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「阪神タイガースジュニア2024」を明るく盛り上げる! キャプテンと副キャプテンが決定!!

土井麻由実フリーアナウンサー、フリーライター
(左上から時計回りに)森田一成、玉置隆、岩本輝、井上凛太朗、倉橋清瀬、北嶋隼士

■阪神タイガースジュニアのキャプテンと副キャプテンが決定!

 「NPB12球団ジュニアトーナメント」―。

 「子どもたちがプロ野球への夢を、より身近に感じられるように」とのスローガンで始まったこの大会は、今年で20回目を迎える。小学生の野球少年少女にとっての憧れの大舞台だ。

 プロ野球の各球団が小学5、6年生の16人でジュニアチームを結成し、頂点を目指す。各球団のOBが監督、コーチを務め、その球団のプロ野球選手と同じユニフォームを身にまとって戦う小学生たちの姿は、胸を熱くさせる。

 阪神タイガースジュニアも、異例となる1カ月間のセレクションを経て16人を選出し、すでに毎週練習を重ねている。そんな中、キャプテンと副キャプテンが決定したので紹介したい。

 キャプテンは倉橋清瀬選手、副キャプテンには北嶋隼士選手と井上凛太朗選手が選ばれた。

 まずは玉置隆監督に選出理由を聞いた。

倉橋清瀬キャプテンを中央に、左が北嶋隼士、右が井上凛太朗の両副キャプテン
倉橋清瀬キャプテンを中央に、左が北嶋隼士、右が井上凛太朗の両副キャプテン

■玉置隆監督が語る選出理由

 キャプテンに選んだ倉橋清瀬選手について、玉置監督はこう説明を始めた。

 「初めにメンバーがそろったときはまだ、人間性とかもわからない段階だったんでキャプテンは決めていなくて、挙手制にしたんです」。

 9月14日の初練習の日だ。練習前に集合した全員の前で玉置監督は、「今日、キャプテンをやってくれる人」と立候補者を募った。「今日」、つまり「ワンデーキャプテン」ということだが、そう問いかけて選手たちの反応を見ていた。

 すると、即座に手を挙げた選手が2人。そのうちの1人だった倉橋選手はじゃんけんで負け、相手に譲る形になった。

 「次の週も、その次の週も、『やってくれる人』って訊いたら、清瀬は誰よりも早く手を挙げるんです。で、だんだん手を挙げる子が減ってきた中で、『来週は清瀬以外の誰か、やってくれへん?』って訊いたときに、もう誰も挙げなくなった。そこで清瀬が『じゃあ来週もオレやな』って言ったのを聞いて、キャプテンへの思いというか、そんなにもチームをまとめるという役目をやりたいんだなと伝わってきたんです」。

玉置隆監督
玉置隆監督

 もちろん、ただやりたいと言うからやらせるというわけではない。「性格もすごく明るくて、周りを巻き込む力もある。また、発言力もあるんで」と明かす。

 「たとえば『わからんことあるか?』とか『さっきのプレー、どう思った?』って訊いたときに、率先して質問したり答えたりする子なので。それでいて、あの明るさなので、彼ならしっかりまとめてくれるんじゃないかなっていうのが、一番の理由ですね」。

 たしかにセレクションの段階から、それは垣間見えていた。同じ受験生である仲間たちを大きな声で鼓舞し、笑いをとりながら盛り上げる姿は、キャプテンシーを感じさせた。倉橋選手ならきっと、メンバーをまとめ引っ張っていけるだろう。

岩本輝コーチ
岩本輝コーチ

 「ただね…」と玉置監督は少し顔を曇らせる。「ずっといいプレーをしていたんですけど、キャプテンになってから自分のミスを責めるようになっちゃったなかと」と背負いすぎることを心配する。「『ミスした僕がみんなに偉そうに言えないな』って思っちゃうところがある」という。心優しく、責任感が強いゆえだ。

 「だから、常に言っています。『自分がミスしたからって、下を向く必要はない』って。キャプテンに指名したのは僕なんで、僕の責任。そこは何も考えずに楽しくやってほしい。ああ見えて繊細な部分もある。どうやって、もっとのびのびとプレーさせてあげようかなというのは思いますね」。

 個性の強いメンバーの集まりだけに、まとめるのは大変だろうと玉置監督も慮る。

森田一成コーチ
森田一成コーチ

 そういえばチームが結成したばかりのころ、まだ練習着ができ上っていなかったため、選手たちは自チームのユニフォームを着ていた。ずらっと並んだその背番号は、1人を除いてみごとに「」と「10」の集まりだった。つまり、自チームでエースかキャプテンということだ。

