ほめられ続けたきた子供若者の大問題:子育ての基本
「子供を傷つけるな」「子供の自己肯定感を高めろ」。それは正しいことだったはずなのに、その教育姿勢が今問題になり始めている。
■今の子供若者は?
「近頃の若者は」「今時の子供は」。そんな批判は、数千年の昔から行われてきました。中高年にとって、「俺たちの若い頃は」と語りながら若者に文句を言うのは、良い酒の肴です。盛り上がります。だから、若者たちはそんな批判を恐れることはなく、思い切って行動をすれば良いと思います。
けれども現代の若者批判は、昔とは変わってきています。何千年来言われ続けてきた若者批判は、近頃の若者は「常識がない」「伝統を守らない」「過激だ」「無茶をしすぎる」「急ぎすぎる」といったものでした。
しかし現代の若者批判は、「元気がない」「がむしゃらさがない」「保守的だ」といったものです。これは、昔とは異なっています。青年たちは、一方ですっかり優しくなり、大人と対決する姿勢を取ることもなく、穏やかになりました。また一方で、自分が世話をやいてもらい、守ってもらい、配慮されて当然だと感じる若者も増えています。
我慢できず、自分の権利ばかり主張し、うぬぼれ屋で、それなのに本当の自信はなく、打たれ弱い現代の子供若者たち。
アメリカでは、彼らを「 自分(ミー)! 自分(ミー)! 自分(ミー)! 世代」と呼ぶ人もいます。
これは、昔から続いてきた若者批判の延長ではなく、過去数十年の教育の結果ではないかとも言われています。
日本でもアメリカでも、この20年、子供若者はとても大切にされてきました。子供を大切にすることは、もちろん悪いことではなりません。子供は、私たちの宝です。
しかし、子供を傷つけてはいけない、子供の自己肯定感を高めようとの動きの中で、誤った行き過ぎた教育が行われたのではないかとの指摘が、アメリカでも起きています。
子供を傷つけないこと、子供の自己肯定感を高めること。それは正しいことです。でもそれは、子供をただほめれば良いことではなく、子供に苦労させないことでもありません。
子供を守ろうとする大人の思いが、どこかで歪み、結果的に子供から「やり抜く力」(グリット)を奪い去ったのではないかとの指摘が始まっています。
「可愛い子には旅をさせよ」「若い頃の苦労は買ってでもせよ」。それは、古い間違ったことではなく、やはり必要なことなのかもしれません。
私たちは、子供若者が、強く優しく賢くなることを望んでいるでしょう。そのために必要なことは、一体何なのでしょうか。
■ほめすぎることは何が問題か
小さな子供の小さなことを何でもほめることは、良いことだと思います。大人にとっては小さなことでも、子供にとっては起きなことだからです。砂場に作った砂山とトンネルも、歩いて10分の「はじめてのおつかい」も、子供にとっては、大事業、大冒険だからです。
たっぷりほめてあげましょう。しかし、次第に大きくなっていっても、相変わらずほめ続け、「良い子良い子」し続けることは、子供にとっては毒になることもあるのです。
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