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レアル・マドリーの「ベリンガム依存症」脱却とロドリゴの「復調の兆し」を読み解く。

森田泰史スポーツライター
得点を喜ぶマドリーの選手たち(写真:ロイター/アフロ)

全勝で、欧州の16強入りに名乗りを挙げた。

レアル・マドリーはチャンピオンズリーグ・グループステージ最終節、ウニオン・ベルリンに勝利した。グループステージの6試合で6勝と全勝して、ベスト16に勝ち進んでいる。

マドリーは好調をキープしている。そのように表現して、差し支えないだろう。

■ロドリゴの復調

マドリーはロドリゴ・ゴエスが復調してきている。それが、チーム状態の良さにつながっているのは間違いない。

ロドリゴは今季、リーガエスパニョーラ開幕節アトレティック・クルブ戦で得点をマークした。だが8月12日以降、2ヶ月半にわたり、41本のシュートを放ちながら、ゴールから遠ざかった。

写真:ロイター/アフロ

10月22日のチャンピオンズリーグ・グループステージ第3節のスポルティング・ブラガ戦でネットを揺らすまで、ロドリゴは苦しんだ。だがカルロ・アンチェロッティ監督は「忍耐強くならなければいけない。FWの選手には、起こり得ることだ。ワンタッチでシュートが決まる時もあれば、いくら打っても効果的にシュートが入らない時もある。多くのFWの選手が経験してきたことだ」と意に介さなかった。

チャンピオンズリーグ・グループステージ第4節のS・ブラガ戦でゴールを決めると、そこからロドリゴは5試合連続得点を記録。指揮官の言葉が現実になっている。

■マドリーのシステムと戦術変更

ロドリゴの復調は朗報だ。ただ、これはマドリーのシステム・戦術の変更と、無関係ではない。

マドリーは今季、負傷者が続出している。今季半ばの代表ウィーク(11月シリーズ)前後には、オウレリアン・チュアメニ、エドゥアルド・カマヴィンガ、ヴィニシウス・ジュニオールが相次いで負傷して離脱を余儀なくされた。

カマヴィンガやチュアメニが負傷離脱
カマヴィンガやチュアメニが負傷離脱写真:ロイター/アフロ

チュアメニとカマヴィンガが抜けたのは、アンチェロッティ監督にとって痛手だった。しかし、イタリア人指揮官はそれを逆手に取り、システムチェンジを思い付く。

【4−4−2】中盤フラット型の採用だ。

■ベリンガム・システムの再考

マドリーは今季、【4−4−2】中盤ダイヤモンド型を採用していた。ジュード・ベリンガムを嵌めるため、腐心の末に、アンチェロッティ監督が出した一つの答えだった。

ベリンガムは開幕からゴールを量産。公式戦19試合で、16得点を記録している。だがそのシステムをアンチェロッティ監督は「あっけなく」解体している。

先日、「ベリンガム・システム」に依存する危険性を説いていたが、アンチェロッティ監督はケガ人が出てくるや否や、布陣変更を断行している。この辺りの老獪さが、彼をビッグクラブで長く率いられる指揮官に仕立て上げたのだろう。

写真:ロイター/アフロ

話を戻そう。マドリーのシステムだ。【4−4−2】中盤ダイヤモンド型(ベリンガム・システム)から【4−4−2】中盤フラット型へーー。注目すべきは、ダブルボランチへの移行である。

■ダブルボランチの採用

現在のマドリーのシステムで、重要なのはフェデリコ・バルベルデだ。

バルベルデをダブルボランチの一角に組み込み、マドリーは安定感を手にしている。「バルベルデ+トニ・クロース」あるいは「バルベルデ+ルカ・モドリッチ」で、中盤の底をカバー。ハードワーク型と配球型で、バランスが整えられている。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『WSK』『サッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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