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「阪神タイガースジュニア2024」練習試合で4連勝! チーム第1号は斎藤達騎の豪快2ラン!

土井麻由実フリーアナウンサー、フリーライター
代打で豪快な2ランを放り込んだ斎藤達騎(写真提供:阪神タイガースジュニア保護会)

■チーム初本塁打は斎藤達騎

 出た!チーム第1号だ!!

 10月26日、倉敷選抜を相手に練習試合に臨んだ阪神タイガースジュニア2024。先週の対オリックス・バファローズジュニア、対尼崎選抜に続く3戦目にして、チーム初のアーチを架けた。

 打ったのは斎藤達騎選手。レフトフェンスを楽々と超えるドデカい当たりに、チームメイトも驚愕の表情を見せ、ベンチ前でのハイタッチに大いに沸いた。

 

 MLBムーキー・ベッツ選手(ロサンゼルス・ドジャース)に憧れて背番号50を背負う斎藤選手だが、それを知るチームメイトからは「ベッツちゃう!ジャッジやん!」と長距離砲のアーロン・ジャッジ選手(ニューヨーク・ヤンキース)に例えて囃し立てられていた。

 同い年のチームメイトたちも感嘆するほどの超特大弾だったのだ。

チーム初本塁打に大喜び
チーム初本塁打に大喜び

 ではこの試合を振り返ろう。

◆ランニングスコアとバッテリー

倉敷:000 000=0 H0、E3

阪神:001 32×=6 H6、E0

倉敷:三宅(3)、小谷(0.2)、三崎(1.1)―金田

阪神:大谷(3)、関井(2)、井上和(1)―井上凛

◆試合経過

《表》

 先発の大谷弥寿は上々の立ち上がりで、初回は3人でピシャリ!二回、三回もコントロールよく、安定した無失点ピッチングを続けた。

 四回、五回は関井楽永がパワーピッチで、3奪三振の完全投球。

 最終回は井上和樹がテンポよく11球で締め、スコアボードに6つ目の0を刻んだ。

(左から)大谷弥寿、関井楽永、井上和樹(井上和樹の写真提供は保護者会)
(左から)大谷弥寿、関井楽永、井上和樹(井上和樹の写真提供は保護者会)

《裏》

 打線は一回、2死から3番・倉橋清瀬に二塁打が飛び出すも得点ならず。

 三回は先頭の阪田應介が内野安打で出塁すると、金川蓮佑の左前打で1死一、三塁とし、相手のエラーで先制点を挙げる。

 最大の見せ場は四回だ。四球の井上凛太朗を一塁に置いて、北嶋隼士がエンドランを成功させる右前打で一、三塁の好機を作り、阪田の四球で2死満塁。

 すると、ここで予期せぬことが起こった。金川が初球のストライクを見送ると、相手捕手が投手に返そうとしたボールがなんと金川のバットに当たって、ファウルゾーンを転々としたのだ。

 その間に井上(凛)がホームイン。その後、金川は2球目をとらえてセンター前へ運び、2点タイムリーとした。

 さらに五回、敵失で出塁した井上(和)が盗塁を決め、2死二塁から代打・斎藤達騎が左越えの2ランを放った。

(左)チーム初安打の倉橋清瀬、(右)先制点の起点となる内野安打の阪田應介
(左)チーム初安打の倉橋清瀬、(右)先制点の起点となる内野安打の阪田應介

■玉置隆監督

 試合後の玉置隆監督は「倉敷選抜さんはすごくしっかりされたチームで、長く少年野球に携わっておられる方のノックや守備位置の動き、声のかけ方など勉強になりました。そういうのを僕もどんどん吸収して成長したい」と、まずは相手に敬意を表した。

自身も常に勉強、成長中だという玉置隆監督
自身も常に勉強、成長中だという玉置隆監督

◆投手陣について

 3人の投手には「言うことはない」と及第点を与える。

 「(大谷)弥寿はコントロールがまず素晴らしいし、自分から崩れることはない。ただ、ここまでよすぎるがゆえに、ランナーを背負う場面であまり投げられていない。ピンチでのギアの上げ方やマウンドさばきも今後、見ていきたい。

 (関井)楽永もああ見えてすごく繊細で、ランナーをちゃんと警戒しながら投げて、テンポも変えたりしていた。(井上)和樹もしっかり腕を振ってテンポよく投げてくれたんで、荒れる気配もなかった。

 一番怖いのが、コントロールがバラついて荒れることだけど、そこはもう3人ともクリアしてくれていた。3人ともマウンドさばきも上手で素晴らしかった」。

 ただ今後、各球団のジュニアと当たるとなると、さらに上のレベルが求められる。この日は振ってくれた高さを見逃されたり、しっかり捉えられたりすることもあるだろうと予測し、今日以上のピッチングが必須だと、玉置監督はうなずく。