 「そんなこと知らなかったから、そういうので選んだわけじゃないけど、ビックリしましたね(笑)。ということは、半分以上がキャプテン経験者か…」。

 セレクションではユニフォームの上にビブスを着けていたから、各自の背番号までは見えなかった。実力で選んだジュニアたちだったが、やはりチームの中心選手はかりということが再認識できたと、玉置監督も納得する。

 それだけに、ほかにもキャプテンにふさわしいかなと思う選手もいたという。しかし「いろいろ背負っちゃうと気持ち的にもしんどくなって、野球に集中できなくなるんじゃないかなと思ったんで、そういうのを吹き飛ばせるような明るい選手にしました」と、総合的に考えて倉橋選手にしたと明かす。

初練習では「1」と「10」が勢ぞろいした
初練習では「1」と「10」が勢ぞろいした

 そして、そんなキャプテンを支えてほしいと副キャプテンを2人、任命した。北嶋隼士選手と井上凛太朗選手だ。

 「清瀬も明るい性格とはいえ、これからいろいろあると思うし、悩むこともあると思うので、どうしたらいいかわからないときに明るい子が横にいてくれたら…。2人とも本当に明るい子たちだし、いつもニコニコしながらやっていますし。2人とも関西出身というのも大きいんですよね。明るくて、どんどん前に出るし、ミーティングでも雰囲気よくしてくれますしね」。

 倉橋キャプテンが下を向いたときこそ、2人の副キャプテンの明るさが頼りだという。

残って三塁側のベンチを掃除する副キャプテンたち。実はこのとき、一塁側ではキャプテンも一人黙々と掃除をしていた
残って三塁側のベンチを掃除する副キャプテンたち。実はこのとき、一塁側ではキャプテンも一人黙々と掃除をしていた

 

 「背負わせすぎないようにはしますけど」と、ことわりを入れた上で玉置監督はこう言いきった。

 「清瀬には本当に期待しているんで、いろいろと。頼もしいし、チームを任せたぞって。揺るぎなくやってほしいですね」。

 全幅の信頼を示していた。

首脳陣の話を聞くジュニアたち
首脳陣の話を聞くジュニアたち

■倉橋清瀬 キャプテン

 自チームでもキャプテンを務めているという倉橋清瀬選手は、「自分が一番活躍できるのはキャプテンという職だと思う!」ときっぱり口にし、玉置監督からの任命を意気に感じている。

 「キャプテンだったら、自分で引っ張れるから。その分、いいプレーもできるし、声も出る。職があったほうがやりがいがあるし、話しやすい。キャプテンをやりたかったから、毎週、手を挙げていました」。

 どんなにやりたかったのか、その意気込みが伝わってくる。玉置監督が心配しているプレッシャーなどは、感じていないのだろうか。すると、「いや!全然!」と即答したあと、「むしろキャプテンになったほうが安心感があります」とニンマリ。どうやら“天職”だと感じているようだ。

キャプテンを拝命した瞬間の倉橋清瀬の照れ笑い
キャプテンを拝命した瞬間の倉橋清瀬の照れ笑い

 倉橋選手にとってキャプテンの役割を尋ねると、「プレーはもちろん大事だけど、それだけじゃなくて、ダメだっていうところを話したり、試合中にシーンとした空気になったら声を出したり、そういうのが自分の仕事だと思っています」とハキハキと答えた。チーム全体を見ているようだ。

 キャプテンの目に映る今年のタイガースジュニアは、「めちゃくちゃ個性的なメンバーで、ほんまみんなおもしろくて(笑)。仲が深まりやすい」とのことで、笑顔が絶えないようだ。

 「元気のあるチームが最高のチームだと思っている。みんなも成長段階だし、僕も成長している。声でも自分のプレーでも引っ張っていきたいので、たとえばヘッスラして捕ったりしたら、みんなもやる気になるかもしれないので、そういうところはしっかりやっていきたいと思っています」。

 淀みなく話したあと、「目標はチームで日本一を獲ること。自分も成績を出さないと試合に出られないので、試合に出てみんなを盛り上げたい」と、気勢をあげた。

守備でも魅せる倉橋清瀬
守備でも魅せる倉橋清瀬

■北嶋隼士 副キャプテン

 一方、北嶋隼士選手には気負いがまったくない。副キャプテンの任命にも「『あー』ってビックリしましたね。自分が選ばれると思ってなかったです」と、予期していなかったと笑う。

