なぜバルサはCLで好調なのか?ヤマルの覚醒とレヴァンドフスキの得点力…対抗策と迎える正念場。
2014−15シーズン以来の、ビッグイヤーの獲得を目指す。
今季のチャンピオンズリーグで、好調を維持しているのがバルセロナだ。リーグフェーズで5試合消化時点、3位に位置。決勝トーナメント進出のストレートイン(8位以内)は目前だ。
■新指揮官とスタイルの変更
バルセロナが最後にチャンピオンズリーグで優勝したのは2015年だ。リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマール、「MSN」と称された3トップが、スペインと欧州を席巻。ルイス・エンリケ当時監督が率いたチームはバルセロニスタに歓喜を届けた。
ただ、現在のバルセロナは、あの頃とは違う。この夏、就任したハンジ・フリック監督の下でプレースタイルを変化させ、戦っている。
フリック・バルセロナの特徴は、前線からのプレッシングとショートカウンターだ。チーム全体が生き物のように連動してプレスを掛け、ロベルト・レヴァンドフスキ、ラフィーニャ、ラミン・ヤマルといったアタッカーたちが仕上げる。
「ハイライン・ハイプレス」の戦い方は、ある種、リスクを伴う。だが嵌れば、恐ろしく強い。バイエルン・ミュンヘン戦(1−4)、レアル・マドリー戦(0−4)、ビッグチームでさえ、後塵を拝した。
「フリック監督が就任して、彼のアイデアがチームにフィットした。いまのプレースタイル、プレスの掛け方で、僕たちは快適にプレーできている」と語るのはイニゴ・マルティネスだ。
「僕たちはこれを続けていかなければいけない。止まってはならない。僕たちが、どこまで辿り着けるか。それは時間が教えてくれる」
■ヤマルの覚醒
バルセロナのプレースタイルは変わった。そして、そのバルセロナの攻撃を牽引するのがヤマルだ。ヤマルは今季、公式戦19試合に出場して6得点11アシストを記録している。
またバルセロナは、今季、ヤマルが先発出場した試合で、1試合(モナコ戦)しか敗れていない。実に、16試合で無敗を維持しているのだ。
今夏、EURO2024に出場して、スペイン代表の優勝に貢献した17歳のアタッカーは、メキメキと実力をつけてきている。魔法のような左足とドリブルを武器に、バルセロナとスペイン代表の攻撃にアクセントを付与する。
EUROの際には、準決勝のフランス戦の前に、移動中のバスで寝ていたというのを、ニコ・ウィリアムスが明かしていた。良く言えば精神が図太く、悪く言えば鈍感。しかしながら、怖いもの知らずのティーンエイジャーが、いまのバルセロナに勢いをもたらしているのは確かだろう。
若さを象徴するようなヤマルとは対照的に、活躍しているベテランがいる。レヴァンドフスキだ。
レヴァンドフスキは2022年夏、移籍金4500万ユーロ(約92億円)でバルセロナに加入した。
バルセロナに移籍したファーストシーズン、レヴァンドフスキはゴールを量産。チームのリーガ制覇に貢献した。しかしながらセカンドシーズンで失速。シャビ・エルナンデス前監督の要望でチームに加わったストライカーだが、その後、シャビとは関係が悪化し、一時は売却候補のリストに載せられていた。
だがレヴァンドフスキは、旧知の仲であるハンジ・フリック監督の就任で、蘇った。今季、公式戦21試合に出場して23得点2アシスト。1試合1得点以上のペースでゴールを決め続けている。
■リーガでの研究とドルトムント戦
バルセロナは次戦、チャンピオンズリーグのリーグフェーズ第6節でボルシア・ドルトムントと対戦する。良い調子をキープしているバルセロナ(4勝1敗/3位)とドルトムント(4勝1敗/4位)が激突するゲームだ。
そう、バルセロナはCLにおいて快調なペースで走っている。
一方でリーガにおいては徐々にバルセロナ対策が進んでいる。リーガでは直近の5試合、レアル・ソシエダ戦、セルタ戦、ラス・パルマス戦、マジョルカ戦、ベティス戦で1勝2分け2敗と負け越している。
国内の試合では「オフサイドライン破り」が実行されるようになってきている。現に、マドリー戦で12回取ったオフサイドは、ベティス戦ではゼロだった。
対戦するチームのアタッカーたちのオフ・ザ・ボールの質が高まっている。また、2列目・3列目の飛び出しが徹底されてきている。
現状、CLで対戦するチームは、まだバルセロナをそこまで分析してきていない。ドルトムントがどのような対応をしてくるかは、今後の試金石になるはずだ。
ビッグイヤーを獲得して終わりたいーー。もちろん、それがハンジ・フリック監督の本音だろう。
だが、それは全てのチームが望むことでもある。優勝を見据えるために、まずは次のドルトムント戦。ここでの結果と内容が、問われている。