 だが本戦に向けて、まだ投手起用が確定していない中、「みんな必死に、非常にいいアピールをしてくれている」と満足げに微笑んだ。

岩本輝ヘッドコーチ(奥)と話し合いながら
岩本輝ヘッドコーチ(奥)と話し合いながら

◆打線について

 「途中まで試合が重くて、あと1本が出なかった。なかなかしんどい中やったんで、何か流れを変えてほしいなっていうところで」と四回にエンドランのサインを出し、「(北嶋)隼士がしっかり打ってくれたんで、試合が動いた」と振り返る。

 さらに、「(金川)蓮佑が還してくれたのが、非常に大きかった。せっかくいい流れがきて、もしあそこで点が入らなかったら、もっと重くなっていた」と讃える。

 この大きかったという2点が次の回、「(斎藤)達騎の一発につながった」と、動いたからこその流れが呼んだ本塁打だったと解説する。ただ、当たりには驚愕している。

 「小学生の飛距離じゃないです、あれは。代打で一発回答ですからね。本当にすごい。ゆる球をなんとか粘りつつ、そのあとに来たまっすぐをしっかり捉えた。元々、あれくらいのポテンシャルはあるけど、あの魅力はすごいですね。クールなんですけど(笑)」。

 頼もしいスラッガーだ。

森田一成コーチの打撃指導の成果が出た
森田一成コーチの打撃指導の成果が出た

 この試合ではサインを出し動かしたが、「本戦ってなると、僕もサインを出しづらくなってくるので、そこで勇気を振り絞って出せるかっていうところ」と、首脳陣も選手も本番の緊張状態の中でいかに作戦を遂行できるか、それを今、練習試合の中で試しているところだという。

 今後の練習試合でも、能力を計りながらと本戦を見据えた戦いもしながらと、両睨みで試行錯誤しながら、勝てるチームを構築していく。

玉置隆監督が明るい雰囲気を作っている
玉置隆監督が明るい雰囲気を作っている

■選手のコメント集

◆大谷弥寿

 「先発は、アップの前かキャッチボールの前に言われました。僕1人でやるんじゃなく、みんなでやって、チームのために勝つということを考えてマウンドに上がりました。

 初回はちょっと高めに浮いた球も多かったけど、だんだんと低く投げられるようになっていきました。修正したのは、ちょっとリリースポイントが上すぎたので前にしたりとか、体重移動をしっかりしたりとか、ですね。そういう修正は、マウンドでいつもするようにしています。

 (バックの守備陣が)エラーがないので、安心して投げられるのも大きいです。

 今後は初戦のソフトバンク戦に向けて…あ、僕が投げるかどうかはわからないけど、それに向けてしっかりやっていきます」。

安定したピッチングの大谷弥寿
安定したピッチングの大谷弥寿

◆関井楽永

 「前回のオリックス戦ではコントロール重視で投げたんですけど、やっぱり球威も必要なので、本戦に向けて力強く投げました。高めの抜け球を振ってくれたんで、助かったところはあります。

 最初はちょっと荒れていたけど、抜け球がないように意識して修正したので、最終的にはよかったんじゃないかなと思います。

 今後は、真ん中でもファウルが取れるような球威だったり、見逃されるようなコントロールだったりがたいせつになってくるんじゃないかと思うので、そういうピッチングができるように頑張っていきます」。

パワーピッチの関井楽永
パワーピッチの関井楽永

◆井上和樹

 「初登板でしたけど、今日はボール球がそんなになかったので、よかったと思います。

 マウンドが人工芝で思ったより硬かったので、早く腕を回すようにして、トップを作るのが遅れないように心がけました。球場やマウンドによって、それは自分で考えてやっています。

 今後もしっかり強い球を投げて、あとは自分だけじゃなく守備もいるから、しっかり任せて…任せるっていうか、信じて投げたいです。すごいメンバーなので、とても心強いです」。

テンポよく最後を締めた井上和樹(写真提供:阪神タイガースジュニア2024保護者会)
テンポよく最後を締めた井上和樹(写真提供:阪神タイガースジュニア2024保護者会)

◆北嶋隼士

 「打ったのはインコース低めで、ボール気味やった気がしますが、とりあえず転がそうって。一塁ランナーがいっちゃん(一番)三塁まで回りやすいところに打って、自分もセーフになれたんでよかったです。転がそうっていう意識を持ったから、あそこまでいったと思います。

