国鉄形に西武の中古車も走る群馬県の「上信電鉄」 沿線は下仁田カツ丼や初詣など「楽しさ」いっぱい!
新しい年を迎えた。この年末年始、筆者は首都圏での年越し大回り乗車に挑戦していたことは、これまでの記事(2025年「年越し大回り」参加者は200人超え? 駅ナカ消費や現地への交通費でJRの売上にも貢献!)などでも詳しく触れているが、その翌日となる1月2日には群馬県の高崎駅と下仁田駅を結ぶ上信電鉄がワンコイン500円で乗り放題となることから、訪れてみることにした。上信電鉄では、2019年にJR東日本から譲渡された国鉄形の107系電車が主力車両として活躍している。
100年以上電車が走り続ける上信電鉄
上信電鉄は、高崎ー下仁田間33.7kmを結ぶ私鉄路線で、その開業は1897年(明治30年)と非常に古い。日本国内で現存する私鉄路線の中では、南海電鉄(阪堺鉄道)、伊予鉄道、西武鉄道(川越鉄道)に次いで4番目の開業であることはあまり知られていない。上信電鉄は、下仁田駅からさらに余地峠を超えて長野県佐久市まで延伸する計画があったことから、群馬県の旧国名である「上野」と長野県の旧国名である「信濃」から1文字ずつ取って上信電鉄と名付けられている。
上信電鉄は、創業当時は上野鉄道という社名であったが、1921年(大正10年)に社名を上信電気鉄道に変更し、1924年(大正13年)に軌間を762mmから国鉄線と同じ1067mmに改軌した上で、直流1500Vによる電化が行われた。これにより、それまでの蒸気機関車による運行から旅客列車は電車による運行、貨物列車は電気機関車けん引による運行となり、上信電鉄で電車が走り始めてから100年を超えている。なお、上信電気鉄道から現在の上信電鉄という社名に改められたのは、1964年(昭和39年)のことだ。
元旦と2日はワンコイン500円で乗り放題だった
さて、そんな上信電鉄ではあるが、この元旦と2日のいずれかがワンコインの500円で、高崎ー下仁田間の全線が乗り放題となる「寿・ワンコイン1日フリー乗車券」を2024年12月30日に発売した。上信電鉄は高崎市在住の筆者の友人に案内してもらえることになり、12月30日にあらかじめ高崎駅窓口で購入してもらっていた硬券タイプのフリー乗車券を使い、沿線をめぐることにした。
上信電鉄の高崎駅の改札口は、昭和の雰囲気が漂う有人改札で、きっぷにハサミを入れてもらい駅ホームへと入場する。ホームにはすでに下仁田行の電車が停車しており、車両はJR東日本から譲渡された国鉄形の元107系電車であった。車内は通勤仕様のオールロングシートである。まずは、この電車に乗り山名駅を目指す。なお、上信電鉄では、西武鉄道の中古車両も活躍中で帰り道ではこの車両も見ることができた。
高崎駅から山名駅までの所要時間は14分ほどで、山名駅には山名八幡宮が隣接しており、ここで初詣をすることにした。山名八幡宮は12世紀の文治年間に建立された神社で、安産・子育て・虫封じの神として信仰が篤いという。筆者にとっての「鉄道乗蔵」はある種、子供のような存在であることから、「鉄道乗蔵」というコンテンツがこれからスクスク育ちますようにという思いをこめて祈願をしてきた。
山名八幡宮での初詣を終え、次に向かったのは終点の下仁田駅。明治時代に開業した下仁田駅はレトロな佇まいを残した味わい深い駅で、関東の駅百選にも認定されている駅である。群馬県下仁田町といえば下仁田ネギが有名であるが、町の名物として下仁田カツ丼を推しているとのことで、駅から少し歩いたところにあった食堂でそのカツ丼をいただくことにした。下仁田カツ丼はソースカツ丼ということで、濃厚なソースの味わいが食欲を刺激し、非常に美味であった。
なお、普通運賃は高崎ー山名間で360円、山名ー下仁田間で1010円、下仁田ー高崎間では1130円となる。そして通常期の一日フリー切符は高崎ー下仁田間の往復と同額の2260円で販売されている。
(了)