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「無理強い」と「チャレンジ」の違い:給食でもパワハラ問題でも

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
(写真はイメージ)(写真:アフロ)

<がんばることは、必要。でも、無理強いと感じれば、パワハラに。けれども、チャレンジと感じれば、人は伸びていける。>

■給食でも勉強でもスポーツでも職場でも、部活や、職場のパワハラ問題も

「給食完食、強要やめて」という記事が、ヤフーに載りました(給食完食、強要やめて=相次ぐ不登校、訴訟も―支援団体に1000人相談)。

この記事に対して多くの賛否両論のコメントが寄せられています。

一つは、「そうだそうだ、無理強いはやめろ」という意見です。もう一方で、現代の子供は弱すぎる、好き嫌いをなくしたり、残さず食べるしつけは必要だというものです。

そんな中で、「無理強いとチャレンジは違う」というコメントがありました。まったくもって、ごもっともです。これは、給食の問題だけではないでしょう。

今の子供達は「無理するな」と言われて育ってきました。「子供はほめて育てる」は、現代の常識です。スポーツ指導でも、体罰などもっての外です(「体罰の5つの副作用」)。

職場でも下手にきついことをいえばパワハラです。たしかに、パワハラは困ります(「あなたはなぜ攻撃されるのか:いじめ、パワハラ被害を防ぐために」)。それでも、「オレの若いころはそのくらいの厳しさは普通だった」と、今のやさしすぎる風潮に疑問を持っている人も多いでしょう(「本人が嫌だと感じればパワハラか:指導、いじめ、体罰、暴力との違い」。

今は、働きすぎはいけないし、ライフワークバランスが大事だとされています。

しかしその一方で、子供若者は弱くなり、わがままになったとも、よく言われます。「増え続ける「勘違いワークライフバランス」 ~「ツケ払い退社」する社員が急増中!」などという指摘もあります。

トップクラスの柔道選手を指導している人からも、「最近の選手は痛みに弱くなった」と聞いたことがあります。

ほめられ続けたきた子供若者の大問題」も指摘されています。

子供若者を守ることは大切です。でも、守りすぎて弱い人間を作りたいと思う人はいないでしょう。親は自分の子供に、強くて優しくて活躍できる人間になって欲しいと願うでしょう。

心も体も強くなるためには、多少の「無理」は必要です。負荷をかけなければ、体は強くなりません。心も、いつも楽ちんなコンフォートゾーンから出なければ、強くはなれません。

チャレンジすること、チャレンジさせることは、心と体の健全な成長には、不可欠なのです。

けれども、無理強いさせて、かえって心と体を壊してしまうこともあります。裁判沙汰になどなったら大変です。無理強いはさせず、チャレンジさせるためにはどうしたら良いのか。無理強いとチャレンジは何が違うのか、どこがポイントなのか、心理学からお伝えしていきたいと思います。

■無理強いと感じるとき、チャレンジと感じるとき

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社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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