 自チームでも、普段からサインプレーはしっかりやっています。今後もやるべきことをやって、優勝したいです」。

みごとにエンドランを決めた北嶋隼士
みごとにエンドランを決めた北嶋隼士

◆金川蓮佑

 「(1ストライク後)ベンチのサインを見ていたら、(捕手の返球が)バットにバンって当たって…。珍しい?まぁ、左バッターは当たる可能性ありますよね。

 打ったのは真ん中から内よりの球です。狙っていたわけではないけど、森田一成)コーチに教えてもらったスイングをしたら打てました。ちょっと詰まった感じやったんですけど、ショートの頭を抜けたんで、まぁよかったです。

 森田コーチからは右足をオープンに開いて、左足に体重を乗せてから、その乗せたままバーンってボールに力を加えろって教わっているので、それをやっています。

 元々はまっすぐ(スクエア)だったんですけど、それやったらインコースが見えないから、ちょっと開いて体重を乗せてからボールを打つって。それでインコースも見やすくなりました。

 次は6球団の交流戦でヒット打って活躍できるようにしたいです」。

オープンスタンスの構えからインサイド打ちで2点タイムリーの金川蓮佑
オープンスタンスの構えからインサイド打ちで2点タイムリーの金川蓮佑

◆斎藤達騎

 「『重心を落とせ』って森田コーチに言われたことを意識して、打席に入りました。まっすぐに張っていて、ど真ん中に来たのをいきました。三遊間のライナーを狙ってたっすけど、当たった瞬間にいったと思いました。

 でも(飛距離は)カスっすね。もっと飛びます(笑)。

 (代打は)自信はなかったですけど、打ててよかったです。チーム初ホームランにはビックリしましたね。

 次に向けては、フライを打たんこと。ライナーを意識して打つことです」。

ダイヤモンドを一周後、ベンチ前で出迎えられる斎藤達騎
ダイヤモンドを一周後、ベンチ前で出迎えられる斎藤達騎

■倉橋清瀬キャプテン、本日のオコトバ

 なお、この日はダブルヘッダーが組まれ、倉敷選抜との2試合目は先攻後攻を入れ替えて行ったが、11安打を放ったタイガースジュニアが10-0で圧勝した。

 先週から始まった練習試合4戦は4連勝3試合連続完封勝ち2試合連続ノーヒットノーランとなった。

 しかし、倉橋キャプテンは厳しい顔を見せる。

 「今日は打つのもみんな、つながっとったからよかった。守備もミスはなかった。でも、声の部分とかサインプレーとか、まだまだダメだっていう部分もあったから。見ている側からしたら大成功だったかもしれないけど、自分たちからしたら残念なところもある試合だったから、そこは本戦までに直していかなあかん課題やと思いました」。

 勝って兜の緒を締めよとばかりに、今一度チームを引き締めていた。

 試合後の練習を終え、集合したナインの前で倉橋キャプテンは、こう気勢を上げた。

 「(交流試合は)全部勝って、勢いをつけましょう」。

 今日からの3日間は複数球団が来阪しての交流試合が開催される。今日2日と明日3日は6球団、4日は4球団が参加する。それぞれの地区のトップクラスの選手たちが集結するわけだ。(*参加球団は後述)

 NPB各球団のジュニアとの対戦に、タイガースジュニアも胸を高鳴らせている。本番に向けての課題も見つけることができるだろう。思いきり暴れてほしい。

倉橋清瀬キャプテン
倉橋清瀬キャプテン

*交流試合 参加球団

11/2…阪神タイガース、オリックス・バファローズ、中日ドラゴンズ。読売ジャイアンツ、福岡ソフトバンクホークス、東京ヤクルトスワローズ

11/3…同上

11/4…阪神タイガース、読売ジャイアンツ、福岡ソフトバンクホークス、東京ヤクルトスワローズ

《追記》

11月2日は雨天中止。

【今日のとっておきの1枚】

 全身どころか顔までどろんこにして練習に励んだ北嶋隼士選手。お母さん、洗濯ありがとうございます。

(表記のない写真の撮影は筆者)

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フリーアナウンサー、フリーライター

CS放送「GAORA」「スカイA」の阪神タイガース野球中継番組「Tigersーai」で、ベンチリポーターとして携わったゲームは1000試合近く。2005年の阪神優勝時にはビールかけインタビューも!イベントやパーティーでのプロ野球選手、OBとのトークショーは数100本。サンケイスポーツで阪神タイガース関連のコラム「SMILE♡TIGERS」を連載中。かつては阪神タイガースの公式ホームページや公式携帯サイト、阪神電鉄の機関紙でも執筆。マイクでペンで、硬軟織り交ぜた熱い熱い情報を伝えています!!

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