 自チームでも「小っちゃいころからずっと。今も」とキャプテンを務め続けてきたというのに、「ここはまた違うから…」と、ジュニアでのキャプテンという意思はなかったようだ。

 副キャプテン抜擢についても、「いや、別に副キャプテンやからどうのこうのするとか、別にないから」と飄々と話す。そのココロは「チーム自体、全員で引っ張っていっているから」という。それぞれがデキるメンバーだから、そこまで自身が特別に意識することはないと考えているのだ。

 「やることをやるだけなんで」と、すべきことをしっかりと把握し、それを遂行するだけだとうなずく。

いつもニコニコの北嶋隼士
いつもニコニコの北嶋隼士

 そんな北嶋選手の得意なことを訊くと、「うーん…自分の得意なことは…いやぁ…」としばらく考え込んだあと、ハッと顔を上げ「ポジティブ!」と笑顔を弾けさせた。なるほど、そのポジティブさに、自然とチームは引っ張られそうだ。

 そして「りんちゃん(井上凛太朗)と同じキャラです」と付け加える。明るい副キャプテンたちだが、「監督にも、3人とも“おふざけキャラ”って言われました」とキャプテンも含め3人そろって同タイプなのだと、白い歯をこぼす。

 もちろん、ふざけるだけではない。「やるときはやって、締めるときは締めて」とメリハリをつけ、「みんなが楽しく強いチームになっていきたい」と力を込めた。

守備練習でも盛り上げる北嶋隼士
守備練習でも盛り上げる北嶋隼士

■井上凛太朗 副キャプテン

 井上選手も副キャプテンに選ばれるとは思っていなかったという。「ビックリして、声が出ませんでした」と目を丸くする。自チームでも副キャプテンを務めている。

 「ひとりで全部やらせやんような感じでやっていきたいです。背負わせやんように」と、倉橋キャプテンをサポートすることを第一に考え、その上で「みんなを一つにまとめて引っ張れるように頑張りたい」と気を吐く。

こちらも明るいキャラの井上凛太朗
こちらも明るいキャラの井上凛太朗

 仲のいいチームだが、まだそこまで深くは話していないという。しかし、各自が考えながら取り組んでいると明かす。さすがは関西のトップクラスが集まるチームだ。

 「ひとりひとりのいいところが多くて、すごくやりやすいし、全員が一つにまとまろうっていう性格をしているので、めっちゃいいと思います」。

 井上選手自身も、このトップクラスでプレーできることにやりがいを感じ、まとめることには苦労はなさそうだと感じている。

 今後は「常に元気で、一つになって勝てるようなチームになっていきたい」と語り、その中で自身は「キャッチャーなので周りを見て、声が出ていない子がいたら声をかけたりっていうように、周りを見ながら行動したい」と視野を広くし、プレーでも率先してやっていくと誓っていた。

扇の要、井上凛太朗
扇の要、井上凛太朗

■全員で戦い、全員で勝つ

 先述したようにそれぞれが自チームでは中心選手というメンバーたちだ。各自がやることもわかっており、声もよく出すし、自ら動く。

 その中でのキャプテンと副キャプテンだが、今後、困難に立ち向かうこともあるかもしれない。どうかチームワークで乗りきって、たくましいチームに育っていってほしい。

 阪神タイガースジュニア2024は今週末、いよいよ対外の練習試合に臨む。これまでやってきたことが、どこまで出せるか。また、玉置監督がどのような采配を振るのか。要注目だ。

対外試合に向けて、ジュニアたちの士気を高める玉置隆監督 右は岩本輝、森田一成の両コーチ
対外試合に向けて、ジュニアたちの士気を高める玉置隆監督 右は岩本輝、森田一成の両コーチ

(撮影はすべて筆者)

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フリーアナウンサー、フリーライター

CS放送「GAORA」「スカイA」の阪神タイガース野球中継番組「Tigersーai」で、ベンチリポーターとして携わったゲームは1000試合近く。2005年の阪神優勝時にはビールかけインタビューも!イベントやパーティーでのプロ野球選手、OBとのトークショーは数100本。サンケイスポーツで阪神タイガース関連のコラム「SMILE♡TIGERS」を連載中。かつては阪神タイガースの公式ホームページや公式携帯サイト、阪神電鉄の機関紙でも執筆。マイクでペンで、硬軟織り交ぜた熱い熱い情報を伝えています!!

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