JR東日本では、2024年12月31日大晦日から2025年1月1日元旦にかけて首都圏の7つの路線で終夜運転を実施することを発表した。首都圏での終夜運転といえば、ぜひチャンレンジしてみたいのが年越し大回り乗車だ。

首都圏最長ルートは北小金―馬橋間1035.4kmで運賃は150円

 大回り乗車とは、「大都市近郊区間」と呼ばれる指定された区間内では、実際に乗車した経路にかかわらず最安となる経路で計算した運賃で列車に乗車できる特例を使い、あえて遠回りの経路で乗車することをいう。この大都市近郊区間は首都圏のほかには、大阪、福岡、新潟、仙台でも設定されている。大回り乗車では、経路が一筆書きのルートでなくてはならず、同じ駅を2度通ってはいけないというルールがある。途中でルートが重複してしまえば大回りチャレンジは終了となり、乗車した駅からの運賃精算が必要となることから注意が必要だ。

 首都圏の最長ルートは常磐線の北小金―馬橋間1035.4kmとなるが、この2駅の最短距離は2.9kmとなり、一筆書きルートで乗車する限りは初乗り運賃の150円のきっぷで問題なく乗車できる。実際に乗車する際には、ICカード乗車券で入場してしまうと、翌日の馬橋駅出場の際に改札機でエラーが出てしまう可能性が高いことから、紙のきっぷで入場し、馬橋駅での下車の際には、有人改札口で「大回り乗車をしてきた」という事情を説明したうえで下車するようにしたい。下車の際には行程を説明できる計画表などを改札口で示すことができればスムーズだろう。

年越し大回り乗車の経路(画像:筆者加工)
年越し大回り乗車の経路(画像:筆者加工)

 「年越し大回り乗車」について、この年末のダイヤを調べたところ、12月31日の7時14分に常磐線の我孫子行で北小金駅を出発すれば、翌1月1日の16時25分には隣の馬橋駅に到着できることが分かった。年越しとなるのは、武蔵野線の車内。南浦和駅から23時38分の新習志野行に乗り、0時22分に西船橋駅に到着するまでの間に新年を迎える。

 その後、千葉に向かい、千葉駅からは臨時運行となる1時20分発の成田行に乗車。成田駅には1時50分頃に到着するが、例年、成田駅では、ホームに停車している車両を開放しているので、ここで仮眠を取り、成田駅を5時21分に発車する銚子行の始発列車で松岸駅まで向かうという大回りチャレンジャーも多いようだ。そして、1月1日は朝から房総半島を一周し、東京駅には14時16分に到着。東京からもなるべく遠回りとなるルートでの乗車を続け、目的地の馬橋駅には16時25分の到着となる。

年越し大回り乗車の乗り継ぎパターン(筆者作成)
年越し大回り乗車の乗り継ぎパターン(筆者作成)

初乗り運賃で2日間の乗車がなぜ可能?

 JRの近距離きっぷは、当日のみ有効で途中下車ができないという決まりがある。さらに、首都圏の大都市近郊区間は、大回り最長ルートを1日で乗り切れないほど範囲が広いが、1枚のきっぷで最長ルートを乗車できる機会が年に1度だけある。それが、終夜運転が行われる大晦日から元旦までの2日間だ。

 なぜ、当日のみ有効の乗車券で2日間、列車に乗り続けることができるのか。それはJR旅客営業規則第155条に規定された「継続乗車」という規則である。この規則には「入場後に有効期間を経過した当該使用乗車券は、途中下車をしないでそのまま旅行を継続する場合に限って、その券面に表示された着駅まで使用できる」と規定されている。例えば、最終列車にのり0時を過ぎて日付が変わっても目的地まで行けるのはそのためだ。

 通常は、最終列車が駅に到着すると、乗客はいったん駅を出なければいけないが、終夜運転が行われる大晦日から元旦に限っては、12月31日の始発から1月1日の最終まで、改札内にとどまり続けることができることから、「継続乗車」の規則によりまる2日間列車に乗り続けることが可能となるわけだ。

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。ステッカーやTシャツなど鉄道乗蔵グッズを作りました。

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